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「最後にお別れの花をたむけられる方は前の方へどうぞ!」
親族の方に続いて、前の方に行く。 ふっくらとしたかわいらしい顔。 真っ黒でまっすぐに伸びたきれいな髪。 まるで、眠っているよう。 今にも目を開けて、ニコニコ笑い出しそう。 皆、すすり泣いている。 そりゃ、そうだよ。34歳だよ。 生後9ヶ月の赤ちゃんを残して、突然死。心筋梗塞だって。 「これで、終わりかよ!」 「あんまりじゃないか!」 「まだ、やり残したこと、一杯あるだろ~!」 「子育てもまだ、始まったばかりじゃないか!」 「こんな、人生の幕引きはないだろ!」 「こんなところで、終わるなよ!」 「こんなところで、人生、終わらせるなよ!」 そんな、怒りの気持ちが湧いてくる。 霊柩車がクラクションを鳴らして、斎場を後にして、告別式はおしまい。 皆、言葉はなく、泣きはらした顔で、会釈して帰路につく。 なんとも、重い気持ち。 人生って、こんなにもはかないものなんだろうか? 生きるために、一生懸命働く。 給料もらうため、仕事をつつがなくこなすために あれやこれやと努力し、工夫する。 上司の罵声に耐え、部下の愚痴も聞き流す。 納期に間に合わせるために、必死に働き徹夜する。 メタボリックやら体調管理に気を付ける。 それも、みな、生きるため。 それが、こんなに簡単に生命を奪われてしまうんだったら、 何のために一生懸命やっているのかわからない。 こんなに、簡単に人生の終わりがやってくるのなら、無駄な我慢や苦労はしない方がいい。 自分のやりたいこと、自分の好きなことをまずやった方がいい。 最初から、自分の人生を生きた方がいい。 いつ、自分の命を奪われても悔いがないように。 自分がこうして、生きているのも、もしかしたら奇跡かもしれない。 自分の心臓が動き続けているのも奇跡かもしれない。 神様の力で、たまたま生かして頂いているのなら、 自分の生き方で生きよう。 残された者は生きるしかない。 それが、死者へのせめてものはなむけ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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