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坂本龍馬(RYOMA)♪旧司法試験合格までの日記

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2009.10.08
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テーマ:司法試験(138)
カテゴリ:刑法

【平成21年刑法1問】甲及び乙は,路上を歩いていた際,日ごろから仲の悪いAと出会い,口論となったところ,立腹したAは甲及び乙に対し殴りかかった。甲は,この機会を利用してAに怪我を負わせてやろうと考えたが,その旨を秘し,乙に対し,「一緒に反撃しよう。」と言ったところ,乙は甲の真意を知らずに甲と共に反撃することを了承した。そして,甲は,Aの頭部を右拳で殴り付け,乙は,そばに落ちていた木の棒を拾い上げ,Aの頭部を殴り付けた結果,Aは路上に倒れ込んだ。この時,現場をたまたま通りかかった丙は,既にAが路上に倒れていることを認識しながら,仲間の乙に加勢するため,自ら別の木の棒を拾い上げ,乙と共にAの頭部を多数回殴打したところ,Aは脳損傷により死亡した。なお,Aの死亡の結果がだれの行為によって生じたかは,明らかではない。 甲,乙及び丙の罪責を論ぜよ(ただし,特別法違反の点は除く。)。

本問で、行為を一体ととらえるか二行為に分けてとらえるかは、とびつきやすい論点の1つだったと思います。しかし、それはある意味事実認定の問題であり、その背後には、そのような事実認定をみちびく刑法理論上の基本問題がよこたわっており、それこそがほんとうの出題趣旨だったのではないか。そのように思えてきました。

行為が一体か二行為かを、時間的場所的接着性や行為者が1人か複数か、共犯者間の連帯関係(本問では、甲乙、乙丙を共犯に擬して論じやすいが、甲丙は擬しにくいなどといった事情)、正当防衛や過剰防衛の成否、急迫不正の侵害の継続性や終了などを基準として論ずれば、それはそれなりに考えられた答案であるかには見えます。
しかし、わたしは、もっと別のところに問いたい問題意識があったのではないか、それは、共同正犯の本質はなにか?という刑法の基本中の基本論点ではないか、そう思うのです。

共同正犯(60)とは、いったい何を共同するものなのか? それは、「犯罪」を共同するものである。「犯罪」を共同するとは、狭義の共犯の成立にいわゆる要素従属性の考え方を借用していえば、構成要件、違法性、責任、処罰要件のどこまで要求されるのか?  12歳の息子に強盗させた母親を共謀共同正犯とした判例からは、制限従属性(構成要件、違法性)説とパラレルに考えられそうです。 そうすると、共犯者の1人に「正当防衛」を成立させたばあい、違法阻却される防衛者とのあいだでは共同正犯は成立しません。また、「正当防衛」が「犯罪」でないとすれば、防衛の共謀は共同正犯の成立要件となる「共謀」ではないとも考えられます。
 もっとも、「過剰防衛」を成立させたばあいには、過剰防衛の本質を「責任減少」ではなく「違法減少」と考えたとしても、違法性がまったく阻却されてなくなってしまうわけではないので、要素性の観点からは、防衛者との間で共同正犯は成立しえます。この場合に、過剰防衛のつもりで共謀したのでないかぎり、正当防衛の共謀は「共謀」ではないとの主張もありえますが、いちおう「共謀」があったとすれば、「共謀」の射程がどこまで及ぶかが問題となります。
 当初「共謀」が、第一行為にとどまらないとすれば、甲については、共謀関係からの離脱が問題となりえます。これに対し、当初「共謀」が第一行為の限度でしか成立しないとすれば、第二行為について、甲乙間にあらたな「共謀」が成立するかを考えなければなりません。

丙の罪責についても、「共同正犯」とはなにか?という基本的な重要なテーマであったと思います。

出題意図がそのようなところにあったとすれば、共同正犯にふられた配点は、予想以上に高いものであった可能性があります。そうであるとすれば、個人的には、出題意図に答えられる答案が書けた気がしないのですが、相対的にはひどくはないかなと思いたいです。法務省の出題趣旨の公表がたのしみです。






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Last updated  2009.10.09 00:47:50
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