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カテゴリ:クルマ
一昨日のF1トルコGPのテレビ中継でセーフティカーの車内映像が映されました。 そのドライバーとナビゲーターが映し出されたショットが数十秒間、映し出されていました。 今までは、コース上を走るセーフティカーは何度も見てきましたが、その車内が映される事は 無かったと思います。 昨日の私のブログ記事では、車内映像がなぜ映されたのか意図不明と書いていました。 するとスカパーでこの中継を観ていた女性から、この運転手さんに関する説明があったとのコメントを頂きましたので、だんだんと気になってきたのです。 このドライバーはドイツ人でベルント・マイランダーという人のようです。 (英語っぽく発音するとメイランダー、ドイツには『ei』の発音が無いのでマイランダー) ドイツツーリングカー選手権やポルシェカップなどでレース経験がかなり豊富なドライバーです。マイランダー氏は2000年のF1からこの任に就いているようですね。 セーフティカーがF1に導入されたのは1973年からですが、その存在が明確になったのは、1993年にFIAがセーフティカーの役割に関するガイドラインを規定してからのようです。 セーフティカーは1996年にメルセデス・ベンツ社がAMGを無償提供するようになってからは、格段に性能(スピードが速い)が上ったようですが、それまでは決して速いとはいえなかったようです。 ここにその悲しい証左があります。 私が最も尊敬するF1ドライバーであるアイルトン・セナの悲劇です。 1994年のサンマリノGPのスタート直後にJ・J・レートとペドロ・ラミーの絡む大きな接触アクシデントが発生しました。 そこでコース上の安全が確認できるまで、セーフティカーがF1マシンを先導することになりました。当時は今ほどセーフティカーが速く走れなかった為、後ろを走るF1マシンのタイヤの温度が、どんどん下がり始めたのです。タイヤの温度が下がるという事は、そのグリップ力が落ちることになります。 そして、セーフティーカーがコースオフし、レースが再開されました。 ところが、冷えたタイヤで限界付近を走行していたアイルトン・セナは、時速190マイルのコーナーでコントロールを失い、・・・星となったのです。 もちろんこの事故は、セーフティカー走行が悪いという訳ではなく、セナの死がこの事に起因するのではないか、という可能性を示唆しているものだと私は思います。 でもこの頃から、F1におけるセーフティカーの役割は、重要視されるようになったようです。 一見ゆっくりと走っている印象があるセーフティカーですが、それは広いコース上でF1マシンなどと比べてしまうから遅く見えるだけです。 さきのベルント・マイランダー氏はこう言っています。 「雨ならF1より速く走れる」と。 それもそうですよね。メルセデス・ベンツのAMGは、アクティブ・サスペンションやESP(エレクトリック・スタビリティ・コントロール)、ABC(アクティブ・ボディ・コントロール)等々、現在考えられる安全に関するありとあらゆる最新の電子デバイスが搭載されていますからね。その質とレベルは日本車の5年くらい先をいくテクノロジーだと言えます。 一昨日のトルコGPでは最新型のSL65AMGのように見えましたが。 ただ市販の公道バージョンではなく専用チューニングが施されており、メルセデス・ベンツ社は希望があれば製作してお売りします、との事です。(市販車でも2800万円なので、家を売っても無理かもね・・・) それに加えてベンツ車を知り尽くしたレーシング・ドライバーが運転しているのです。 安全を最優先しながら、コース上のF1マシンをいたわりつつ、観客からは限界付近で走っているように悟られないようにドライヴしなくてはなりません。 これは素晴らしいプロフェッショナルな仕事だと、今回初めて知りました。 F1中継を観戦するときの、新たな楽しみが増えました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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