|
カテゴリ:環境
この間、このブログで懸念を表明してきたとおり、日本政府は今日インドネシアのバリで開かれた気候変動枠組み条約第13回締約国会議(=COP13)の席上、京都議定書方式の延長に反対する態度を鮮明にした。IPCCがこの間に明らかにした地球温暖化に関する最新の科学的知見を背景に、国別に温室効果ガス排出削減の数値目標を義務づける京都議定書方式を、さらに広く適用することを主張するEUとは正面衝突することになる。
日本政府は、「すべての国の参加が必要」でそのためには「柔軟で多様なやり方」が求められるなどともっともらしい理屈をこねているが、要するに「地球環境の危機」をダシに温室効果ガス削減を強制されることで、最大利益の実現を目指す企業行動に制限が課されるのはイヤだということだ。 京都議定書母国のこの絵に描いたような裏切り、当然、バリに集結した世界の環境NGOからはたちまち、「失望した」とブーイングの嵐だ。その一方で、政権を奪取したばかりの豪州ラッド新首相はバリ会議の開会にあわせ、同政権の初仕事として京都議定書を批准しおおいに株をあげた。政権を奪われた保守連合も敗北した選挙を機に京都議定書支持に転じており、豪産業界にも反対する動きはないことから、豪州はかたくなな「抵抗勢力」から一転して有力な「改革勢力」になる見込みだ。 その日本における、地球温暖化防止活動の末端に連なる者として、焼けるような恥の感覚とこみ上げる無力感を禁じ得ない。我が政府にこのような恥知らずな言動を許したのは、ほかならぬ我々の非力だからだ。人類が多くの可哀想な野生生物を道づれにして滅びる前に、我々日本の民衆は、少なくとも豪州程度の政治変革くらいは実現する力を持ち得るだろうか。
お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[環境] カテゴリの最新記事
|