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カテゴリ:小説 江戸珍臭奇談 貸し便お菊
江戸珍臭奇談 20 貸し便お菊 10 別嬪が罪だとは、お釈迦様でも知るめえよ、、、、、 豆腐のしぼり汁、滓、いらぬ者、捨てる物、その場所に『おから村』という名をつけたのは北町奉行の遠山影元である。 つづく 朽木一空
そのおから村へ渡るには、霊岸島の突先の板を並べただけの橋を渡る、地面がぐにゃぐにゃと揺れて足元がおぼつかない。こんにゃく島ともいわれている所以だ。 橋を渡るとおから村と呼ばれている地虫の熊五郎が支配する無法地帯があった。 でくに案内されてその危なっかしい板の橋を渡ると、異様な臭い、生臭い腐臭が体の中に染み込んでくるような気持ち悪さで、お菊はごぼっごぼっとむせ返った。 「おっ、お菊さん、だ、だから言わなこっちゃねえ、でっ、でいじょうぶかえ」 「んっ、大丈夫、なんだこんな臭いぐらい、」 お菊は強がりを言って着物の裾で鼻をつまんでおから村の中へ足を進めた。 掘立小屋が互いに支えあってやっと建っていて、いつ崩れてもおかしくはないあばら屋の狭間を歩く。 日焼けなのか、酒焼けなのか、どの顔も浅黒く、裸同然の男たちがにやにやしながらお菊の躰をぎらぎらした卑猥な視線で嘗め回した。 鼻や耳がそぎ落とされた男、片腕、片足の男、二の腕に二本線の入れ墨をした男、どうみてもまともな男たちとはほど遠い存在の人間たちだった。 掘っ建て小屋の陰に女の姿も見えたが、汚れた継ぎはぎの着物を着て、それでも首だけは白く塗っていた。まるで夜鷹の化け物に近かった。 はじめは異様な別世界に集まったように見えた男たちだったが、慣れてくると、みな、やけに明るい表情をしていた。 にやにや、けたけた笑っていて、悩みなんぞとは無用の世界であるようだ。 「ねえちゃん、いいケツしてるねえ、たまらねえな」 「二十文でどうだい、一発やらせろや」」 おへちゃもでぶもなかった。お菊を女とみて発情してる男たちがいた お菊は産まれて初めて色欲の対象として舐めるような視線を感じて体がうずいた。 ~私も女なんだわ~自分の中でもじもじしている感情がお菊は嬉しかった。 卑猥で、がやがや、あけっぴろげで、脂ぎった男の間をぬけて、でくの後について、地虫の熊五郎親分のいる掘立小屋へ案内された。 小屋の中はむっとする澱んだ空気に包まれていた。毛むくじゃらの大男が ギロッと、お菊を睨み付けた お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2019年10月19日 10時30分06秒
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