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久しぶりで、安部公房を読み返している。思うことを箇条書きにメモして後日の備えとしよう。
1。処女作には、その作家のすべての芽があるといわれる。その通りで、終りし道の標にという作品は、その後の安部公房の作品のプロットの原型になっている。それは、どのようなプロットであるか。 (*)それはひとことでいうと孤児の文学である。 2。これは、家長に、つまり長男に生まれついたことを否定する男の書いた小説だ。従い、この作家の書く小説は、消極的な(そういう意味では屈折した、裏返しの)家族小説、一族小説である。だから、偽の父親も出て来る。 3。安部公房の小説には、主人公が陰陽ふたりいる。 4。ノート形式での叙述。 5。芥川賞を受賞した作品、壁、これを第二の処女作と呼べるとしたら、やはりこの作品にもその後の安部公房の諸作品に登場するイメージが書かれているからだ。試みに列挙すれば:無名の主人公、病院、便所、箒をもった老人、制服、泥棒と探偵、洞窟と迷路、偽の父親、自分の部屋(空間)、そこからの脱出、自己から自己へ、ノアの箱舟。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007年01月23日 18時06分05秒
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