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満天記念日(建築の話しましょう。「建築目安箱」)

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2005/11/29
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カテゴリ:建築目安箱
      《建築目安箱》最近の建築業界どうなの? 

色々な展開が進んでいく中で、全然進んでいない偽造構造計算の補償問題。
この人たちは住人に補償するなどという気持ちは存在しないのでしょう。
やったことが悪かった、と思っていないのですから。
国会で、あれだけ逆上した参考人も珍しい。。。と、おもう。

様々な形で建築という行為をあらためて考えさせられているこの構造計算偽造事件に対し、私のブログにも、コメントやトラックバックを頂きありがとうございます。個々にお礼を申し上げるところですが、まずは、この場からお礼を申し上げます。

 むむ、ご挨拶でまた終ってしまいそうなので、本日の本題。

では、構造計算を偽造するということは、そんなに簡単なのか?

 はい、簡単です。

今まで偽造した前例がないので、だれもこんなに悪質な偽造をすると思っていなかったから、簡単にできてしまったのです。「やるはずがない」技術者の意識のレベル、モラルのレベル。これが今まで建築業界を支えてきました。でも、やっちゃったんですね。

 では、どうやったのか?

まず、構造計算をスピードアップするために近年はPCの普及が大きく係わっています。かつては電卓片手に、数式を書き出してはカチャカチャ打ち込んでいるのが構造計算の常識でした。手計算(て、けいさん)と言っています。手計算ですから、昔のほうが入力ミスや打ち込みミスが多くあったと思いますが、以前の構造計算の算出データーの量と、現行の入力データに基本的な変わりは無いと思います。

基本的な考え・・・建物を地震や風で壊れないようにする。です。

 データーの改ざんをする。

例えば、一度打ち出した構造計算書をコピーし、通常は計算の設定値が正しければ結果は「OK」と表示されますが、エラーした場合、(この設定値では持ちませんよ)という場合は「NG」表示となります。そこでNGのまま計算書をプリントし、「OK」という文字を貼り付け、再度コピーし、さも「OK」のように見せかける。。。という手法は簡単そうですが、実際膨大なデーターの一部をいちいち切り貼りしていたのでは、割が合わない。。。(何の??)

 で、簡単に差し替える。

申請物件が10階建てだとしても、もう一つ5階建ての物件を想定し、計算を始めます。5階建ての物件は正常値で入力されますから、もちろん計算書は「OK」とでてきます。
10階建ても正常な数値で入力しますから「OK」とでます。

でも、正常な数値では「コストダウン」になっていない。
そこで、5階建ての計算書の5階部分と思われなそうな、簡単に数値が改ざんされていなさそうな部分。(ここが専門家だからできることなのですが)そのページをそっくり入れ替えてしまう。

最初の設定は10階建てになっているのですが、途中から5階建ての計算書にすり替わっているんですね。で、巻末はまた10階建ての内容に切り替えておく。この方法だと、1文字1文字を訂正するのではないので、修正箇所が見破られ憎い。
これが、私だったらこうする!データーの偽造。。。です。

考えるまでもなく、専門家だったらこうすると思います。

では、その入れ替えたページのチェックができないのか?ということになりますが、チェックできなかったから、こうなっちゃったのです。姉歯だって最初は内心ビクビクもので改ざんしたと思います。でも、すんなり通ってしまった。で、(なぁ~~んだ・・・わりと簡単・・)と思ったでしょう。

さて、先日もTVで放送していましたが、「どうしてこんなに簡単に許可がおりちゃうのでしょう?」というキャスターのコメント。何度も言うようですが、確認申請業務は許可申請ではありません。建築基準法の下では、大原則が「誰も不正はしないこと」。に、なっているんです。従って申請書は「許可書」ではなく「確認通知書」という形になっています。「あなたの提出された建築物は建築基準法に照らし合わせて、特別問題は無いと思うよ。なのでその件について通知いたします」ということです。この場合申請者は「建築主」です。

設計事務所が申請をするのではありません。
建築設計事務所は「建築確認申請業務」をするだけなのです。

確認申請業務は建築士の裁量に委ねられる部分が多く、法に合致した建築物をこのように設計しましたから、法に照らし合わせて、審査してください。というのが確認申請です。
ですから、建築士が他人の一生の財産をそんな偽造構造計算で、簡単に壊れてしまうコストダウンなんか、するはずがない。この大前提で建築確認申請業務は進められてきました。

実際、この事件が発覚するまでは、それが当たり前だったのです。

姉歯という建築士がもたらした、設計に対する不信感。不振感。
建築士法による建築士に対する罰則規定など、あって無いようなもの。

「天下のザル法」という認識がまた強くなってしまったのが残念です。





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Last updated  2005/11/30 12:53:59 AM
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