カテゴリ:50&60年代男性ソロ
1908年生まれのアルバート・ランカスター“A・L”ロイドは若い頃にはオーストラリア生活歴があり、その経験を生かして本物のオーストラリア人トレヴァー・ルーカスと、同じくオーストラリア移住組マーティン・ウィンダム・リードと連名でオージー民謡集を71年に制作したり、また酒飲み歌ばかりを集めたアルバムも作っているんだけど、これはルーカスとウィンダム・リードを従えて作った捕鯨トラッド集。 実際御大は捕鯨船に乗っていたこともあるから、こういうのを作っても取ってつけた感がまるでない。 ジョーディの捕鯨歌4が前回のジャック・ザ・ラッドとかぶっているけど、横揺れグルーヴィーだったジャック少年のバージョンに比べると、こっちのは男性三重唱でまた別の重さが。 御大本人のお声はちょっとよれってるし、まあ端からこの方の歌唱力に対しては何も期待していないけど(けなしてるわけではないよ)、舎弟2人が太いからねぇ。ウィンダム・リードはどっちかというと高めの音域なんだけど、ピッチが狂いそうな気がまったくしないほど安定感があって、パキッとした声。一方ルーカスはダーク。3人の中では一番年下だけど(43年生まれ。ウィンダム・リードはその前年の生まれ)、一番渋い声してるよ。 伴奏楽器も重さを出せるのはフィドルぐらいのものだし、舎弟の働きがなかったら重厚さも薄まっていたことだろうね。 前出の4やロジャー・マッギンがジュディ・コリンズとデュエットした8(5月14日のレビュー#32参照)のほかにもそそられる曲はたくさん。 収録曲の中では抜けて長尺の6はヴァース部分が“グリーンスリーブス”みたいだし、ラストの15は子どものころに歌った“きしゃぽっぽ”に似てる。 御大が1人で歌うもの、コーラス入りのもの、アカペラ重唱のもの、伴奏付きのものといったあたりが演奏パターン。 とくにヘヴィな三重唱とコンサーティーナの伴奏が軽いタッチの曲の落差が激しすぎ! 50回は無理としても10回ぐらいなら連続聴きできそうなほど好きな作品だけど、つい最近この手のものを聴き始めたお客様にはお薦めできませんなあ。なぜって、やっぱえぐいんですよね、御大の歌声。いい意味でも悪い意味でも。 余談。この辺の時代によく出てくるアルフ・エドワーズですが、てっきりデイヴ・スウォブリックと同じようなポジションとばかり思っていたら違っていました。 1905年生まれで御大より年上! でも御大より3年長く、80歳まで生きています。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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