カテゴリ:50&60年代男性ソロ
…となるとバート・ヤンシュを出さないわけには。 5月7日に取り上げた「ジャック・オライオン」の1つ前の作品、ソロ通算2作目です。 今ではすっかり恰幅がよくなっているバートも65年当時はスリムな青年で、でもギターと歌声は20歳ちょいすぎの小僧のものじゃない。 スティーブ・ウィンウッドほどではないにしろ、彼も老け声だなあ。年を食うにつれだんだんと歌声が年齢に近付いていくタイプだ。まあウィンウッドはあの歌唱力で若さを消している部分も少なからずありそうだけど…。 偶然にも実力派シンガーを引き合いに出す羽目になりましたが、私のような素人が聴いてもこの人、歌は上手くないと思います。同じ音を伸ばすとこでは必ずといっていいほど苦しげによれているし(意識してそうしているのかもしれんが)、高音部はやけくそ気味にうぎゃー3歩手前。 でもね、魅力的なシンガーではあるのですよ。 味わい深いというのは陳腐な表現ですが、そんじょそこらの者には真似できない見えない何かを持ってます。 ここで聴いてもギターのアタックはやっぱり強い。 同じフレーズを弾かせたら、前回のデイヴィ・グレアムの場合は♪ジャン、ゲスト参加のジョン・レンボーンの場合は♪ジャ~ンン、そしてバートは♪ッジャン! けれども流麗に爪弾いている曲もかなりありまっせ。地元でドサ廻りをしていた10代の頃からあの腕前だもん、音の強弱なんて朝飯前だよね。 レンボーンとの共作10、アレックス・キャンベルのカバー12、トラディショナルの14を除いてすべて自作。 あっと驚くどんでん返しがない代わりに飽きる箇所が少しもなくて、安心して聴いていられます。 仮にペンタングルが存在していなかったとしても、スコットランドを代表するシンガーソングライターの1人として高評価を得ていたんじゃないかと思いますね。 彼も間違いなくたくさんの民謡を聴いてきたこととは思うけど、今作ではイングランド民謡の“キーズ・オブ・カンタベリー”の影を強く感じました。ほのかに物悲しげなこのトラッドが、何曲かのバックで鳴り響いているような感覚にとらわれましたよ。 それから12の真ん中あたりで登場するフレーズは、次作に登場する“ブラックウォーター・サイド”のラストのリフレインと同じメロディ、ついでに14も次作でもやっています。 【送料無料】Bert Jansch バート・ヤンシュ / It Don't Bother Me -自由と魂 【CD】 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2010/03/14 10:38:42 PM
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