カテゴリ:70年代男性ソロ
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ルイス・キャロル、ウィリアム・バトラー・イェーツなどが書いた子ども向けの詩にドノヴァンがメロディを付けた曲と自作曲、少々のカバー(トラッド含む)で構成される大作。 レコード時代は2枚組で発表されましたが、CDでは1枚。収録曲数は多いものの、3分以上の曲は1、15、17、22、23、26の6曲だけなのでトータルタイムは約74分となっています。 ちびっ子の歌声や笑い声、ヘリウム加工したような変な声なんかが入っていて、小学校低学年の子どもたちが先生の弾くオルガンの周りで歌っているかのよう。 ドノヴァンは絵本を読み聞かせるように歌っていることが多く、時にはかつてのヒッピーサイケな面が登場することもあるけれど、ここでのパフォーマンスは実にお父さんっぽい。 そう、基本的にはとてもかわいくて落ち着きのある演唱なんだけど、一部ではどこか不気味で深遠な部分も内包しています。 一見メルヘンなパトリックによるジャケも、よく見れば胴体がやたら肥大しているウサギとアザラシ、ドノヴァンの左膝の近くに入る赤いハートの顔をした生き物(猿?)等々…。 純粋で毒気のない優等生的な演奏では済んでいないことを、このジャケは暗示しているようです。 日本の童謡に寒気を覚える内容のものが少なからずあるように、ここで取り上げられている詩にもそういったものがあるかもしれないなあ。 そういや唯一のトラッド26は商船を襲い、その船の乗組員を溺死させる海賊が主人公だし(このバラッドは実話を基にしていると言われる)、わざわざ犯罪ソングを選ぶところにもドノヴァンのこだわりが感じられます。 この曲であることに深い意味はないのかもしれませんが、お子様仕様の曲はほかにいくらでもあるだろうに。 それとも、ほっかむりして唐草模様の風呂敷を背負った泥棒が一部でアイドル的な人気を博しているような感じで、向こうの子どもにとっても賊は格好のネタなのかもしれないです。 実はドノヴァンも王道後回しの法則に当てはまっていた人で、買うようになったのはここ2~3年のこと。 これはおととしの2月に買ったのだけど、不気味かわいいとこが肌に合って今のところ所有している8枚の中では最もよく聴いています。 27の旋律は大好きな“ラグルタグル・ジプシーズ”でもあることだしね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006/11/09 07:40:00 PM
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