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ヒロタカズマ

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October 22, 2008
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カテゴリ:現代社会の問題
06.差別

私有財産制と資本主義の原則が貫かれたおかげで、黒人にも道が開け、地位の向上にもつながった。……一般にどんな社会でも、独占に近いことが行われている分野では差別が続きやすい。これに対して自由な競争が行われている分野では、人種や宗教の違いによる差別は起きにくい。

●資本主義には「悪い資本主義」と「良い資本主義」があるらしい。フリードマンにとって「良い資本主義」だけが資本主義であって、「悪い資本主義」は別物らしい。人間を労働力という商品扱いするどころでなく人間そのものを家畜のような商品としてアフリカから連れてきたのは悪い資本主義なのだろう。
●資本には善意などなく、市場にも温情などはない。そこにあるのは利害打算しかない。市場の無差別性が商品価値以外の差別を排除するのは事実であるが、そこには人間性のかけらも存在していない。
●利潤追求が目的である資本が人種や宗教の無関心であるのは当然のことである。だからといって、資本主義社会になれば人種や宗教に基づく差別が自動的に消えてなくなる訳ではない。民主化運動や差別撤廃などの市民運動がなければ差別が少なくなることはなかったであろう。

07.法人税

●以下の記述については異論があるわけではなく、フリードマンの思想が典型的に述べられていて面白いと思った。
独占を根本から防ぐもっとも効果的な手段は、税制改正である。まず、法人税は廃止すべきだ。また法人税を廃止しなくても、企業は配当として払い出さなかった利益も株主の所有に帰すべきである。……これは資本市場や企業活動を刺激し、競争を活性化するきわめて効果的な手段だと信じる。
また、累進制も問題である。個人所得税の累進性が現在のように強いと、何とかして税金逃れをしたくなるものだ。したがって強い累進構造は……資源の効率的な活用を阻むことになる。


●つまり、フリードマンにとって、資本の意志を捻じ曲げるような税体系は競争的資本主義にとって有害であるということだ。
●「ベーシック・インカム」のヴェルナーが法人税の廃止を唱える理由(価格に転嫁される法人税は意味が無いので消費税に置き換えるべきだ)とは趣旨が全く異なり、資本の立場(資本の自由な活動)からの理由である。前者が基本所得のため、後者が株主利益の最大化のためである。

08.経営者の使命

企業経営者の使命は株主利益の最大化であり、それ以外の社会的責任を引き受ける傾向が強まることほど、自由社会にとって危険なことはない。……
……企業経営者は株主の僕ではなく社会の僕だというなら、民主主義社会においては、選挙を経て任命される公的手続きの対象となるべきだろう。


●さすがにフリードマンは首尾一貫している。よくぞ言ってくれたものだ。私の考える未来社会の企業経営者は選挙を経てその職に就くのである。そうでなければ社会の僕にはなりようがない。
■参考
未来社会の構造:職場の民主化

09.職業免許制度

……職業免許制度にも共通するのは、いずれも生産者を守るための措置だということだ。……職業免許制度というものは、単に政府介入の問題としては片付けられないように思うこの国では個人が自分の望むことをする自由が、すでに重大に侵害されているのである。

●フリードマンにしてみれば医師免許も容認できないのは勿論である。この結論については私も賛同できる。但し、医療の安全性をどう確保するかについての記述はない。医療の安全確保に関しては医師・患者ともに自己責任なのであろう。
●私が考える未来社会では、免許や資格といったものは一切必要ないが、インターネットなどに経験や職業経歴などが記載されていて、教授や推薦者などのコメントやリンクが貼られることで、その人の信頼性を見ることができるようになる。インターネットの買い物で詐欺行為を防ぐために売り手や買い手を評価する仕組みがあるが、こういったものをより充実したようなものを想定している。
■参考
未来社会の構造:職業

10.所得の分配

「各人へは、それぞれが所有する手段を使って生産したものに応じて」--市場経済における所得の分配の根拠となり得る原則がもしあるとしたら、これになるだろう。

●ということだが、実態は程遠い。「生産したもの」ではなく「販売できたもの」と言うべきだろう。従って、販売できない生産物、例えば豊作で売れない農産物、価格競争に負けた商品在庫、家庭内労働によって生み出されるサービス…これらは皆、「生産したもの」である。
●市場経済の原則がどうであろうと構わないが、人間社会の原則とするのは、はなはだ問題である。社会には生産者になれない人々が少なからずいる。社会学の本には、分配的公正には3つの条件(衡平、平等、必要性)があると記載されているが、この世に生まれた人がそれぞれの人生を全うできるには必要性条件(困った人に優先的に便益を分配する)がベースになければならず、衡平条件(競争の結果などによる分配)が最優先されることがあってはならない。

相続財産に起因する不平等はじつにもって腹立たしい。それに比べれば才能の不平等は致し方ないし、本人の稼ぎが原因で不平等になるのもよしとしよう、と考えられている。
しかしこんなふうに区別するのはおかしい。両親からすばらしい美声を授かって巨万の富を築くのはよいが、両親から相続した財産で高収入を得るのは不当だと言える根拠はどこにあるのだろうか。
……自分の能力や才能で生み出した富は好きにしてよいし、自分が築きあげた富が生む利益も勝手にしてよいが、富を子供に譲るのは認められないというのは、つじつまが合わないではないか


●人の資質を両親から譲りうけるのは天命であるからしかたがないというのと同じ理由で、財産も親から譲り受けるのは当然であるとのことである。後者がダメなら前者の不公平を何とする、と言いたいのであろう。資産家達が泣いて喜び、拍手喝采するくだりである。
●フリードマンが言う「富を子供に譲るのは認められないというのは、つじつまが合わない」というのは、法の前の平等とは名ばかりの「王の息子は王、農奴の息子は農奴」という身分制度の現代社会版である。
●資産家の自由ばかりが主張され、貧乏人の息子達の不自由は親の甲斐性のなさと思ってあきらめろ、それでも不満なら機会の平等があるから自分で努力してみろ、ということである。

●動物の子は、巣立った後は親の遺伝子しか頼りにしていない。果たして、財産と資質を同等に扱うことができるものであろうか?
●フリードマンの説からは「親から受け継いだ資質」に関しても、資質に恵まれない者は貧しくてもしかたがないと推論できる。資本の意志に忠実な能力主義は「資質の劣った者」に烙印を押し、差別をすることになる。私有財産・資本主義の論理は生物的・社会的な優生思想であるように思う





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最終更新日  October 22, 2008 07:11:09 PM
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