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くもり時々映画

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2018.03.21
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カテゴリ:極私的映画史


 1983年7月、ルイス・ブニュエルが亡くなった。「ブルジョワジーの秘かな愉しみ」や「自由の幻想」で好きな監督ではあったものの、「好き」といえるほどの本数を見ていなかった監督だ。亡くなった次の年、1984年には、日本未公開作「銀河」や遺作「欲望のあいまいな対象」が公開されただけでなく、代表作の連続ロードショーも行われた。僕が一番好きなブニュエル作品「皆殺しの天使」は、その1本としてラインアップされていた。

 まず何といってもタイトルがいい。「皆殺し」と「天使」という相反する言葉の組み合わせだけでも、ブニュエルらしい常識破りの雰囲気が漂う。もちろん、不穏なのはタイトルだけではない。晩餐に集まったブルジョワたちが、なぜか邸から出られなくなってしまうのだ。なぜ出られないのかは不明。閉じ込められたブルジョワたちが困惑するのは当然だが、見ているこちらも何が何だかわからず混乱する。そして唐突に、またも理由のわからぬままブルジョワたちは脱出に成功する。

 閉塞状態に置かれたブルジョワたちの心理が、そのまま見る者に乗り移ってしまうかのような作品。映画を見に来たつもりなのに、わけがわからぬまま、映画の世界に巻き込まれてしまうのだから、たまったものではない。しかも、トリックなんていう上品な言葉ではなく、ペテンという言葉がぴったりのいかがわしさが充満している。世の常識や良識を笑うシュールレアリスト、ブニュエルの本領発揮といえる作品だろう。

 また、これがメキシコで撮られたということも重要なポイントだ。土着の宗教とキリスト教が融合した中南米独特の風土が、まさに「皆殺しの天使」というタイトルを表現するのにぴったりなのだ。中南米の風土が生み出す「生々しいファンタジー」が「皆殺しの天使」にも息づいている。メキシコ時代のブニュエル作品は、数年後に特集上映で見ることになるが、本作はそれらの集大成ともいえる傑作である。


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Last updated  2018.03.21 16:00:23
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