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2018.06.23
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カテゴリ:極私的映画史


 映画館への愛を描いた作品といえば、ジュゼッペ・トルナトーレの「ニュー・シネマ・パラダイス」が有名だが、同じ1989年に同じテーマで、同じイタリアで製作されながら、その陰に生まれてしまった映画がある。エットーレ・スコラの「スプレンドール」が、その映画だ。カンヌで審査員特別大賞を獲得した「ニュー・シネマ・パラダイス」は日本でも程なく公開されたが、「スプレンドール」は少し間を置いて1991年に公開された。

 エットーレ・スコラは1977年の「特別な一日」で日本でも注目され、その後「パッション・ダモーレ」や「ル・バル」など、ヒネリを効かせた作品で高く評価されていた監督。1980年代前半はミニシアターブームも相まって、ちょっとおしゃれなセンスの監督として認識されていたが、そもそもはベタなイタリアン・コメディを撮っていた人。1984年「マカロニ」、1987年「ラ・ファミリア」と原点回帰ともいえるイタリアくさい人情ドラマが続き、その後に撮ったのが「スプレンドール」で、これまたベタなイタリア映画だった。

 この映画を見た当初は「ニュー・シネマ・パラダイス」より大人の映画とは思いながら、こじんまりとまとまった作品に思え、それほど気に入ってはいなかった。ところが、「ニュー・シネマ・パラダイス」が必要以上に持ち上げられるのを見て、根っからのあまのじゃくな性格が頭をもたげてきた。「いや、映画館への愛を描いた作品ならスコラの『スプレンドール』の方が断然いい!」。

 実は「ニュー・シネマ・パラダイス」を見た時は、結構感動していて、その感動の度合いは「スプレンドール」の比ではなかった。「『スプレンドール』の方がいい」と言い張るためには、まずはその感動の理由を分析しなければならない。それは単純な理由だった。主人公トトを中心に話が進むので、感情移入がしやすいのだ。その上、素人っぽい子役にベテランのフィリップ・ノワレを組み合わせるという伝統的な子ども映画の枠組みを踏襲。そして、成人したトトをかつての2枚目スター、ジャック・ペランが演じ、1970年代の映画を知るファンの心をくすぐる。今もそうだが、トルナトーレはあざとい!

 スコラの「スプレンドール」はあざとくないと言うと嘘になる。特に感動的なラストシーンは、あまりにできすぎだ。が、その大甘のラストシーンに至るまで、スコラが職人監督ならではの腕をしっかりと見せてくれる。2人の男と1人の女という伝統的な組み合わせも、スコラならではのこまやかな演出で嫌味がない。そして何より「スプレンドール」がいいのは、主役は3人でも彼らだけのドラマではなく、スプレンドール座に集う人々に映画になっていることだ。「ニュー・シネマ・パラダイス」との一番の違いはここにある。そしてだからこそ、できすぎのラストシーンでも、イヤな感じを受けないのだ。

 「ニュー・シネマ・パラダイス」は今でも傑作として語られることが多いが、「スプレンドール」はほぼ忘れられた存在になってしまっている。時間が経てば経つほど「スプレンドール」は良さが染み出てくるかのような作品。職人的な監督だったせいか、スコラ自体も忘れられつつあるのが残念だ。スコラの代表作のブルーレイ化を希望する。





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Last updated  2018.06.23 20:05:42
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