【日々安らかに過ごすために捨てるもの】
【日々安らかに過ごすために捨てるもの】 ★斎藤茂太さんの言葉から― ◎運動にも「捨てる力」がある。 ウオーキングしたり、ストレッチをしたりをしたりして体を動かすと、脳に セロトニンという物質が分泌される。 これもストレスを捨て去ることに役立ち、心を元気にしてくれる。 汗を流して捨てる。 汗を流したあとには、心地よい疲労感から体は少し重たくなるが、反対に心 は軽くなる。心から、よけいなものが捨て去られた証拠だ。 ちなみに自殺者の脳を調べたところ、セロトニンの値が正常値より低かった そうである。 太宰治が入水自殺をしたとき、こんなことをいった人がいたと覚えている。 うろ覚えだが、「彼に乾布摩擦や体操をやる習慣があったなら、自殺など考え なかっただろうに」と。一理ある。 思いつめてしまう人には、運動不足という側面があるのではないか。 そのために心にたまっている、苦しい思いを「捨てる力」が減少していると 思うのだ。 汗を流す習慣を持っておくことが、楽天的な人生をつくり上げていくともい えそうだ。 捨てるから、クヨクヨしない。捨てるから、楽天的でいられるのである。 感動して捨てる。 感動すること、そして何かに夢中になることにも「捨てる力」がある。 「スターウォーズ」に三時間ばかり、夢中になって歓声をあげる。 音楽、小説でもいい。 その間、日頃のうさはどこかに消えて、そのあとに心がスーッと軽くなって いるのを実感する。 散歩の途中、西の空がまっ赤に染まっている。 「ああ、きれいな夕焼けだなあ」と感銘を受けるとき、同時にポロリと心の うさが捨てられる。 「捨てる」ために「感動する力」も養っておきたいところだ。 (参考文献:斎藤茂太著「『捨てる力』がストレスに勝つ」集英社文庫)________________________________________ *仏教(禅語)に「放下着」(ほうげじゃく)という言葉があります。 人間の心の一部には、自分の思い通りにしたい・私のものにしたいという 欲望があります。 しかし、執着して自分の思い通りにいかないとき、悩みや苦しみが生まれる ものがあります。 それが、ストレスというものです。 そのストレス(執着心)を、解き放ちなさい―というのが「放下着」という 言葉の意味するものです。 ストレスとうまくつき合えないとき、まず、そのストレスを捨てることが できれば、次の一歩に踏み出すことができます。 とりあえず、小さな執着心を捨ててみましょう。