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佐遊李葉  -さゆりば-

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2014年04月01日
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カテゴリ:羅刹
 昨夜も、能季は庭に面した簀子の欄干にもたれかかって、曇り空で笠を被っている月をぼんやりと眺めていた。

 背後に下ろされた御簾の奥では、皆がしきりに騒いでいる。

 どうやら誰かをからかっているようだが、能季は初め気にも留めていなかった。たまたま年配の宿直人が席を外して少年たちだけになると、決まってこのような些細な諍いが起こる。そのような子供じみた行いは日常茶飯事だったし、能季には大して興味のないことだった。

 だが、苛めは執拗に続いているようだ。耳を澄ますと、こんな話が聞こえてきた。

「昨夜は私が宴の松原まで行って、この小袖の片袖を取ってきた。明日の晩はそなたの番だ。明日の昼間、大宮川のほとりの柳の木に、私がもう片袖を結びつけておくから、夜になったら一人で取って来い」

「……そんな約束はしていない」

「夜中に宴の松原になど一人で行けるわけがないとそなたが言い張るから、私が行って見せてやったのではないか。こうして証拠の片袖も持ってきた」

 今、能季たちのいる内裏の西隣には、宴の松原と呼ばれる広い松林がある。そこには、遥か昔に若い女房が美しい男に姿を変えた鬼に食われたという伝説があった。昼でも小暗い木立の辺りには人通りも少なく、夜ともなれば鬼を恐れて誰一人近づく者などいない。

「私などにできるはずはないというくらいだから、そなたにはさぞかし勇気があるのだろうな。さすがは摂関家の嫡子だ」


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最終更新日  2014年04月01日 15時32分33秒
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