215536 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

佐遊李葉  -さゆりば-

佐遊李葉 -さゆりば-

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

キーワードサーチ

▼キーワード検索

プロフィール

vyゆりyv

vyゆりyv

カレンダー

カテゴリ

カテゴリ未分類

(0)

露野

(129)

心あひの風

(63)

孤舟

(59)

かるかや

(68)

蒼鬼

(253)

光明遍照

(53)

山吹の井戸

(52)

きりぎりす

(217)

遠き波音

(50)

羅刹

(193)

コメント新着

vyゆりyv@ Re[1]:羅刹 -193-(10/05) 千菊丸2151さん いつもお読みいただいて…
千菊丸2151@ Re:羅刹 -193-(10/05) 是非このブログを残してください。 ゆり様…
vyゆりyv@ Re[1]:羅刹 -192-(09/14) 千菊丸2151さん だらだら更新に最後まで…
千菊丸2151@ Re:羅刹 -192-(09/14) 漸く完結しましたね。 ちょっと後味が悪い…
vyゆりyv@ Re[1]:羅刹 -190-(09/08) 千菊丸2151さん 花山院皇女は惚れた弱み(…

サイド自由欄

QLOOKアクセス解析
2015年01月28日
XML
カテゴリ:羅刹
 老尼はさめざめと涙を流した。

 能季はまた片方の手で、宥(なだ)めるように老尼の肩を撫でた。そして、もう一方の手の指先を顎(あご)に当てて考え込んでいたが、やがて老尼が落ち着いてくると訊ねた。

「当子様が三条院のところへ引き取られてから後、道雅殿は一度も当子様に会えなかったのだろうか」

「おそらくそうでございましょう。当子様は警備の厳重な御所の奥に住まわされ、常に三条院付きの女房たちに見張られていたそうですから。ただ、道雅殿は当子様に文はお出しになっていたようです」

「よく取り次いでもらえたな」

「いえ、普通の文はすべて突き返されたでしょう。わたくしの出した文さえ取り次いでいただけなかったくらいですから。ただ、わたくしが小一条院に引き取られた後、三条院の女房の一人が文箱を一つ送って寄越したのです。その女房が言うには、道雅殿からの文は院のご命令で片端から送り返したのだそうですが、ある朝女房が当子様の部屋の前を通ると、簀子(すのこ)の匂欄(こうらん)に文が結び付けられてあったのだそうです」

「それが道雅殿の文だったのか」

「はい。まさしく道雅殿の手蹟で、歌が書きつけられてありました。もちろん、院から厳しく命じられていましたので、その文を当子様へお取次ぎすることはなかったそうでございます。でも、あまりにも切なる想いの篭(こも)った歌の素晴らしさに、その文を反故(ほご)にしてしまうことが女房にはどうしてもできなかったそうです。それで、文はこっそり自分の手文庫の中にしまっておいたのだとか。わたくしが小一条院にいると聞いて、道雅殿とは因縁浅からぬわたくしに託すのが一番良いのではないかと、送って寄越したそうでございます」


にほんブログ村 小説ブログ 歴史・時代小説へ
↑よろしかったら、ぽちっとお願いしますm(__)m





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2015年01月28日 16時40分29秒
コメント(0) | コメントを書く
[羅刹] カテゴリの最新記事



© Rakuten Group, Inc.