アクセル全開の生き方
論語に「君子は和して同ぜず、小人は同じて和せず」という言葉がある。森田先生もこの言葉を引用している。修養のすすんだ人は、人の気持ちを思いやったり、協調して仕事や家事などをなすことができる。でも、決して人の道に外れたこと、道理にはずれたことに同調することはない。また自分の正直な気持ち、意見、意志、希望はしっかり持っている。安易に妥協して、相手に合わせるということではない。相手の思惑に合わせて我慢したり、耐えたりすることではない。ここで大事なことは、自分の感情、五感の感覚、気持ち、気分、思い、体の感覚、欲求、意志、希望を大切にすること。それらを第一に優先して考え、行動していくことではなかろうか。自分の気持ちが楽か、自分の体が楽かを重視する。自分の気持ちに正直に向き合うということです。どんな自分であっても認める。理想としては自分を大好きになる。自分のどんな感情、どんな気持ちも受け入れて味わい、実感する。自分の意志を尊重し、それを実感する。自分のために、自分を自由に表現して生きる。そのためには、自分の気持ち、感情に気づく自分の○○したい。○○したくない、といった欲求に気づく自分の「好き嫌い、快、不快」といった感情を基本にする相手よりも、自分の意思を優先する自分の気持ちを基準にして「断る、引き受ける」を心から認める。これは自分中心の生き方です。森田で言う「生の欲望の発揮」です。まずは車のアクセルを踏み込むことに力を入れる。これが重要です。我々は少しスピードがでればすぐにブレーキを踏みこむ習性があります。だからこの際ブレーキをかけることは忘れてもよい。アクセルを思い切って踏み込むことによって、はじめてバランスがとれた正常な状態に戻っていくのだということを意識するべきだと思います。我々の当面なすべきことは、ブレーキをかけることではありません。アクセルを思い切って踏み込むことなのです。