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桃山の美とこころという本を読んで、室町時代の美術が豪華絢爛を求める心とわびさびを求める心が表裏一体となっているという解説にめっちゃ納得してしまった。
感動したところ ①宣教師ザビエルと禅僧の忍室の会話。 (ザビエルって名前久しぶりに聞いたなー) 青年期と老年期のどちらが良いか、という問題をめぐっての会話 ザビエルが「一艘の船がぜひとも目指さなければならない港を目指している場合、嵐にさらされる航海中よりも、目的地の港までもうすぐそこまで来た段階の方がより一層嬉しい。だから老年期の方が良い」 と言ったのに対し、 忍室が「目的の港に行こうとしている人にとって、それは大変喜ばしいことであるが、私はどの港へいくか決めていないし、どこへ上陸すべきなのかわからない」と応えた。 キリシタンは神から与えられる試練を乗り越えて理想へたどり着くことが人生のゴールと捉えているけれど、禅僧にとってはいく「べき」ところなどはなく、超越的で絶対の存在もなく、ただ現在を現在と捉えるのみ。理想、将来から現在の未熟な自分を見るのではなく、現在の自分を捉えるのみ、という考え方がサイコーと思った。 こういう考え方よっぽど自信がないと無理な気がする。分かりやすい目的があって、それを達成するための途上に自分がいて、どこへ行けばいいのか道を示してくれる絶対的な存在があるって物凄く楽な生き方だ。自分で決めてないから。 現在の自分がただそこにあって、目の前の物を味わうってのが今の私の理想の生き方だわ。 これだけ生き方が多様化している中でこうあるべき姿というのはもうないもの。 分かっていても、目の前の物を味わい尽くすっていうのがなぜかできない。目の前の物が目減りしないように、できれば増えていくように、少し先の未来に向かって努力するという考え方が無意識のうちにしみこんでて、楽しんで使い切るよりはセーブして長持ちさせようと考えてしまう。 価値があるものという認識だって、世間一般の人が価値があると言っているものを妄信しているだけな気もする。禅の思想にもう少し触れてみようかしら。 ②華麗な金襴の屏風と幽玄の水墨画の対比 桃山時代の美術というと金箔張りの屏風を思い浮かべるけれど、シックな水墨画もたくさん書かれたらしい。南蛮人の豪華な衣装や遊女たちの華麗な姿を金箔張りの豪華でエネルギー溢れる絵にした一方で、精神的な深い場所へ潜り込んでいくような奥行きある水墨画が描かれた。 なるほど、と思ったのはエネルギー溢れるように見える金襴の絵の方が、鑑賞者は受動的な見方をして、墨の濃淡で描かれた水墨画の方が、観賞することで自身の精神の奥深くまで到達しようとする能動的な見方をするということ。 自分もなぞの創作活動をしているけれど、水墨画に漂う禅の考え方には共感してしまった。豪華さとか美しさだけを求めるのではなく、鑑賞者の心にある暗い心の襞みたいなところに共鳴できるものを作りたいと思っているから。可愛らしくてうっとりする、というものも素敵だけれど、もっと心の深い所で溶け合うような、見ているとその対象が自分なのか作品なのかわからない、自分と作品との境界すら曖昧になってしまうようなものを作りたいと思う。 ③伏見城には絢爛な御殿があった一方で、めちゃくちゃシンプルな掘っ立て小屋みたいな草庵があった。 秀吉のわびさびへの関心は千利休の影響によるものではなく、もともと持っていた傾向が千利休によって伸長された、という説。 草庵の設計は秀吉自身が行ったのではないにしても、内部構造に物凄いこだわりがあると書かれている。 草庵の中で正座すると、狭い室内なのに奥行きが感じられるとのこと。窓から入る光がものすごく淡く来客を照らすらしい。そういう草庵を城内に作ったということは秀吉自身がわびさびを強く求める心があったという説にはそうかもしれない、と思ってしまった。 それにしても風流すぎる。御殿で狩野永徳の絵画を楽しみ、内省したいときはわびさびの境地の草庵にこもる。やりたいこと全部やった人って感じ 絢爛豪華とわびさびの二面性を詠いながらも、わびさびの方がに好みが寄っている本だった。 これがわびさびなのか、というのは解説つきじゃないとわからないことが多かった。草庵はただの掘っ立て小屋に見えたし、わびを体現した茶器は素人がテキトーに泥をこねて焼いたツボにしか見えなかった。 そしてこの両極端なものが2つそろってようやく効果を発揮するのだとも思った。豪華なだけじゃ成金だし、わびだけでは廃墟のようだもの。比較の仕方とか配置の仕方にセンス問われる感じ。これを言葉で解説すれば美学となるのね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2021.12.31 16:15:41
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