小説「心の声」7
久しぶりなので、あらすじも兼ねてます(笑) なぜか不思議な同居生活が始まった。心の声が聞こえる私と彼と、幽霊になっても死んだことが信じられない夫婦。私と彼は、心の声だけでなく、いつのまにか幽霊の声まで聞こえるようになってしまっていた。研究所で、研究や訓練されていたせいかもしれない。そこを脱走して、この夫婦の家に転がり込んだのだ。夫婦には、家庭内暴力を振るっていた一人息子が居たのだが、気がついた時には、もう家に居なかったそうだ。私は、彼が両親を殺して、逃げたのではと思ったのだが、この夫婦は激しく否定する。もちろんそんなことは信じたくないだろう。子どもを身ごもってる私だって、そんなふうに思いたくはない。でも、知らないうちに夫婦二人とも死んでいて、息子がいなくなっていたというのは不自然だ。あまり追求すると、夫婦の機嫌が悪くなって、この家に置いてもらえなくなるから、よしてはいるが。彼はどう思っているのだろう。いつもは彼の思ってることは、心の声として、よく聞こえるのに、この点だけは分からない。彼もまずそんなこと考えたくないのかもしれない。私も彼も、親の愛に恵まれず、施設で寄り添いながら一緒に育ってきたのだから。お互い相手の心の声さえ聞こえればいいと、言葉も必要としていなかったほど。私は、彼さえそばに居てくれればいいのだ。それでも、研究所で、母国語だけでなく、外国語も訓練されたから、なんとか話せるようにはなったが。二人の会話は口に出す必要がなくても、夫婦に話すために必要だから、役には立った。また、それとなく息子のことを母親に聞いてみる。どんな子ども時代だったのかと。母親は息子を溺愛していたようだ。小さい頃の可愛さと、優秀さを褒めちぎる。過保護と過干渉だったのかも。父親は仕事に夢中で、息子のことは母親に任せていたくせに、息子が登校拒否でうちに引きこもると、母親の責任だとなじったそうだ。それでも、息子が母親に暴力を振るい始めると、うちから逃げろと言ったそうだが、母親は息子を見捨てるようで、出られなかったらしい。父親だけに任せられないという気持ちもあったのだろう。それまで関わってこなかったのだから。でも、これがきっかけで、やっと関わりを持てて、かえって良かったのだろうか。息子がSOSを出していたのかもしれない。息子がここに居たら、その心の声を私が両親に伝えられるのに。両親の心の声も・・・。今、息子はどこにいるのだろうか?夫婦は自分達を殺したかもしれない息子のことを心配し、成仏できないでいる。死体さえもないということは、誰かが死体をこの家から運びだしたということだ。やはり他殺なのだろう。夫婦は強盗殺人とでも思いたいようだが、息子も殺されたのなら、一緒に幽霊になってるだろう。 出来たら最初のページから読んでいただくと分かりやすいと思います。ページの最後の「続き」をクリックしていただければ、次のページが出ますので、どんどん読めますよ。ご感想、アドバイスもよろしくお願いします。