既に各所のブログなどでも掲載されていて今更「ショパンコンクール第2次予選進出者32名決定」のニュースを掲載するのは、非常に気が引けるのだが、折角なので1次予選をネット視聴した際に感じた一言コメントを加えて、進出者32名を掲載しておくことにした。あらかじめご了承頂きたいのは、この感想はネット視聴における感想であること、それゆえに実際の印象とは異なる可能性も大きく、また私の主観がたっぷりと注がれているため、実際にお聴きになった人のなかには「そんな印象ではなかった」という人もいるかもしれない。
というわけで、これはある意味 私自身が彼らを記憶しておきたいがためのメモ代わりだと思って、読み流して頂けると嬉しい。コメント欄が空欄のものは視聴できなかった、あるいはコメントが浮かばなかったいずれかである。
No. | 演奏者名 | エントリー国 | 一次予選視聴した際の一言コメント |
19 | 河村尚子
Hisako Kawamura | 日本 | 安定した巧さ |
21 | 菊地裕介
Yusuke Kikuchi | 日本 | |
22 | ベン・キム
Ben Kim | アメリカ | 絶妙な歌いップリ。技巧面も良い感じ! |
24 | シチェパン・コンチャル
Szczepan Konczal | ポーランド | |
25 | ヤツェク・コルトゥス
Jacek Kortus | ポーランド | |
26 | オルガ・コズロヴァ
Olga Kozlova | ロシア | |
27 | 工藤奈帆美
Naomi Rachel Kudo | アメリカ | 響きの良い音色が印象的 |
29 | カー・リン・コーリン・リー
Ka Ling Colleen Lee | 香港 | ばりばりの技巧派。音も硬め。演奏の際の目線がちょっとコワイ |
30 | ディミトリ・レヴコヴィッチ
Dmitri Levkovich | カナダ | 鍵盤に椅子が近づき過ぎな印象が強いが、演奏は人を惹きつける何かがある。爽やか系のカナダのショパン頭 |
31 | イム・ドンヒョク
Lim Dong Hyek | 韓国 | 誰もが言うが確かに別格。安定した巧さがある |
41 | マルコ・ムストネン
Marko Mustonen | フィンランド | 絶妙な呼吸感がたまらない。技巧に走りがちな練習曲Op.25-11を音楽的に弾きこなしていた |
44 | 根津理恵子
Rieko Nezu | 日本 | 小技がピリリときく、そんな演奏 |
45 | 大嶺未来
Miku Omine | 日本 | 音楽的解釈がステキ。おおらかな演奏 |
46 | 大崎結真
Yuma Osaki | 日本 | 奏でる音色が実に綺麗。安心して聴け、ある意味模範演奏風な感じがしたりも。 |
47 | エスター・パク
Esther Park | アメリカ | なんといっても本当に楽しそうに弾いているその姿が良い。かなりどっしりかまえたショパンといった感じ |
54 | 佐藤卓史
Takashi Sato | 日本 | おだやかで実に音楽的な印象。安定感もある。 |
55 | 関本昌平
Shohei Sekimoto | 日本 | 凛々しい演奏 |
58 | ソン・ヨルム
Son,Yeol Eum | 韓国 | 演奏がどうのこうの、というよりも予選でエチュードを10曲も弾いたことにビックリ仰天。 |
63 | グラツィアン・シムチャク
Gracjan Szymczak | ポーランド | スケルツォは少々荒削りな感じがしたものの、ノクターンやワルツはとても耳に心地よかった |
66 | クシシュトフ・ツシャスコフスキ
Krzysztof Trzaskowski | ポーランド | 正統派な演奏。風貌が映画俳優? |
67 | 辻井伸行
Nobuyuki Tsujii | 日本 | 変な小細工的な表現無しに純粋な音色と演奏を楽しませてくれた |
72 | スワヴォミル・ヴィルク
Slawomir Wilk | ポーランド | 全体的に雑なイメージが強かったが、華やかな面もあり好みが分かれるところ |
74 | インゴルフ・ヴンダー
Ingolf Wunder | オーストリア | かなりの技巧派なのかエチュードの超速にビックリ。クリアな音が印象的だが、スケルツォは割とあっさり目であった |
75 | 山本貴志
Takashi Yamamoto | 日本 | 鍵盤に顔を吸い付けるような独特の演奏スタイルが印象的。うまく歌えており、しかもメリハリもあるから聴き手は飽きない。場内の観衆も大声援であった |
78 | アンドレイ・ヤロシンスキ
Andrey Yaroshinskiy | ロシア | 全体的に耳に優しい演奏で、エネルギッシュな曲でもそつなくまとまっているような気がする |
2 | アン・スージュン
Ann Soo-Jung | 韓国 | 模範演奏っぽい感じがする |
3 | ピオトル・バナシック
Piotr Banasik | ポーランド | 音が綺麗、弾き方は優等生風だったが、聴きやすい |
5 | ラファウ・ブレハッチ
Rafal Blechacz | ポーランド | 全体的にどれも丁寧に歌い上げられていて、安定した美しさがあった。もっと聴きたいと思わせる演奏家である。 |
6 | ニコラス・ブランギエ
Nicolas Bringuier | フランス | |
8 | チャン・チャオイン
Chang Chiao-Ying | 台湾 | バラードの歌いどころをよく把握して演奏している。音色も全体的に柔らかく温かい。 |
32 | イム・ドンミン
Lim Dong Min | 韓国 | よく歌い、安定感もあり。演奏の途中で退席した、あれはなんだったのか?エチュードOp.10-4はかなりの超速、しかもきちんと弾ききっている。 |
13 | アレクセイ・ゴラッチ
Alexej Gorlatch | ウクライナ | |
こんな感じであったが、第2次予選ではソナタ・マズルカ・ポロネーズに限られてくるため、第1次予選で受けた印象とは大きく異なる可能性もありそうだ。
今回、第2次予選の進出への道に漏れてしまったが、個人的に応援したいのは演奏No.38のアレクサンドラ・ミクルスカさん、内声の響かせ方が実に心に沁みた。そして76番のリョー・ヤナギタニさん、ちょっとシブガキ隊のヤックン似の彼は終始爽やかな演奏で、聴いていてとても楽しかった。今回は残念だったが、こうして個人的に良いなと思っている人間も結構いるはず。他の出場者の皆さんに対してだって、進出有無に限らず予選を通して「あ、またあの人の演奏を聴きたい」と感じた人だっているだろう。
これを機会に、更に大きく羽ばたかれることを、大いなる活躍を願ってやまない。
【本日のピアノ練習メモ】
●ショパン ノクターン第13番 Op.48-1
本日は外出していたため時間がとれず。後半部が嵐に、オクターブが津波のようにならないように、冷静になって耳を傾けること。早く弾けるようになりたいからって、ただがむしゃらに弾けば良いってものではないのだ。冷静になれ冷静に。