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カテゴリ: 視聴レポート
日曜日の朝10時過ぎ、寝ぼけ眼のまま何気なくテレビをつける。チャンネルをウロウロしていると、いきなり目に飛び込んできたのが、トラックに載せられたピアノを子供たちが見送るシーン。な、なんだなんだ?これは、といきなり目が覚めた私はそのまま画面に見入る。
そう、私がそのまま引きこまれてしまった番組、それはNHK総合テレビの「思い出の音色ふたたび~老ピアノ復活物語~」なるドキュメンタリー番組であった。事前に、この番組の存在を全く知らなかったため、つい先日掲載した「2月のピアノ関連テレビ番組」で紹介できず、自分自身も番組の途中からの視聴となってしまい、あぁ残念。(って、この番組自体、既に再放送であった。) 舞台は島根県浜田市のとある小学校。戦前、この小学校の旧木造校舎が完成した際に、地元の方からグランドピアノが寄贈された。そして先生や生徒たちに親しまれたグランドピアノだが、長い長い年月と共に痛みも激しくなってしまい、まともに音を奏でられる状態ではなくなってしまった。そんなピアノを、新校舎のオープンに合わせて修復しようということになり、関西にあるピアノ修復技師の元にピアノが送られた。 修復前のピアノが画面に映し出された時は、思わず絶句してしまった。長い間多くの人々に愛された証拠ではあるものの、鍵盤が摩耗し、白い鍵盤が剥がれおちて下地がむきだし状態になっている。修復技師が最も心配していた響板は幸い割れていなかったが、塗料を全て剥がして再度塗り直したり、鍵盤をひとつひとつ修復したりと、職人の作業風景がしばし流れる。 そうして半年もの期間をかけた甲斐あり、ついにピアノは72年ぶりによみがえり、小学校に戻ってきた。 当時の生徒さんだったのだろうか(番組の冒頭を観ていなかったため定かでないのだが)、その知らせを受けて小学校に駆けつけた年輩の男性が、早速試弾する。 その曲は、クレメンティの「ソナチネ9番」、そして、ベートーヴェンのピアノソナタ「悲愴」 本当に嬉しそうに、そして懐かしい気持ちであふれんばかりの思いでピアノを弾き続けるそのシーンに、思わずこちらまで涙がほろりと流れる。クレメンティのソナチネ9番といえば、私も小学生の頃、よく弾いたものだ。今でもこの曲を弾くと、当時の思い出がよみがえる。 2005年10月、この小学校ではピアノ復活コンサートが催され、生徒たちと一緒にモーツァルトの「おもちゃのシンフォニー」が演奏された(他にも数曲演奏されたようだが、放映されなかったので割愛)。その後、当時の生徒さんたちがピアノに駆け寄り、皆それぞれにピアノとの思い出に浸りながら音色を楽しんでいた。年輩女性がおもむろに鞄から当時使用していたと思われる古い古いモーツァルトの楽譜を取りだし「ピアノソナタ イ長調 K.331」を弾き出したり、ピアノの前で記念写真を撮ったり。 現在、修復されたこのグランドピアノは、小学校の玄関ホールで生徒たちとふれあう日々だ。 おっと、書き忘れるところだったが、このピアノ、なんとなんとスタインウェイだったりする。戦前にスタインウェイのピアノを寄贈する人とは、一体どんな人だったのだろう。 先日の日記で、「私は年をとってもずっとピアノを続けていくだろうか」なんて話をしたばかりであるが、こうして、年輩の方々が皆、楽しそうにピアノに向かう姿を見ていたら、私もそんな人生を歩きたい、そう思ってしまった。 だって、みんなピアノに向かう時の表情が、とても若々しいのだもの。 ステキに年をとっていきたい。本当に本当に、そう思う。 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ 午後になって、気になる住宅物件が2軒ほどあったので、神奈川の某所に観に行ってみた。私の条件は「とにかく1階に居間以外に6畳程度の洋室があること。他は多くを望まないから」だったのだが、その希望を上回る間取りの物件を見つけたのである。しかも、その間取りにしては無理をすればなんとかなりそうか?という価格(って当然長い長いローン生活になるが)。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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