日本で買った本 その8「THE SUMMER AFTER THE WAR / A FAMIY SUPPER」
おはようございます、ひなこです。追記:THE SUMMER AFTER THE WAR は、掲載誌であるGRANTAのHP上でも読めます!英語です。https://my.plaza.rakuten.co.jp/diary/update/public/?d_date=20170702&d_seq=0これは、カズオ・イシグロさんの短編2編が入った薄い本です。本、というか、大学の英文講読の授業で使うテキストのようなものです。(実際そうなんだと思います。というのも巻末に■本書には録音テープ(カセット)がついております。リズムやイントネーションを聞き取るだけでなく、ディクテーションの練習にも活用していただきたく、最寄りの書店、又は直接弊社へご注文下さいと書いてあるからです。初版発行は1990年1月15日ということで時代を感じさせますね、カセットテープという表記が)アマゾンで見つけて、初期の未読の短編なので、購入してみました。よく見なかった自分が悪いのですが、音羽書房鶴見書店発行とあったので、日本語訳なんだろうと勝手に思い込んでいて、届いたら英語の原文だったので、「あら、英語だったのか。まあその方が良いんだけど」とびっくり。深澤俊(すぐる)さんという方が、編集、日本語の注釈を担当されています。多分私は勝手にこの人が訳したと思い込んで注文したんだろうな。内容はどちらも、長編第1作、第2作のようなちょっと前の日本を舞台にした作品で、A PALE VIEW OF HILLS, AN ARTIST OF THE FLOATING WORLDを彷彿させる作品です。 でも、もともと日本語だった小説だったものを英訳したのとは、やはり違う。注釈にも、”このあたりは、純日本家屋としては不自然な感じがある”とか、”この動作は、この時代の日本女性としては、かなり西洋臭い感じがする”とか書かれています。SUICHIという登場人物は、しゅういちと読ませるのだろうとかね。でも私には、このミスマッチ感が何とも言えず、良いですねえ。私は好きです。A PALE VIEW OF HILLSに、SACHIKOさんがお茶を入れる動作だったと思うのですが、左手でティーポット(急須)の蓋を抑えて右手でティーポットの柄を持ってというような形容があって、日本育ちの日本人ならこういう描写はしなかっただろうなと思ったことがありました。だって、日本人女性がお茶を注ぐと言ったら、自然とそういう仕草が頭に描かれていますものね。最初の作品はちょっと幻想的な不気味さもあります。あんまり有名ではないですが、こういう作品を読めてよかったです。もうアマゾンでは在庫切れ・入荷未定のようですが。私が購入したのが最後の1冊だったのか?!ちょっと学生時代を思い出させてくれた1冊でした。では、御機嫌よう!