オリンピック終了後の環境は。中国の環境対策の大幅な遅れ
順調に金メダル獲得数が増加している中国は前回を大幅に上回るメダルを獲得するでしょう。今週末で閉会となりますが、終了後の対応が懸念されますね。 特に今回新規に建設された会場の維持費用と利用が問題となるでしょう。国際的な大会を開催すればよいですが、此れだけ規模の大きな施設は維持も大変です。 環境問題まさにその一つです。北京オリンピックは順調に競技が進められていますが、新聞などの情報では北京の環境、特に空気の汚染は過去10年以上も前の状態に回復しているとの報道ですが、此れは今回のオリンピックの為に政府が強制的に規制を行なった結果である事は間違いありません。本来は、日常からこの様な取り組みを行なわなければならないわけですが、経済発展優先から大気汚染も進んでしまったのでしょう。 自動車に関してはナンバー末尾の偶数、奇数で制限する方法は諸外国でも実施済みですので違和感は有りませんが、公共交通機関が郊外まできちんと整備されていて、初めてマイカー規制や、公共機関の利用促進をすべきですね。郊外までマンション等を開発し、公共交通までは配慮されないとマイカー利用をせざるを得なくなります。 此れは北京だけのことではありませんで、どこの地域でも夜間に急病になったりしてもマイカーが無いと安心できないのが実態です。 私のところも夜間になるとバスも、地下鉄も止まります。郊外に位置しているためタクシーなどもつかまりません。 それとオリンピックが終了した時点で全ての規制を解除したらまた、元の汚染状態に戻ってしまいますね。マイカー規制は継続できる可能性はあるが、周辺地区の環境汚染企業が再稼動を始めるでしょうから、此れは停止したままと言うわけにもいかないでしょう。 それと市内での工事も再開され粉塵なども舞うでしょう。今回のオリンピックを契機に環境に対する政府の取り組みに期待したいところです。 企業の環境汚染もありますが、一般生活廃水の処理も非常に遅れている為、生活廃水がそのまま河川に排出される為どぶ川になっているのです。 川底にはヘドロが堆積し、メタンガスが何時もぼこぼこと湧き出ています。その度に真っ黒な水が川底から浮き出ます。周辺ではどぶ川の異臭が漂い、気分が悪くなります。 特に中国では料理に大量の食用油を消費する為これらが河川の環境破壊を推し進めています。まずは都市部の下水処理を進めて河川から珠江へ排出される汚水を防止しなければなりませんし、農村部では農薬や薬品などを野菜や養殖などに使用し、これらが河川へ流入しますから、農漁業の改善も必須です。 それと工業などからでる煤煙、異臭、汚染化学物質の規制を強化しなければなりません。これらは大型企業も勿論ですが、中小企業や地下工場など違法な製造業者が汚染物質を垂れ流していますし、ごみ処理の問題も非常に大きく一部では焼却して発電も行なっていますが,ほとんどがそのまま堆積させる処理である為、表面に土をかぶせてはいますが,汚水が地下に漏れますし、長期にわたり分解せずに残ります。 特に中国ではごみの分別回収などを実施していない為ごみ総量が大きく、プラスティクなど分解しにくい物質がそのまま廃棄されています。 紙、金属、プラスティックなどは高価で回収される為不法投棄すらありませんが、その他の廃棄物はひどい物です。 特に建物のスクラップなどは夜間に人通りの少ない道路わきなどへ投棄されています。怖いのは化学物質などの工業廃棄物で有害な物が不法投棄され土壌を汚染し、周囲の農地に汚染が広がる事です。 中国は経済発展と共にインフラも整備が進んでいますが、こと環境、ごみ問題はまだまだ遅れたままです。 街角やマンションなどにはゴミ箱が設置されており、回収と不可回収と区分されていますが、ゴミ箱の中は全く区分などされていませんし、そもそも市民に対しての教育なり、区分の内容を開示していませんし、実態としてゴミ回収者はそれらのゴミ箱の中身をまた一つのごみ運搬車へ混ぜますから全く意味の無い事で外国人などが見て一見してごみ分別を行なっていると見せかけているに過ぎません。 ごみ分別は時間もかかりますが日本ではもう既に慣れています。今からでも進めないと将来、必ず問題が起きます。 政府の環境に対する関心と決断が重要です。