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3~4年前から気になっていたダイアログ・イン・ザ・ダーク。
真っ暗闇の中、視覚障害者に導かれながら散歩するというイベント。 体験者の感想を見ると相当に面白そうで、めちゃくちゃ興味をそそられる。 メルマガも取って、いつか行こう・・・なんて思いつつ 去年までは確かチケットも即完売、なかなか行けないイベントだった。 ところが先日、マイミクさんが行ってきたとの情報を発見! チェックしてみたら、おおお、普通にチケット取れるじゃん~! というわけで早速行ってまいりました。 油断していたら遅刻寸前で、外苑前駅からダッシュで到着、汗まみれ。 既に揃っていた他の7人の参加者たちは、何だかみんなとっつきにくそうな雰囲気。 う、なんか大丈夫かしら~と微妙に不安になりながらのスタートだった。 白杖を持ち、入口から薄暗がりへ、 それから本当の真っ暗闇へ、と徐々に慣らしながら入っていく。 本当の本当に一滴の光もない暗闇は、たぶん生まれて初めてだ。 暗闇の中、輪になって自己紹介。 それぞれニックネームを名乗るものの、全員分はとても覚えられない。 とりあえず何かあったら助けを呼べるように、 視覚障害者のアテンドさんの名前だけしっかり覚えておいた。 そこからの数十分、何が起きたかの詳細は伏せておこう。 これから行く人は、知らない方が絶対楽しいもんね。 びっくりしたのは開始直後、アテンドさんが私の声を聞いて「樹音さん?」と普通に言ったこと。 覚えてる!この人、全員の名前と声を一発で覚えてるんだ! 超すげーと思いました。真似できない。 さて、私にとっての暗闇は、 事前にいろんな人の感想を読んで想像していたのとは、結構違うものになったのでした。 視覚が奪われる代わりに、他の感覚が研ぎ澄まされる・・・ 多くの人が言うのは、そういう部分。 でも私にはそれ以上に衝撃的な発見があった。 自分が普段、いかに他人の目を気にして生きているかということ! 意識的にやってるわけじゃない、 変な言い方になるけど「無意識のうちに意識している」という感じで 私はどうやら全神経の2割ぐらい、もしかしたらそれ以上を 「人から見て変じゃないかどうか」という部分に費やしていて、 それは実はかなりのストレスだったようなのだ。 暗闇の中、誰からも絶対に見えることがないと分かっている時の、 あのとてつもない安心感!解放感! 私、一人でニヤニヤしたり変な顔したり、 思いっきりだらしなく腹をたるませたりしてほくそ笑んでました。 フリーダーム!! 暗闇は空間に「質感」があって、 空気をかき分けて泳げそうな、とても心地よい感触だった。 人のいるところは特に、あったかい。 何となく冷たい雰囲気に思えた参加者たちは、あっという間に親密になって それぞれ姿は見えないけど確実に「こんな人」という空気を感じる。 お互い協力して、音や声で状況を伝えながら進んでいく。 みんなの手を重ね合わせた時、それが男の手か女の手か、 触れたら一発で分かるのも面白かった。 最後に薄明かりの中に出る時 「まぶしいので目をつぶってくださいね」と言われて 一瞬「目をつぶったら見えなくなっちゃう!」と思ったのがおかしかった。 元々なんにも見えてないのにね・・・ 見えてなくても、耳や鼻や手足から入ってくる情報を頭の中で絵に変換していて すっかり「見えてる気分」だったんだなー。 見えてないのに、会場の中がどんな風になってるか、結構はっきりと「覚えている」。 外に出て、アテンドさんの「見えてない目」を見ると一瞬にして 彼女は視覚障害者であり、弱者であり、頼りない感じ・・・という判断が戻ってくる。 ちょっと切ない。 暗闇の中では誰よりも頼れる、堂々とした、何より「ふつうの」明るい人だった。 普段いかに外見のイメージで人を判断しているか。 闇の中で感じることの方が、たぶん本質に近いんだろう。 最後の方になって気付いたけど、私は「第三の目」あたりが すごーくジンジンして疲れた感じになってました。 使えなくなった視覚を補おうとして、チャクラがガンガン働いてたのかしら。 もうちょっと、いやできれば3日ぐらい暗闇の中にいてみたいと思うぐらい 私には快適で安心で自由な空間でした。 でも一人で暗闇に放り込まれたら、ソッコーで発狂すると思うけどね! また行ってみたい。 【追記その1】 終了後に感想を語り合った時「杖が頼りだった」と言う人もいた一方 私は杖をほとんど活用できていなかった。 それよりも手でぺたぺた触り、地面は足先でちょいちょい探りながら歩く方が楽で どちらかと言うと杖は邪魔になったぐらい。 人によってかなり違う体験であることは間違いなさそう。 【追記その2】 最初はへっぴり腰のおっかなびっくりだったけど 5分もすると「見えないこと」に慣れていた。 「見えない世界」は、思ったよりずっと不自由じゃなく ほんの少し注意深くさえあれば、そう困ることはないと感じた。 あんな短時間の体験でさえそうなのだから、 視覚障害者って実は健常者が思うより、ずっと自由に暮らしているのかもしれない。 【追記その3】 夫の親戚に全盲の人がいる。 何度か家にお邪魔したが、すいすい自在に動き回っていた。 特殊能力!ぐらいの勢いで尊敬のまなざしで見ていたが なるほどなるほど、そうもなるよね、と非常によく分かった感じ。 【追記その4】 薄明かりの中に出た後、数分経っても「なんにも見えない~」と言っている人がいた。 私は出てすぐから至って普通に見えていたので、その違いは何なのか気になった。 暗闇に目が慣れすぎて、回復に時間がかかる、というような場合もあるんだろうか。 それとも単に視力の違いとか? その人は50代ぐらいだったので、年齢的なものもあるのかなー。 他の経験者の話も聞いてみたいっす! 【追記その5】 子供の頃からちょっぴり気になってるんだけど 生まれつきの場合は別として、人生の途中で視覚を失った場合 「見えていた記憶」「色という概念」とかはいつまで残るんだろうか。 永遠に褪せることがないのか、少しずつ忘れてしまうのか。 そして生まれつき見えない人にとって、世界はどういうものなのか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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