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テーマ:糖鎖(9)
カテゴリ:糖鎖
<糖鎖が担う機能の一端>をもう一度見てみましょう。 ▲同じ組織の細胞同士の連結器として働く ▲自己の情報を伝える情報装置としての働き ▲細胞外の様々な物質を見分けるアンテナとしての働き 3番目に書いた「細胞外の様々な物質を見分けるアンテナとしての働き」について考えてみます。 体の中では様々な情報が行き交っています。その中でもっとも直接的な情報伝達方法が神経を使う情報伝達であることは間違いありません。神経を利用すると、素早く確実に必要なところに情報を伝達できます。そのスピードは、感覚的には一瞬とも言えるものです。 この神経の機能は優れてはいますが、これだけでは情報伝達としては不十分です。例えば複数の箇所に一度に情報を伝達したい場合はどうしたら良いのでしょうか?そうした情報伝達方法として最も有効なのがホルモンです。 食事をすると膵臓からインスリンというホルモンが出てきますね。このインスリンによって、60兆の細胞はグルコース(ブドウ糖)を取り込むドア(チャンネル)を開くことができます。こうしたことは神経では不可能です。 さて、インスリンが来たことを細胞はどうして検知するのでしょうか? そうです。細胞表面にある糖鎖の中にインスリンを検知するアンテナの働きをするものがあるのです。これをインスリンレセプター(受容体)と言います。 もしこのインスリンレセプターが何らかの理由によって十分に機能しなければ、インスリンがあってもそれを受け入れるチャンネルが開かないことになります。もうおわかりになったと思います。これが糖尿病の原因の一つ(原因は他にもありますが)です。 さて、ホルモンの他にも重要な働きをしている体内物質があります。それがサイトカインです。サイトカインは一般にはまだあまり知られていませんが、ホルモンと同等以上に重要な機能を持っています。 ここではサイトカインについて詳しく書くわけにはいきませんが、代表的なものに、インターフェロン(IF)、インターロイキン(IL)、TNF(腫瘍壊死因子)などがあります。 これ以外にも植物から摂取する様々なファイトケミカル(phyto chemical)も重要な働きをしています。 そして、これらの情報を一手に引き受けているのが糖鎖で作られた多種多様なレセプター(受容体)なのです。どうでしょう。糖鎖というものが、ある意味体内の情報伝達の要(かなめ)とも言える位置にあることがわかると思います。 レセプターは体内情報をキャッチするだけではありません。体外から入ってくる多種多様な物質を見分け、受け入れるもの、排除すべきものを判断するという重要な仕事をしています。 また、体内で作られる有害なものや変異した細胞や寿命の来た細胞を検知します。そしてその情報は免疫細胞等に伝えられ、処理に回されるのです。 つまり、糖鎖は免疫機能の要ともなっているのです。 このように、糖鎖はちょっと挙げただけでも恐ろしく重要な機能を担っています。それだけに、糖鎖の異常が体内部の様々な不調に結びついていくであろうことは、容易に想像できると思います。 今回はここまでとします。 最初に書いた機能ですが、この機能があるからこそ、組織が 一体となって働くことができるのです。つまり単に自己の細胞というだけでなく、自分がどんな組織の細胞なのかということも糖鎖に示されているということですね。 それではガン細胞はどうなのでしょう。ガン細胞は際限なく増殖するということがまず大きな特徴ですが、もう一つの特徴は転移です。転移して元々の自己の組織とは異なった組織で再び増殖を始めるわけです。 本来なら異なった組織の細胞は受け入れないはずの他の組織の細胞がガン細胞を受け入れてしまう。なぜ正常細胞が自己とは異なる多細胞を受け入れてしまうのでしょうか?ここに転移の秘密が隠されていそうです。 ガン化した細胞は当然DNAが変質しているわけですが、この変質したDNAが正常な細胞なら当然持っているはずの糖鎖を変質させてしまうのです。さらに、正常な細胞の糖鎖を変質させる酵素が作られ、その結果転移が可能となるのです。 DNAの変質→自己細胞の糖鎖の変質+多細胞の糖鎖を変質させる酵素の合成 という糖鎖を中心とした変化が癌の進行と転移を促進しているのです。 糖鎖は非常に重要な働きをしているわけですが、一面細胞外の環境に影響を受けやすいのです。糖鎖の先端についているわずか一つの単糖によって血液型が決まるように、何らかの酵素の働きで糖鎖が変質させられるということは十分に考えられるのです。 現在生化学の分野で糖鎖が最も人気のある研究分野である理由は、ガンに限らず多くの病気で糖鎖の異常が見られることがわかってきたからです。 ところで、糖鎖の異常が様々な病気に関係していることはわかりましたが、その糖鎖異常をどのように正常化していくかという点ではあまり研究されていないのが現状です。まだまだ糖鎖は基礎研究の段階と言えます。 では私たちはどのように対処したらよいのでしょうか?座して、糖鎖異常を放置するしかないのでしょうか?これについてはこれから少しずつ書いていきたいと思います。 今回はここまでとします。 ★サプリメントアドバイザーが身近にいない方は、ひとみ先生までご連絡下さい。 ★「にほんブログ村ランキング」に参加しました。クリックお願いします! ★このブログの内容をメルマガの形で配信しております。もし、メールの形をご希望の方は読者登録をお願いします。 ⇒ http://blog.mag2.com/m/log/0000184917 ★ひとみ先生のホームページもよろしく! ⇒ http://www.kenko-club.jp お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2006年09月04日 16時44分45秒
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