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カテゴリ:本
昨日に引き続き本日も生活直結でない話。
倉都康行「金融史がわかれば世界がわかる」(ちくま新書)にユダヤに関するトンデモ系でない記述があった。 …日本銀行が株式会社であり、その株式が店頭市場で取引されているのはよく知られているが、米国の中央銀行システムも同様に会社形態をとっている。地区連銀の株主は、その地区のメンバー銀行である。ただし、地区連銀の株式は売買されることを認められておらず、また株式を保有しているといっても、それは地区連銀の経営権を意味するものではない。 こうした連銀システムの創設にあたって、ユダヤ系金融機関が深く関与していたといわれることがある。欧米に散らばるユダヤ系の金融資本が連銀設立の際に出資し、いまなおその影響力を保っているという情報も散乱しているが、ニューヨーク連銀の設立時の出資記録をみてもそのような事実はない。18~19世紀の金融社会では、国家とのさまざまな結びつきがあったが、それがそのまま現代にまで引き継がれているわけではない。ユダヤ系金融勢力の影響は、やや過大評価されている。 だが、その活躍には目を見張るものがあるのは事実だ。ロスチャイルド家だけでなく、国際金融で名を馳せたソロモン、ゴールドマン、JPモルガンチェースなどはユダヤ系であるため、金融界はあたかもユダヤ系資本に支配されているかのようにみえる。米政府の経済・金融の行政責任者やFRB理事などにもユダヤ系の人々が多いことも、そうした印象を強めている。「ヴェニスの商人」の高利貸しシャイロックの描写などをみえば、ユダヤ民族と金融の結びつきには歴史的な背景が凝縮されていることも理解できよう。 ユダヤ人が商取引に接点を持ったのは、ヘブライ語を通じてキリスト教社会とイスラム教社会の商売を仲介しえたことによる。さらにさまざまな国々に同朋がおり、外国語にも長けていたため、国際的な商人として活躍することが可能であった。更に、キリスト教会は教徒に対して卑しい金融業を営むことを禁じたといわれる。こうしてユダヤ人が中世における金融業を一手に引き受けることになったのが、ユダヤ系金融資本の発展の礎である。 その歴史的な経緯が現代にまで連綿と伝わり、ユダヤ系資本が金融界を牛耳っているように思われるのである。彼らが現代の国際金融の場で引き続き大きな役割を果たしているのは事実であるが、それを曲解すると、米国の金融覇権への理解もまた歪められかねない。米国の中銀システムは、特定当事者の利害を代表するためではなく、米国の国益を金融面から支えるために設立されたのである… ちなみに著者の倉都康行の略歴は以下のとおり。 1955年生まれ。東大経済学部卒業後、東京銀行入行。東京、香港、ロンドンで15年ほど資本市場業務に携わった後、バンカーストラスト勤務を経て97年よりチェースマンハッタンのマネージングディレクター。現在、RPテック代表取締役、中央大学大学院経済学研究科客員教授、フィスコ取締役。日本金融学会会員。主な著書に「金融市場は謎だらけ」(日経BP社)、「ベーシック金融マーケット入門」(日経文庫)などがある。 客観的なモノ言いなんだが、経歴があちら側なんだよなぁ。あちら側というのは、社会に寄生して、知的謀略を巡らす側のこと。詳細は晴耕雨読を参照ください。 まあ、一般的には、この程度のマイルドな表現になるということでこの話は終わりにしておこう。 さあ、明日は仕事。社労士の勉強もせな。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
September 30, 2007 10:25:39 PM
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