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時空の流離人(さすらいびと) (風と雲の郷本館)

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August 17, 2007
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 「あたしは、装填された銃だ。」

 ちょっと前に、「鳩笛草」(宮部みゆき:光文社)を読んで以来、気になっていたのだが、やっと読むことができた。「クロスファイア」(宮部みゆき:光文社)である。といってもまだ上巻だけだが。読み出すとやめられなくなって、並行して読んでいたほかの本はそっちのけで、一気に上巻を読み通してしまった。

 主人公の青木淳子は、念力によって物体を発火させることができる念力放火能力(パイロキネシス)の能力を持っている。この能力を使って、悪人を葬っているのだ。高まる力を抑えるため、力を放出しようと忍び込んだ廃工場で、殺人現場を目撃する。主犯格の男・浅羽に逃げられた淳子は、彼らに拉致された娘を救うため浅羽の居所を探る。

 これだけ見ると、まるで必殺仕事人のようだが、大きく異なっていることが一つある。仕事人たちは、自分達が人殺しであると言うことを自覚し、歯止めのために、他人から報酬を受け取って悪を退治するというルールを貫いてきた。自分達の判断で恣意的に人殺しをしないように、恨みを持った依頼人という歯止めをかけているのだ。しかし、青木淳子の場合は、自分の判断だけで悪人を葬ってしまうのである。力は時に暴走し、場合によっては、たまた居合わせた者も巻き添えにしてしまうのである。

 例えて言えば、彼女は、自分の中に、竜を飼っているのだ。竜の力は人間には決してコントロールできない。今はコントロールしているつもりでも、やがて竜は本性を現し、主従が逆転する。既にそのような兆候も見える。

 この事件を追うのが、警視庁のおばちゃん刑事・石井ちか子巡査長である。そして、淳子にコンタクトするガーディアンと名のる謎の連中。さて、下巻ではどのような展開になるかな。お楽しみである。

 なお、この作品は、「鳩笛草」に収録されている「燔祭」と言う作品の続編に当たるので、まずそちらを読んでおいた方が、一層本作品を楽しめるであろう。

★「鳩笛草」の記事はこちら

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「クロスファイア」(宮部みゆき:光文社)&DVD
     


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Last updated  March 26, 2008 10:33:08 PM
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