成吉思汗(ジンギスカン)の秘密
ジンギスカンといっても、羊料理の話ではない。かって大蒙古帝国を打ち立てたジンギスカン(今は、チンギスハーンと言うんだっけ?)が、実は源義経だということを証明しようというものである。 主人公の神津恭介(かみづきょうすけ)は、東大医学部法医学教室助教授で名探偵との評判が高い。その神津が盲腸炎で入院した際の暇つぶしに、友人の探偵作家松下研三と文学部の助手である大麻鎮子と一緒に、ジンギスカン=源義経であることを証明しようとする。 我々、自然科学系の学問を学んできたものは、学問と言うのは、師の説を越えて発展するものだと思っている。また、理論が間違っているかどうかは、実験によって判定できることが多いので、どんな大先生が言ったことでも、間違っていることは、間違っているって言うのが当たり前だと思っているんだけど。でも、文系の学問では、大先生が言ったことが定説になってしまって、批判が許されないってことが多いみたいだね。 歴史学についても、そんなことが結構あり、そこを、元々歴史学者でない梅原猛氏や井沢元彦氏なんかが新しい切り口で色々と突っ込んでいるんだけど、どう見てもこっちの方が説得力があるよね。 この本にしても、これだけ傍証を並べられると、偶然にしては、出来すぎているって気がするよね。少なくとも、完全に否定することが出来ない以上は、その仮説は真偽の判定はペンディングにしておくのが科学的な態度だと思うんだけど、歴史学者は大抵否定しているよね。否定するだけの証拠もないと思うんだけどね。↓画像はないけど、「成吉思汗(ジンギスカン)の秘密(新装版)」(高木彬光:光文社文庫)