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カテゴリ:教育
昨年の宮城県知事選以降、再び宮城県の高等学校の男女共学論議が沸騰しました。県知事は男女共学の問題よりも、学区制の問題を優先すべきとしましたが、最終的には教育委員会の従来の方針を追認。
知事選が促進剤となり、男女共学がスピードアップしてきました。 この問題現役在校生、またOB,OGが熱心に活動しています。その中で、「一女高の教育を考える会」の方が、自身のHPで、1月10日に開催された県の臨時教育委員会の傍聴メモを公開していますので、転載いたします。 まことにもって茶番劇、出来レースといった代物で、結局浅野県政時代に就任した教育委員が、従来方針で押し切りました。 委員長 12月26日の論点整理のため再度協議をする。事務局が検討素材として配付したものに対する質問はあるか。(質問なし) 1知事の意向 2見直した場合の影響 3行政としての継続性 4別学校を存続した場合の選択する学校をどう決めるか……以上について。 U委員 情勢の変化はないと考える。したがって、見直しする材料はないと思う。 S委員 別学校を残すときの難しさがある。時間も要するし課題が大きすぎる。また、既に共学したところとの公平性ということもある。いわゆる郡部では始まっているということで地域のバランスもある。おのおのの学校のバランスもある。 委員長 その他の意見はありませんか。(「なし」の声あり)では、見直しを求める時の小中学校への影響が大きいので、なしということにする。 今までどおり進めた場合についての意見は? Sa委員 知事が公約したということが一つの争点になっているが、それだけで選挙が行われたわけではない。議会で決まったことだ。10万人署名は将来の学校に生かすものだ。 S委員 伝統をなくす危惧があり、別学校は今後も守る必要があるというが、本当に守る必要はあるのだろうか。学校運営は生徒によって継承すべきもので、良き校風は最大限に考える必要はある。 Y委員 しかし一部のOBや生徒によって決定されるべきものではない。平成11年のアンケート結果を重く見る。別学を求める割合は何で考えるのか。 委員長 関係者の反対する中での実施の理解はどうか。 U委員 反対の意見を聞くのは重要だが、期限が大切だ。県立高校は義務教育ではないので選択の幅も広い。今になって共学は知らなかったというのは自分たちの情報収集に問題がある。努力しなければならない。反対派の人たちは歩み寄りが必要で、なぜ話し合いが持てないのか。ロジカルな態度を求める。 Sa委員 なぜ保護者と生徒の大多数が反対していると言えるのか。私はそうは思わない。 〔ここで傍聴人の一人が立ち上がり「茶番だ。聞くに耐えない」と言い放ち退室〕 Sa委員 私は子供を3人育てた母として上記のような情報は得ていない。 教育長 アンケート結果についての話のようだ。 Sa委員 まるで県内の保護者の大半が反対しているかのようだ。今、怒って退室した人についても誤解があったようなので、後で補足しておいてほしい。 委員長 3項目について協議したが、すべての県立高の共学化は見直すものはないということでいいか。(「異議なし」の声あり) 知事の考えの県一学区制にすることについてはどうか。学区制については、現在入学者選抜審議会へ諮問しており、今秋結論が出る予定だ。 S委員 共学化問題は道半ばの状況だ。定員充足状況のみで別学校を残すことは妥当か?全県的に考えたとき、高校生全体を考える観点必要だ。充足しているから別学校を残すというのはおかしい。この判断で残すとするのは困難だ。 委員長 では、全県一学区は今は考えられないということでいいか。(「異議なし」の声あり) Sa委員 価値観の多様化する中で、特色ある高校にしていくことが大切。どのような勉強をしていくかを選択することだ。私は女子高出身で、医師として別学校の校医もしている立場から、学校は男女の差がないのが大事だ。受け継がれてきたものは大事だが、それはこれから共学化された学校の新しい校風とすることができると思う。 Y委員 高校にとって全県的に考えることが大切。学校運営は充足数のことだけで残すものではない。財政のことは十分に考慮しなければならない。受験生の意向を考えたとき、具体的にどのような共学化が望ましいのか。 U委員 失礼ながら、知事の財政のことを持ち出すのは変だと思う。論点が違う。財政を言うなら全事業の見直しが必要になる。 委員長 まとめきれないが、全県一学区の検討は、小中学生の混乱と影響が大きいことから、受け入れ不可能ということでいいか。(全員了承) 教育長orS委員 これから、このことを知事に伝えるわけだが、多くの反対の声がある。教育行政の中断はだめで、将来構想は変更しない。現時点では計画どおりということになる。しかし、知事が別学を残したいと願っているし、多くの声にこたえて留意事項として付記するのはどうか。 1入学者選抜審議会の答申ができ次第、教育委員会は速やかに行うこと。 2別学校の特色ある学校行事に配慮する。 委員長 これを最終意見としてはどうか。(S委員が賛成する) U委員 知事と同じく私たちもよりよい高校教育を目指している。意見は異なっても知事にわかってもらえるものと思う。 Sa委員 二高の問題は、中2女子の母の意見にもあるが、学ぶ意欲のある生徒を受け入れて伸ばすというのが教育の原点でもある。伝統というものも忘れずに。 Y委員 1年かかわってきた。これまでの方針どおり進める。県民のさまざまな意見を聞く立場から留意事項付記には賛成する。 委員長 では、留意事項に配慮することにして、これで終了とする。 (HP管理人のメモ) 終了午後3時44分 会議時間44分間でした。 以上のように、メモに沿って書き出しただけですが、書いているうちに改めて腹が立ってくるような会議でした。Sa委員とU委員は女性です。相当のキャリアを積んだ女性とお見受けしますが、意見の内容はいかがですか? わざわざ「男女共同参画社会」を目指す部署を置くことと、一律共学化することはいかにも女性をばかにしていることだと思えてきます。そんな努力目標を掲げなくても、自己主張と他人との折り合いをつけながら学ぶ一女高があるというのに、わざわざ底の浅い議論で生まれた共学校をつくり、新しい伝統が必要と説く意味があるのでしょうか? 女性の地位を高めようとする推進派の方たちの努力はかえって女性を下げています、この共学化の議論の中では。なぜかって?U委員の言うような「話し合い」をきちんとしたレベルでしたことは一度もないからです。 女性はお飾りではありません。女子生 現行の教育法規では、教育委員は知事が任命し、議会の承認を得るとなっていますが、法が予測していない問題として、教育委員の任期中に、知事職の改選があった場合の人事が不明であり、結局前職の首長が任命した教育委員が居座るということです。本来ならば、選挙にあわせて教育委員の全員改選が必要と考えるのがスジですが、そこでは「継続性、安定性が損なわれる」だの「政治的中立が失われる」だのといった意見が頭をもたげてきます。 それならば、首長による任命と議会承認をなくして、教育委員を選挙で選ぶかという話になると、教育現場に圧倒的影響力を持つ「日教組」の息のかかった者が立候補し、日教組・自治労などの組織票で当選することになるでしょう。 また、全国で昨年歴史教科書の採択を巡って大騒動となりましたが、知事や市長などが自身の嗜好や考えを表明すると、教育基本法第十条を根拠に、一部市民団体などが訴訟戦術に訴え、「○○の発言は、教育基本法第十条が禁止する『不当な支配』に該当し、政治介入である」と、口封じに出ることの問題点も指摘しておかなければなりません。 そもそも、首長の指名、任命により教育委員を充てているにもかかわらず、首長が自身の教育政策に対する考えを主張できないというのは論理矛盾です。 宮城の問題も、当初共学に消極的で、別学校存続を主張した知事の発言がトーンダウンした背景には、「政治介入」といった批判があります。また、議会での請願採択や、住民の署名も、教育行政への「不当な介入」ということなのでしょう。 こうなるともう手がつけられません。教育委員のおごり高ぶりは相当なものです。中世の朝廷と幕府、天皇と征夷大将軍の関係にも似ています。 現在、文部科学省の中央審議会では、教育委員会制度についても議論していますが、その内容はともかく、この大臣と諮問機関の関係を地方教育行政にも適用するのはいかがでしょうか。 教育委員会制度は教育審議委員とし、知事の下の諮問機関とする。そうすると地方教育行政の責任者は知事となり、少なくとも今よりは公開度が高まります。 もちろん、教育委員会制度を廃止して、他の生活文化局とか水道局と同じく、教育局としてしまう手もあります。これも知事の権限の下にあるセクションであり、責任構造は明確です。 現在は全ての自治体即ち、都道府県、市区町村に教育委員会の設置義務がありますが、設置形態は自治体判断にゆだねる時期に来ているのかもしれません。ただし、全国一律の水準を確保する国の責任と権限は確保されることが大前提です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2006年01月17日 13時34分46秒
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