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Blog de 院長日誌★医院をめぐる物語り

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2008.02.09
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カテゴリ:医院の「物語り」

PIPCアドバンスト・コースでは、「医学的に説明困難な症状」に対して、いかに対処すべきかということを、大きなテーマとして取り上げました。

「医学的に説明困難な症状」(Medically Unexplained Symptoms;MUSと略す)とは、医師が適切な問診・診察・検査を行っても、明らかな臓器の異常が見つからず、その原因を説明することができない身体症状のことです。

「めまい感・体のふらつき」を訴えて来院された患者さんに対して、診察しても異常なところはなく、採血検査も正常、脳のCT/MRIも正常、念のために大きな病院の神経内科・脳外科・耳鼻科のドクターに診てもらっても「どこも悪くない」という返事しか来ない。でも、患者さんはしきりに「目が回る、ふらつく」と訴える。原因がわからないので、大した薬も出なくて、問題が解決しないから、患者さんたちは疑心暗鬼となり、あちこちの病院やクリニックを回る。いわゆる「ドクター・ショッピング」をすることになる。これがMUSの典型的なパターンです。

これまでMUSは、「自律神経失調症」、「不定愁訴症候群」、「更年期障害」なんていう「あいまいな病名」を付けられて長い間放置されてきました。また、精神科領域では「身体表現性障害」という診断になりますし、プライマリケア/総合診療医学/家庭医療学の世界では、「身体化をおこした患者」と呼ばれることもあります。

いずれにせよ、そのような患者さんたちが存在することは、医者なら誰でも知っていますが、MUSに対して真剣に向き合った臨床家は、(まれな例外はあるものの)ほとんどいませんでした。だって医者は治らない病気の患者さんを抱えこむよりも、治る病気の患者さんを診ているほうが、ずっとハッピーですもんね。

さて、われらPIPCでは、多くの医者が忌み嫌い、避けて通ってきたMUSという手ごわい相手と、ガチンコで勝負して、片付けてやろうと意気込んでいるわけです。では、「医学的に説明困難な」病気を、どうやって治すのか?

「医者=患者の人間関係を使って治す」、それがIDEE先生とPIPCのスタイルです。

わたしは、ロンドンの著明な精神科医であったバリント先生の言葉にならって、「医者というクスリ(Doctor as a medicine)」の作用で治すのである、と理解しました。

080209
 
自称「心療のストリート・ファイター」
IDEE先生 
 

(「医者というクスリ」で治す(2)へつづく)






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最終更新日  2008.02.09 19:45:13
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