鉛の衣装を纏う
フツーの家づくりと医院建築は、ほとんど同じなのですが、唯一のちがいは間取りのなかに「レントゲン室」があるかないかということでしょうか。レントゲン室は医療用放射線を使用するので、いろいろと面倒な規制があります。なかでも、放射線が外に漏れないように、鉛を使って部屋を「遮蔽(しゃへい)」しなければなりません。鉛(Pb)という金属は、エックス線を完璧に遮断する性質を持っています。 これが現在工事中のレントゲン室の外壁。遮蔽用の鉛板が貼られていますね。簡単に説明すると、鉛でできた外箱のなかに「レントゲン室」という中味を納めるわけ。わたしたちがエックス線を浴びながら、胃透視などのレントゲン検査をするときには、自分の身を守るため、鉛がなかに入ったエプロンを身につけます。 モデルの女性はにこやかな表情ですが、彼女が身に纏っているピンクのエプロンのなかには、ずっしりと鉛が入っているのです。このエックス線防御用エプロンを着て実際に動いてみると、じつに重い、じつに暑い。サウナ・スーツも顔負けで、ダイエット効果抜群。医院のレントゲン室も同じようなもので、みなさまを無用なエックス線被爆から守るために、お部屋に鉛の衣装を纏わせなければならないのであります。