フィン・ユールの椅子
いま、一番熱心に熟読しているマガジンは、「北欧スタイル」という季刊誌。家具などのインテリを中心に、北欧の美しいプロダクトを紹介するムックです。その最新号の特集は、「北欧デザインの巨匠、フィン・ユールのすべて」。ユールはデンマークの建築家・家具デザイナーですが、ウェグナーやヤコブセンほど広く知られているわけではなく、いわば「玄人好み」といった存在でしょうか。ユールの製作した椅子は、彫刻的で繊細なデザインゆえに、工場での量産には適さず、家具というよりは稀少な芸術品と呼ぶのがふさわしいものです。名作椅子のコレクターたちが、最後に行きつくのは、フィン・ユールというわけ。「北欧デザイン」のユール特集号に、日本で唯一、ユールの家具をライセンス生産しているメーカーが紹介されていました。その会社の名前は「キタニ」といって、岐阜県高山市にあります。もともと飛騨高山は民芸家具の産地として有名ですが、キタニは職人の技術を向上させるために、積極的に北欧名作家具のレストアやリプロダクションに取り組んでいるらしい。その努力が認められて、キタニは日本で唯一、ユールの家具を生産することをゆるされたそうです。キタニが職人の育成と家具の研究のために収集したコレクションが、「知の再生・北欧家具展」として一般公開されます(2/1~2/13,名古屋市ナディアパーク・デザインセンタービル・デザインギャラリー)。もちろん、ユールの椅子も展示される予定なので、お近くのかたはぜひ覗いてみてね。下の写真は、ユールのペリカン・チェア。ペリカンが翼を広げて湖に降りたつ姿をイメージしております。大阪府にある特別養護老人ホーム「きらぼし」のロビーには、このペリカンチェアをはじめとするユールの椅子が鎮座しているんだって。数寄者というのは、どこにでもいるのですね。うちにも欲しい!