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元・経営コンサルタントの投資日記

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経営コンサルタント

2009/04/28
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やや旬を逸したこの話題。 

「公然わいせつ」容疑で逮捕されたSMAPの草なぎさん。ジャニーズ事務所からも謹慎処分を食らってしまった。

芸能人の「ワークライフバランス」や「ブランド戦略」に気を使うべきなのは、所属事務所も同罪ではないだろうか? 視点を変えてみたい。

 

事務所から見ればタレントは、「商品」であり、そのことに異論はありません(または、収益を稼ぐ工場の大事な機械装置かもしれない)。

 

商品として観た場合は 「ライフサイクル」 というものがあります。

勃興期や成長期の「商品」であれば、露出度を高めて、積極的なプロモーション活動や番組出演等で、「商品」の知名度を上げなければなりません。

しかし、今のSMAPは国民的アイドルとなって久しく、成熟期に差し掛かっているといってよいでしょう。成熟期のマーケティングは商品の「ブランド化」だと思われます。

草なぎさんのような知名度になれば、放っておくと仕事が山積されてしまいます。事務所も売り出し戦略を十分考えていたのだと思いますが、相手が人間であることは当然のことながら、そのブランド価値の長寿命化という点への取り組みが問われます。ライフサイクルマネジメント、またはブランド戦略。

ハリウッドスターなどは自らの露出度を慎重に考えています。

日本でもあの大橋巨泉も自らの露出度をコントロールしていました。

最近キムタクさんはコマーシャルが多く(セコムや富士通など見ている番組のせいかもしれないが)、やや飽きが来ている(私だけかも?)。

適度なインターバルはブランドにとっても希少価値を生み出し、存在時間を長くさせる効果もあるはずです。草なぎさんは駆け出しの青二才とは違います。

もちろん、みのもんた氏のように、入院シーンでさえTVネタにするような人もいますが、TVスタジオがおれの人生だ、と思っている人ばかりでもないでしょう。人間という感情をもった「商品」ですので、違ったメンテナンスも必要かもしれません。

 

芸能人を機械装置のような道具という感覚で見た場合はどうでしょう。高性能な設備は高い品質を生み出し、高い品質は顧客に信頼をもたらします。

トヨタ自動車(とその下請けメーカー)では、工場の生産ラインは常時フル稼働をさせることはなく、どんなに忙しくとも必ず10%程度は稼働しない時間を決めているとのことです。その時間に部品の取り換えやメンテナンスを行って、休み休みに機械を使用することが、かえって稼働中の故障を防ぎ、機械の寿命を高め、強いては生産効率を高める近道である、と教えているようです(以前、関東自動車の方に聞きました)。

職人と言われる方々は、商売道具たる工具類のメンテナンスや質へのこだわりは人一倍のはずです。刃物を説くシーンなんてよく見ますね。

野球選手も名選手はグローブやバットへのこだわりや手入れを怠らない選手が多かったりします(ゴルフにも共通して言えそう)。

 

商業的にも工業的にも、匠の職人さんも、プロスポーツ選手も収益を稼ぐ大事なものは、大切な取り扱いが常識となっています。

芸能界だけが例外である、というのはそろそろ見直した方がいいのかもしれません。芸能プロダクションの経営も近代化が望まれます。多少休んでも人気を落とさないようにするのは芸能人本人のみならず、所属事務所の役目でもあるでしょう。

扱っている「商品」は血も涙も通っています。

 

もっとも、彼自身も立派な成人であるので、責めを負うべきでしょうが、その後の記者会見であれだけ堂々と謝罪ができるというのは立派だなあと感心した次第。しかし、その生真面目さがかえって、潜在的なああいった面を引き起こしたともいえ、複雑なストラクチャーですね。

もっと自然に自分のキャラを出してもいいのかもしれない。

とにかくこれを機会にゆっくり休んでください。リフレッシュですね。ワークライフバランスをうまく保とう。この事件を今後の芸能活動へのプラスにして欲しい。







Last updated  2009/04/28 01:15:25 AM
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2008/11/12
 

GM.jpg

昨日、米国でゼネラスモーターズ(GM)の目標株価をゼロにするといったアナリスト(ドイツ銀行)と1ドルといったアナリスト(バークレイズ)が出現し、同社株は大きく値を下げてしまった。今年に入ってなんと90%の下落という。

今年に入ってトヨタも2割から3割、GMにいたっては3割から5割も販売台数が落ち込んでおり、まさしく瀕死の状態となっている。

 

gm1年株価推移.png

次期大統領のオバマ氏は現政府に自動車産業の救済を訴えている。

 

私見だが、今回のサブプライム不況はマクロ的にはS&Pケースシラーの不動産価格指数が後20%落ちたころが底などといわれているが、もっと身近に考えた場合、以下の個別企業の救済処理というか抜本的な処理が出来たと思えるころが底なんじゃないかと。

AIG

シティーグループ

ゼネラルモーターズ

クライスラー

 

最も今回は米国だけが片付けばおしまい、ということでもなく欧州のUBS他の金融機関の救済も残っているが。

自動車会社2社は合併が想定されているものの、合併後も「これで安心」と言うわけでなく、その場をしのいだ程度に過ぎず、ドイツ銀アナリストによれば、「政府支援を受けたとしても実質的な破綻に近い状態になる」とのこと。間違っていないけど、そこまでダメだししなくても・・・。

ドイツ銀とバークレイズという欧州の金融機関というのがミソですね。

GMとクライスラーが合併して、生き残るクライスラーはジープとダッジだけとも言われ、10以上の工場閉鎖がうわさされている。合併してもしなくても失業者は増えるし、それなら合併すれば競争相手が一つ減ってまだまし、というセカンドベスト的な見通し。

破綻してしまうとOBの保険など従業員以外にも膨大な被害が予想される。

米政府も救済すべきかしないべきか究極の選択なのだろう。

 

GMに続き、AIG、シティーグループ等にもいえるのだが、ほとんど Too big to fall (大きすぎて潰せない)に近い状況で、巨大企業の弊害が出てしまっている。オバマ政権になると、元々民主党ということもあるが、大型M&Aの成立確率は低くなるのだろう(公正取引委員会の審査が厳しくなるだろうと言う趣旨です)

 

それにしても、GMは資金繰り工面のために、大ヒットSUVハマーの売却プロセスにあるという。

800px-Hummer--H3.jpg

このハマーにインドのタタモーターズやマヒンドラマヒンドラが興味を示しているといううわさが飛び交っている。タタはフォードからジャガー、ランドローバーを買収して新しい。

 

一方、もう一つのビッグスリーであるフォードはマツダの保有株の売却に動いているという。ここでは住友商事以下日本企業で、なおかつブロックで売却するというより1%程度づつ分散して売却を進めているというもの。うーん、しつこく日本的ですな。売却した後もフォードの影響力を極力残したいというサイレントパートナーを募集しているということだろうが、日本のことさすがに詳しいですね。

タタ等は売りに出ているものなら何でもいい、という姿勢か、ハマーがいいのかわからないが、私がタタの立場だとすると、どう考えてもマツダの株を狙いにいくのだがなぜだろう(注:タタはこのところの景気悪化でとてもこれ以上買収できる余力もない、と英文記事では記載もある)。

 

アメリカ=自動車産業と思ったら、ちょっと古いかもしれない。部品会社などを含めた雇用者数の裾野の広さは圧倒しているが、マイクロソフト、インテル、IBM、ヒューレットパッカード、グーグルを初めとするIT系の企業のほうは競争力、財務力など十分あるので「だからアメリカはダメなんだ」という風潮に流されてはいけない。今回の景気で財務体力が付いている米国企業の数も十分多いのではないか?(ただしM&Aするときの資金調達を銀行が組めないというのはある)。

 

以下は余談

一方、サブプライムのキズに相対的に低いはずの日本で、倒産件数が前回の金融危機並みとなったり、金融機関の財務体力が脆弱化している。

中小金融機関の有価証券の時価会計凍結というあほらしい、政策が実行されようとする反面、貸し渋りが横行しているという。

ではなぜ、中小金融機関は中小企業に融資せず、今まで有価証券投資をしていたのかという点とまったくミスマッチしている。今回は仕方ないかもしれないが、そもそもこういったミスマッチを放置する金融行政が失敗ではないか?

従来から融資していれば、有価証券投資に回す金などなかったはず、それが本来の姿ではないでしょうか?

 

中小金融機関がなぜ有価証券投資に走るのかといえば、1:貸すところがない(と思っている)から、2:有価証券投資のほうが儲かるから(その分リスクも大きい)である。

要するに中小企業金融全般(貸すところがなく、儲からない)を抜本的に考えないといつまでたっても同じことの繰り返しである。

オーバーバンキングであるにもかかわらず、借りられない中小企業者というのは政府が双方を甘やかしているからだと思う。もtっとも政府側も無責任で、金融機関は金融庁、中小企業は経産省なので、経産省は比較的いいたい放題になりがちである。

経産省が決して不良債権の責任を取ることなどない(結局は税金ですが、それだけ支援したいのだったら、不良債権は次年度の経産省の予算から削る、それなら貸し渋り解消のGoサインを出すとすればどうだろう)

 

私はかつて中小金融機関の破綻後の資産査定に従事したことがあるが、その金融機関は、なんとアルゼンチン国債連動型債権に20億円投資していました。今、浦和レッズにいる高原選手が同国のボカジュニアーズに在籍していて、デフォルトが発生して帰国してきたころの話です。当該20億円が一気に回収不能となり、あっけなく自己資本比率が2%程度になりました。

こんな投資リテラシーの金融機関がまだあるのなら、即刻再編すべきです。

時価会計を凍結すると、投資有価証券がまあデフォルトとまでは行かないが、当事者の経営の失敗に目を瞑ることになってしまい、結局は預金者にはなんの利益にもなりませんし、中小企業への融資を普段から行っていないのですから審査能力もありません。つまり存在価値がなく、能力もないものを放し飼いにするようなものです。

 

今夜のWBS(ワールドビジネスサテライト)で、多摩信金の理事が、「生き残っていける企業に融資しないと本当に意味あるものにならない」という趣旨の発言があったが、彼は非常に的を得ている。同感だ。その後に評論家が「技術力とか経営など中身を見ないといけない」といっていたが、これはうわべの意見だ。

融資は麻薬と同じで、与えてはいけない人に与えると劇薬になる。

こういった劇薬(ホームエクイティローンなど)の積み重ねがサブプライムローンとなった、という対岸の火事をよく観察してほしい返済見込みのないものには融資してはいけないということを。







Last updated  2008/11/12 12:52:19 AM
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2008/08/10
 

P1000401.JPG

結論を先に。「資本の論理」という表現は過激だと思う(そのほうが「売れる記事」であることは否定しないが)。私はむしろ、「引き際」の難しさを感じる。

12日の臨時株主総会で創業者の横川氏が「解任」となり、内部昇格で谷氏が社長となる見通しが強くなった。

敵対的な騒動ではおそらくはじめてだろうが、労働組合がファンドを支持するという異例の展開となった。これがポイントかな?

残業時間月200時間超え すかいらーく契約店長 6月に過労死認定 

(契約社員ですよ。どう考えても彼一人というのは考えにくく、月100時間以上クラスの残業者はゴロゴロいるんだろうなあ。しかも店長では同社で2人目とのこと)

8月9日付日経新聞ではファンド側に「社内情報が全く伝わってこない」というコメントがあったが本当かなあ?もっとも彼らもこの1月まで取締役数で過半数を派遣していなかったというのだから、経営陣をかなり信用していたことになる。結構異例な処置だと思う。

 

 

実は私はかつて、既に投資ファンドが投資済みの企業(上場維持している)にファンド側から企業実態の調査を依頼されて、該当企業の課長職以上の方数十名とわずか10日程度で面談し、企業の課題を洗い出すというプロジェクトに従事したことがある。

結果は同じようなことになっている(最も我々のレポートが引き金になったというより、はじめからそのような仮説があって、それを我々が検証したような作業でしたが)。

現場も創業者のよい面、悪い面を熟知しており、企業の経営局面が変わったときにふさわしい人物か否かという点も、インタビューした人の「行間」ににじみ出ていた。

ファンドが株主となっても、「一般投資家」が株主となっても、その創業社長は自分が絶体君主だと思い込んでいた。意思決定が独善的というか目暗で、環境変化に対応できていなかった(進言するものを遠ざけるなど末期症状だった)。

 

すかいらーくに戻る

MBOの仕組みをいまさら説明しないが、通常は経営陣側の計画があって、その計画にファンドが出資するといったほうが妥当ではないだろうか。「こうしたい」といっている経営者に対して、その指に止まれるか否かである。

出資前に十分な協議が出来ていたとしても計画の主導はむしろ経営陣側にあるはずだ。なぜならファンドは実業については経営者以下の知見しかなく、その戦略なり施策がどう考えてもおかしくなければそれを否定しないし、仮に実現性がなければ、そもそも出資しない。

MBI(マネジメント・バイ・イン;買収後経営者を送り込む)と違って、ファンドと既存経営者が二人三脚でなければ成功しない。

 

しかたがって、当初の計画とその進捗がどうなのかといった点が気になった。

MBO当時は、大企業化して、従業員の意識の統一の希薄化や、顧客ニーズの多様化に対応できなくなり、MEBOによって、こういった意識を労使一丸となって立ち向かっていく、というのがざっくりとした背景のようだ。(2006年6月6日の「すかいらーく 新たなる挑戦」)

したがって、普通は経営権と関係のない労組にも「物言う」 資格がありそうだ(従業員も一部出資している)。

計画では、4~5年後に営業利益400億円と上場廃止前の187億円から倍増する計画だったという。主として、ガスト・バーミヤン等の不採算店舗の閉鎖や他業態にM&Aを含めた多角化が主要戦略だった。

ただし、日経金融新聞2006/7/12「すかいらくのMBO成立、収益計画に疑問の声」と言うタイトルのとおり、計画はかなりストレッチしていた模様だ。

非公開化してしまったので、足元の業績がわからず(既存店の月次売上高推移など)、誰の言い分が本当かわからない。

したがって、外食産業の他企業を見てその業界環境を見てみる。(単位は百万円、数値は連結ベース)。抽出基準は思いつきです。

図2.gif

図1.gif

「ファミレス2強」といわれたロイヤルホールディングスの傘下企業であるロイヤルホストも業績改善には苦心している。経営課題にロイホ事業の収益改善策が掲げられている。

もっとも同社は持ち株会社化してロイホだけの業績がわかりにくい構図となっているが、IR資料を読む限りロイホはこの2期は黒字のようだ。

この企業は創業者江頭氏からうまくバトンタッチが行われているようだ。

 

マクドナルドも再建に苦心した企業だ。かつて名経営者といわれた藤田氏が残念な形で退任してしまい、全く畑違いのアップルコンピュータ出身の原田氏を抜擢し、その後の業績は改善傾向にある。

値上げをする一方、商品・価格を細分化するなど「顧客ニーズの多様化」を汲み取った感じだ。同社も一時期、店舗のスクラップアンドビルドに苦心していた。ただし、02年に72億円の大赤字を計上した後は黒字転換し、赤字は1期だけにとどまっている(グラフに書けずすんません)。

社長就任直後の原田氏が「研修生」 として新宿の店舗でフライドポテトを実際に揚げていたTVを見たが、経営手腕もたいしたものだ。こっちは、経営陣を一層することで改善に成功。

 

苦心といえば吉野家もそうだ。個人的には吉野家に同情的な米国産牛肉の輸入制限という外部環境の悪化をメニューの多角化やM&A(はなまるうどん、は失敗かな。減損が響く)で乗り切っている。表には掲載できなかったが05年度以外は黒字が続いている。これは経営体制が同一でも危機を乗り切った例。

 

こういった企業がすかいらーくほど「抜本的」な改革だった比較が難しいが、MBOしなくても出来てますね。

 

ただし、すかいらーくの場合、07年からは、のれんの償却がSGAに100億円あるらしいので、仮にのれんを償却する前であれば、営業利益はそこまで騒ぐほどでもないかもしれない。純利益も特別損失にSPCと合併したときの株式の償却損が大半となっている。

だからすぐクビというのは話は唐突だ。そのいきさつや08年1月以降の足元業績がわからないのでなんともいえないが、当初に掲げた営業利益400億円にかなり遠くなったのは確かだ。

ファンド側も08年に入ってやっと「やり取りは20数回に及んだ」のでは、経営者から見たら、「いまさら何を言う」と聞こえたかもしれないし、その中で色々投資前にはわからなかった、事実が浮かび上がってきたのだろう。何か徹底的な調査をした結果だと思う。でないと、一番安全パイな現経営者を解任するなんて、かなりリスクの高い選択はしないだろう。

「資本の論理」 で首だ、といっても、経営体制を変える、しかも途中から、は実はリスクが高いのだ。変更後の1期はまた、ごちゃごちゃするので見守るしかなく、実質1年程度を棒に振る可能性がある。したがって、それ以上になにか更迭しなければならない理由があったのだろう。 

注;本来ならMBOは、キャッシュフローが安定する企業に負債をつけてレバレッジを利かせて、資本構成を抜本的に変えることで、投下資本のリターンを上げる効果が大きい手法だ。CFが安定する前提は経営者が同じであるというのがポイントになるはずだ。

ローンで買った不動産が値上がりすれば、頭金部分は利益になる。頭金が少ないほど利回りが大きくなる。

 

「カーライル」(ダイヤモンド社、鈴木貴博著)とは大きく違うように見える。彼らは投資後の企業の状況を徹底的に把握しているのでこんなことにはならないだろう。

 

創業経営者の方には、もちろん一代で企業を大きくしたことに敬意を払わねばならないが、だからといって万能であることもなく、得手不得手があるのも事実だろう。企業にも商品にも「ライフサイクル」があって当然で、創生期、成長期、成熟期、衰退期がある。

一般的に豊臣秀吉のように攻めるのが得意な人が徳川吉宗のように改革もうまく出来るとは限らないのではないだろうか?特に攻めの時期が黄金時代だった経営者には昨今の「押したり引いたり」変化の早く、労務管理も難しい時期はなおさら難しい。

IBMで「巨像も踊る」という明言を残したルイス・ガースナー氏はIBMのターンアラウンドをやり遂げたあと、CEOを後任に譲った(したがってカルロス・ゴーン氏があとどれだけ日産にいるか注目している)。

ビルゲイツ氏は完全にマイクロソフトの経営から退いた。これはすごいことだ。Yahoo!のヤン氏はそれが出来なかった(業績不振で復帰したが、復帰後もうまくいっていないのはご存知)。

創業者が復帰してうまくいっているのは、アップルぐらいかな?

日本でもダイエー、長銀、そごう、NECなど実権者が長期的に経営に影響を及ぼすと、成熟期から一気に衰退期へ突入しかねない(なぜかコンプライアンスも悪化する傾向にある)。

 

8月中旬で「引き際」といえば、日本それ自体もうまく出来なかった。太平洋戦争だ。戦争全般もそうだが、ガダルカナル島攻防戦、沖縄戦、フィピンをはじめとした玉砕戦法など、勝負があった後も負けを認めず、たくさんの方がひょっとして失わずともよかった命を失った。カミカゼ特攻や原爆がその最たる例。

 

権力者が引き際を誤ると、その周りのものはもっと損害が大きくなるし、権力をつかむまでの栄光も一気に失せてしまう。

上場しても持合株主や情報量の少ない一般株主に守られた経営者がその企業の衰退時期に、誰も「猫の首に鈴をつけ」てはくれない。猫の首に鈴をつけてくれる人がいたほうが全体の利益にはよいこともある。

ただし、鈴を鳴らすタイミングは難しい(その方法もしかり)。このタイミングがよかったのかも含め。

 

もちろん、横川家が日本の外食産業に多大なる貢献を残したことは疑いようがない。生涯現役という気持ちは私にはまだわからないが、「名誉ある撤退」という形にしてあげるべく、自主的な退任を迫ったのだろうが、解任という形式は傍目にはちょっと残念だ。ただし、生え抜きを新社長にするといっているあたり、創業精神は残して、改めるところを改める、ということなのだろう。

 

すかいらーくは郊外型店舗が主体だ。ショッピングセンターに出店する外食が多く、現時点ではお客さんは、SCのフードコートで皆それぞれ好きなメニューを買っている。人が郊外から都会にシフトし、自動車販売が減少し、好みが多様化し、逆に広い駐車場というコストが重荷になっているかもしれない。かつての強みが弱みに転落してしまったのだろう。

また、ファミレスのような総合メニュー型よりも、牛丼、ラーメン、うどん・そば、などメニューを特化した軽量級の外食などが受けている(また、出退店も早い)。

 

外食産業それ自体は成熟化しているし、今後も競争が激化するだろう。







Last updated  2008/08/10 12:27:11 PM
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2008/08/06
5日の日経夕刊7面で、「北京オリンピックの株価への効果の波及は限定的」 という記事について。

こんな感じのグラフがあった。

 

松下、JAL、.png

6752:松下電器産業

9205:JAL

8111:ゴールドウイン(GW)

 

松下は薄型TVのヒットがあり、ゴールドウインは英国スピード社の水着の販売代理の座を射止めた、JALはオリンピック需要があったにもかかわらず、中国旅行者が前年割れだという。

松下などは、あれだけ薄型TVがフィーバーしても株価への効果が限定的なことを述べている。

また、GWは当然だといった調子。

 

しかし、大新聞の記事としては、ちょっと短略的じゃないか?

私なら、こうする。特に松下電器産業。

N225込.png

まず、日経平均との比較で評価するだろう。3月27日から日経平均は行ったり来たりのようだ。

世界的な再編劇が話題となっている航空業界。原油高を規模のメリットと重複路線の削減などで乗り切ろうと世界中の航空会社が合併談義をしている。そういった中で、高コスト体質で国策的な資本政策がまかり通った、再建途上のJAL株が日経平均と沈むのは仕方ない側面がある。

 

一方の松下電器産業。

松下電器機器平均比.png

SEC3650は、東証33業種、電気機器平均で、日経平均、電機株平均との比較である。7月になって俄然松下電産がアウトパフォームしている。1Q決算がソニーと対照的に好調だったり、東芝が半導体で沈んだりしたのを尻目に、日立とともに「勝ち組」となった効果とそれには、やはり薄型TVが好調だったことがあった、即ち、五輪効果も見られるのではないだろうか?(電機平均といってもこの4社が総額の半分ぐらい占めているんじゃないか?)

だいたい、この相場の中で日経平均比較でプラスを維持していることは結構すごい。特に時価総額5兆7千億もある企業で出来高も多いし、オリンピックで儲かっても、アメリカで 「何とかマック」 がどうした、とか言う記事が出れば松下株は売られてしまう運命にある一方、時価総額300億円に満たないGWを比較して論じることが比較対象として釣り合っていない。

 

こういうのならわかる。

GWとミズノ.png

8022:ミズノ

ミズノとGWだ。ミズノも時価総額が900億円近いので、かなり差があるが、6月上旬の水泳連盟の「英断」以降、ドカッと差が付いている。これを五輪効果(スピード効果)といわずなんと言おう。

もっとも4月ごろからGWの株が化けると考えて持っていた人がどれだけいるのかは懐疑的ですが・・・。

しかし、この株には、「五輪本番」という爆発可能な瞬間が残っている(五輪後が怖いが)。

 

GW株への注目が一時的である可能性は残念ながら高い。松下株は正念場だろう。経営陣は社名を変えてまで、サムスンを追撃しようとしている。もちろん五輪商戦は大いに期待しているだろうが、もっと先を見据えた経営をしている。しかし、経営陣では左右しきれない指標銘柄の宿命もあるが、業績は一時的な減益局面はあるが、いろいろ話を聞く限り、かなり経営陣には危機感があって、今度は期待できそうな気がするのですが・・・。

 







Last updated  2008/08/06 01:11:26 AM
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2008/08/01

中堅ゼネコンである多田建設が会社更生法適用の申請をした。

1997年にいわゆる不況による会社更生法適用をした。この時は大昭建設の支援を受けて、更生計画を2005年3月に終結。

その後2005年7月、支援した大昭建設が多田建設を合併しようとしたところ、多田建設の従業員一同から会社更生の摘用を申請、あえなく2度目の更正法摘要となる。

ただし、2度目は元々借金過多で更生法申請したわけでなく、2005年12月にアセットマネージャーズとリーマンブラザーズがスポンサーとなって2006年にまた終結。

そしてサブプライム等で資金繰り難となって3度目の更正となった模様。

会社更生はかつて、スポンサーが内々定してからでないと裁判所が開始決定をしないといわれていた。裁判所の開始決定基準が「誰が見ても更正できそうな前提がないと受理しない」(ある倒産法に詳しい弁護士の話)とまで言われていた。

その後平成17年ごろ、緩和され、広く開始決定を出し、その後更正計画が実行出来そうかを広く問うような現状になった。

今度はゼファーと逆に、なぜ民事再生でなく会社更生としたのか?というのが気になる。更正法のほうが債権者の同意の基準が高く(再生法は過半数の同意で一部の借金が棒引きにできるが、更正法は担保権者の2/3の同意も合せて必要)、経営者は首になるし(再生法は経営者は法的には経営を継続できる)、担保評価額で銀行ともめるため、弁済計画の策定は遅れがちになる。

(だから再生法に流れる)

まあ、こっちのほうが透明性が高くなるので債権者にとってはいいと思うが(再生法は経営者が自分で申し立て代理人たる弁護士を選択するので、弁護士は経営者寄りになりがち。ただし、裁判所の指名する監督委員というものの同意を得ないと大金の決済が出来ない、

一方、更正法のほうは裁判所が指名する保全管理人(弁護士がほとんど)がなぜか更正期間中の会社の財産処分権を掌握する(会計士でなく弁護士であることがミソ)。したがって弁護士さんの目は裁判所に向きがちだ(といっても事業の更正・再生に使命感を十分お持ちの方が指名されるんですけど)。

2度目の更正法はちょっと異例だった記憶あり(従業員が退職金を債権として、債権者申し立ての会社更生ではなかったか?合併する大昭建設のほうが信用力がなかったので合併するのがいやだという理由だったはず)。

しかし、3度目の経営破たんはないよなあ。裁判所は開始決定を拒否すると、それはそれで嫌な感じがする(司法が会社を潰したと見られがちで、できることなら、民間の競争の中で結果的に満足な更生計画が立案できなかったという風に持って行きたいインセンティブがあるはずだ)。

開始決定を申し渡して、またヘンチクリンなスポンサーを「引っ掛けてきて」更正計画が策定され、構成計画決定を認可せざるをえないことも裁判所は嫌だろうなあ。

東京地裁の民事8部(だったか忘れちゃいました)の方々は最近の破綻ラッシュの忙しい上にまた変なものが来たって心境かな?

しかし、ここでも登場したリーマンブラザーズ、丸紅の件といい、ライブドア関連といい、うーん。四半期決算のたびに「次はリーマン」といわれるけど、まんざらわからないでもないなあ。

ウオール街を闊歩するといっても、どんな稼ぎ方しているのか・・・、ちょっといいすぎたかな。

いずれにせよ、ゾンビ企業に手を貸す人いるのかな?会社更生で自力再生って、あの、三光汽船ぐらいじゃないのか?

さすがに民事再生、会社更生は合せて一企業でX回、銀行・RCCは一度債務免除した企業には簡単に私的整理に応じない、と政策的に決めてほしいなあ。モラルハザードだ。特にゼネコン業界は正直者が馬鹿をみれば、がんばっている業者さんはかわいそうな気がする。ただでさえ大変なのに。

もっとも、スポンサー支援を受けて再生・更正したのだから経営の連続性は途絶えている可能性もあるが、同じのれんで仕事しているし、やっぱりそれでもいい感じはしないし、業界再編の観点も考慮すると、再生・更正チャンスはせいぜい1回程度で十分公平な気がするんですがねえ。どうでしょう?

 

 







Last updated  2008/08/01 01:49:17 AM
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2008/07/23

最近思うように更新できておりません。申し訳ございません。今日はやや半端なインプットで雑感をつづることとします。したがって、かなり浅い分析で申し訳ございません。

アイカーンさんがなんとヤフーの取締役になることが決まりそうな感じですね。ヤフーの大株主がここにきて、「身売り反対」を表明し、アイカーン氏も勢いが落ちそうで、株価もまた下落しましたが、「ヤフー取締役」のポストを手に入れ、彼の推薦する別途2名の計3名を現在の取締役に 「純増」 させるという餌に食いつきそうです。

氏としては、インサイドに乗り込んであれこれ物言うつもりでしょうか?しかし、かなり忙しいお人なので(既に物言っている他社はまだモトローラを含め5社前後あると思う)、取締役会への出席率など注目されそうです。

なぜ3人としたのだろう?ISS等が日本の社外取締役人数を3人が望ましいと意見具申したことと同じ人数なので興味あり。

 

さて、タイトルのゼネコン、デベロッパーの破綻ですが、結構早目の破綻となりました。金融機関もリスケ等の支援がなかったのでしょう(想像ベース)。

特にゼファーの破綻(民事再生)は記者会見模様をTVのみで拝見しましたが、正直社長さん、「俺はサブプライムの犠牲者だ」 と顔に書いてあるように感じてしまいました。山一證券の社長さんの涙の自主廃業会見とは隔世の感がします。

口では経営責任を語っておられましたが、ではなぜ会社更生法ではなかったのでしょうか?会社更生でなく民事再生を選択した理由を語ってくれたのかよくわかりませんでした(詳しく探せばあるかもしれない。結構Q&Aの常道でしょうし)。

民事再生は経営者が居残って再生を図れるが、会社更生は裁判所から取締役の地位を剥奪されるので、経営者としての再起が不能となる。財産を預かる法律代理人は、民事再生は企業が選ぶが、会社更生は裁判所が選ぶので、不透明な破綻を遂げたゼファーの破綻の透明性を高めるのであれば、会社更生が望ましい。

ただし、建築途上の物件が多数あったり、マンションの一般消費者との契約など迅速な意思決定や事務処理が必要な場合、現経営者のほうが結果的には株主以外のステークホルダーにとって利益がある、と判断したから民事再生だ、と言うのなら納得がいく。

結果的に、債務の踏み倒しなので、揉めることは必定だからです。一応、早期にスポンサーを発掘して(民事再生後の)支払いを確実にし、(民事再生前の債務も)たくさん返したいという建前的発言があったので、当面様子見かなあ。

 

特に、民事再生申請に先立ち、連結子会社の近藤産業を破産させたことに責任は重いのではないでしょうか?株式会社なので、有限責任(出資額以上の責任を負わない)という法的には正しい決断ですが、道義と法が混在する日本社会では、信用力が問われます。おかげで格付け会社から格付けが数段落とされ、今回の破綻に直撃しました。

(格付け会社が事前に、こういった不透明な財務内容を把握できなかったのかという「日本版格付け会社問題」 を躍起してもいいのではないか?)

 

ただし、歴史と伝統があり、社会的影響力の大きい親会社の場合は違いました(近畿日本鉄道傘下の大日本土木の破綻は表沙汰的には親会社の信用毀損を最小化していた)。

新興企業にありがちな、アウトロー的な面が裏目に出たのでしょうか?具体的にゼファーが何をやっているのかを存じ上げず、うわさベースなのでひょっとしてブログ限りかもしれませんが、

親しい、マンション販売のプロの方に「カタカナ新興企業のマンションは薦める気になれない」と言う話を、自分がマンションを買うときにしてもらいました。なぜだ、と聞くと「とてもあのような商売を自分のお客さんに勧められない、という商売方法だ」 とだけ言ってくれました。

外国人投資家の買いを前提としたマンション販売や各種リゾート開発など、少し本来のビジネスモデルを踏み外しています。

また、近隣のゼファーマンションも販売状況が芳しくないものやマンションコミュニティ等の匿名掲示板でもネガティブなコメントをよく見かけました。

 

それ以上に、やはり銀行団の見極めが早くなったのではないか、という点を感じました。これまでは、銀行ははじめのうちはある程度のことがあっても、セカンドチャンス的な支援を行っていました。リスケジューリング等です。

しかし、過去の経験上、早期の見極めが結果的に回収の極大化をもたらすこと、一度歯車が狂うとそう簡単には戻らないことを知ったこと、少しグレーな取引をしている企業とはヒットアンドアウエーで取引すること、銀行の数が極端に少なくなったため、他行の目を以前ほど気にする必要がないこと、償却体力があることなどが重なったのだと思いますが、昨今の破綻数の多さには、あっさりと見極めているようにも感じます。

これは個人的にはよいことだと思います。ずるずると引きずっても、お互いの体力を消耗するだけですし、病気は早めの治療が一番だと思います。(もちろん、ケースバイケースなので、常に見極めるのが正しいとは思わないですが、過去は「銀行が潰した」という評価を嫌う面もあった)。

「失敗から学ぶ邦銀」となるのか、取引の深い伝統的系列企業だとこうは行かないのでしょうが、貸し渋りとか貸し剥がしとかは、今後もありうるので、事業会社側は銀行の融資姿勢に警戒をこれまで以上にする必要性があるでしょう。それが銀行というものですし、自分の会社も大きな与信ポジションを取っている取引先には同じような扱いを結果的にするはずなので、お互い様ですが。

ゼファーの場合は特定のメインバンクを持たない「ヤオハン型」破綻だった可能性もありますが、スポンサーといっても、正直借金さえあればできるデベロッパー業を買収することに意義があるのか個人的に研究不足ですが、この業界でM&Aが発生しにくく、脱サラ新興企業が出来る(ぜファーも旧リクルートコスモス出身者が起業したはず)ことを考えるとどうでしょうか。 

 

 

 

 







Last updated  2008/07/23 09:19:10 AM
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2008/06/01
 

apn_gailkelly_114.jpg

今日は日本から見れば非常にニッチな話題を

5月26日、豪州第4位の銀行、ウエストパック銀行(Westpac:WBC)は、同5位のセントジョージ銀行(St. George:SGB)を株式交換により合併すると発表、SGB側も合意したと発表された(A$196億ドル、1A$99.15円で1.94兆円)。この合併が成立すれば新生ウエストパック銀は豪州トップの銀行に躍進することになります。

(最初にこれを書いたのが少し前なので為替等数値が若干ずれている可能性があります)

オーストラリアの経済と銀行業界

オーストラリアの経済は、ここ数年「資源バブル」の恩恵を最も受けているといってもいいのではないでしょうか? 鉄鉱石、ウラン、石炭、ボーキサイトなどの鉱物資源の世界有数の生産国であり、後背地に中国、インドを控えている資源輸出国家だ。BHPビリトンもRioティントも主要鉱山のかなりが豪州大陸にあります。

 

GDP.gif

 

上記はOECD各国のGDPを2000年=100とし、2000年の為替レートで表したものを指数化しました。日本はこの7年間で11%の成長、米国は18%に対し、豪州は26%と成長率の差が大きい。もっとも豪州全体のGDPは日本のそれの約10分の1程度です。

この成長に乗って、豪州株式市場も活況を呈しています。

 

株価指数推移.gif

 

という仮説の元に調べたのが上のグラフです。過去5年間の株式指数をさらに2003年=100とした指数の推移です。仮説とは裏腹に実は日経225は昨年までは豪州を上回るパフォーマンスだったのですね。これは意外。

ただし2003年5月の日経平均は8,106円(月足、以下同じ)だったので、どん底だったという点を考慮しなければならいでしょう。豪州株式市場は資源高の恩恵を受け、相対的に好調を持続しています(なぜかサブプライムの震源地米国が堅実に推移しますね。これじゃ日本はまるで新興国並みのボラティリティだ)。

 

豪州銀行業界は長い間「4強体制」が続いていました。以下の4行です。長らく政府から「4本柱」政策として、4強間の相互合併を認められていませんでした。それがこんな感じになりそうです。

 

豪州BK業界.gif

 

FT5/13日の資料より筆者作成

コモンウエルス、ナショナルオーストラリア、オーストラリアニュージーランドの他の3行に頭一つ抜けそうです。単純合算した時価総額A$638億ドルは1豪ドル99.15円で換算すればなんと6.3兆円ですこの6.3兆円のインパクトを言いますと、日本のみずほFGの23日の終値ベースで約6兆円なので、うそお? みずほとほぼ同レベルなの? というすごさ(ちなみに三井住友も6.6兆円程度、ヤフーファイナンス5月23日より)。

豪ドル高、豪州経済の好調さ、邦銀の凋落という条件が重なっていますが、今まで豪州銀なんてほとんど「地銀」だと思っていたのに・・・。

 

日本人にとってはダメ押しな情報ですが、今回のM&Aで豪州銀行業界の再編なるか? とうわさされています。つまり「4強」同士の合併もありだ、という雰囲気が豪州当局内にも出てきているといわれています。外国からの買収にさらされないようにという側面もあるようです。その場合MUFG並みの銀行が誕生する可能性もあります(合併後の時価総額10兆円規模)。

なお、当ディールは5月12日に第一報があり、26日にデューデリジェンスが完了し、当初条件どおりで合併合意が確認されたとのことですが、SGB株主からやや価格に不満があったりしますので、若干流動的な面があります。

 

 

スーパーウーマン.jpg

 

 

さて、前置きがものすごく長くなったのですが、このディールが成立するとみずほの前田さんと肩を並べるこの女性が今日のテーマ。

WBCの新CEO Gail Kelly氏は就任3ヶ月でこのディールを纏め上げたそうです。電光石火の早業である。これだけでもすごいのだが、なんとこの人、WBCの前職はSGBのCEOだったという。買収企業のCEOは実は被買収企業の前CEOだったということです。しかも、CEOからCEOに移る間には間がありません。

WBCの取締役会は、数ヶ月前に新任のCEOを決めるときに複数の候補者の中から選んだとされており、内部昇格者と外部招聘者の選択があったのですが、議長は外部だった彼女を指名したようです。多分彼女には指名前からこのディール構想があったのかもしれません。しかし、このスーパーウーマンはこれだけでスーパーではありません。

 

彼女は1956年、南アフリカで生まれました。ケープタウン大学では美術や歴史の学位をとったそうです。1977年に軍人の男性と結婚し、モザンビークに従軍する夫に従い当地ではラテン語の教師をやることからキャリアがスタートしました。

南アに帰国後も高校教師などをしていましたが、80年代中ごろ、ついにNedcor銀行というところで働き始めました。最初はテラー(支店の窓口担当者)だったという。しかし、銀行は彼女の才能を見抜き、MBAプログラムへ派遣しました。1987年にはかなり優秀な成績で卒業するとともに、長女を儲けたようです。

1990年、銀行は彼女を人事部長(日本の銀行の人事部長とはかなり違うと思うが)に抜擢しました。同時に三つ子を生んだらしい(これで4児の母となりますね)。

ただし94年には南アではネルソン・マンデラ政権が樹立され、それを境に治安の悪化等が叫ばれ、彼女も1997年についに豪州の地を踏むこととなりました。

豪州4大銀すべての受験をして、第一位のコモンウエルスバンクに同年Strategic Marketingのゼネラルマネージャーとして迎え入れられる。2002年にはカスタマーサービスの統括責任者に昇進した。

いかし、2002年彼女の力強いリーダーシップにほれ込んだSGBからついにCEOとして迎え入れられた。当時のSGBはコモンウエルスの買収ターゲットとなっていたというから驚き。

積極的な業容拡大でこの追撃を退け、2003、4年と豪州の地元では「最も活躍した銀行役員」に選出されたそうだ。

2005年にはコモンウエルスからCEOで帰ってこないか、という提案があったにもかかわらず、SGBに残留したそうだが、この時SGBが彼女に支払った報酬はなんとA$18.5百万ドル(18.3億円!!)。是が非でも引き止めたかったのだろう。同時に「豪州で最も高給取りの女性」にもなったそうだ。

そしてウエストパック銀のCEOに2月から就任したという(以上、FT紙、ウイキペディアより)

 

実はヒューレットパッカードの元CEO、カーリー・フィオリーナさんの自叙伝(「私はこうして受付からCEOになった」村井章子訳、ダイヤモンド社)を読み終えたばかりなのですが、フィオリーナさんも1954年生まれなのでKelly氏と同世代です。

フィオリーナさんは80年代当時(松田聖子の全盛期時代ですね)の米国ビジネス界の男尊女卑の中を持ち前のバイタリティで出世されるのですが、アメリカですらこんなものか?と思ってしまうほど当時はまだ女性の社会進出は難しかったといえます。

何が言いたいかといいますと、Kellyさんも同じようなバックグラウンドが合ったはずだろう(多分南アだと米国よりも保守的じゃないか)と、その中で出世街道を驀進していること、複数の国、銀行で能力を認められていること、4児の母(3つ子は大変そう)とフィオリーナさん以上の逆境の中、誰からも高い評価を得ていたことになります。

名実とも豪州銀行業界ナンバーワンの座に王手がかかりました。この合併を成功させると、みずほのCEOもやりませんかね(邦銀じゃ彼女の給与出せないかな)。

フィオリーナさんの自叙伝は内容を当ブログでも紹介できればと考えています。結構刺激的ですよ。

 

番外編

 

ダウと日経20年.gif

 

日興コーディアルのHPから

日米株価指数の20年単位での推移を見てみますと、上記のとおりとなります。88年は日本はバブル経済の真っ只中、米国は高金利、高軍事費、徐々にホームレス等治安が悪化していた時期でした。

日本のバブル期はやや異常かもしれません。ではどの時期から比較するのが妥当なのかはわかりませんが、株式市場を見る限りでは日本人が好んで使う「長期安定成長」という言葉がしっくり来るのはどちらか一目瞭然です。

これが為替レート、システミックリスクからくるボラティリティなのか、証券会社の営業方法を含めた日米の市場全体の効率性か、貯蓄好きな国民性から来るものなのか、日米半導体協議などいざとなれば政治に屈した業界もありました。原因は様々でしょう。

もちろん、日本にはエクソンモービルとかの資源メジャーのような企業は存在しませんし、自動車業界のように米国ではフォードやGMといった個別企業ベースでは凋落している企業もありますが、全体的には長期的な企業業績も安定していて、かつ、投資家と企業の情報距離が短い(エージェンシー問題が日本より小さい)といった事情や、業績を安定成長させるための手段や社会的な基盤なども進んでいる(要するにリストラがやりやすい)といった状況もあるのだと思います。

しかし、それでもこれだけはっきり差が出てしまうのは、本当に日本の経営者が長期安定成長を目的として経営していたのか、と科学的に見直す機会を与えているような気がします。

結果としていままでやってきた方法がそれまでの時代では通用してきたのか、そういう着地を仮説付けて取り組んできた(つまり戦略的な経営をしてきたのか)のか、考え直す材料になるかもしれません。

ちょっと横道にそれましたが、スーパーウーマンに今後とも注目していきたいです。

 







Last updated  2008/06/02 01:45:26 AM
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2008/05/07

前回のご参照

「NHKスペシャル取材班 新日鉄 VS ミタル」(ダイヤモンド社)を読んで

新日鉄の業績

「新日鉄、好業績の象徴失速 09年3月期予想、40%の大幅減益」(フジサンケイビジネスアイ4/26)

 

新日鉄業績.jpg

 

ご存知のとおり、新日鉄は来期の最終利益が40%以上の減益で、その原因は高騰する原材料価格の転嫁が難航しているからだと伝えられている。トヨタからも「(値上げよりも)他にやることがある」と大きく牽制されています。

日本の報道ではもっぱら、BHPビリトン、Rioティントが鉄鉱石価格を一方的に引き上げ、日本の高炉業界を苦しめている、という印象があります。鉄鉱石が前年比65%アップ、石炭が3倍増と伝えられています。

ただし、新日鉄の主要ユーザーである自動車メーカー、造船、電機、機械等は新興国中心に増産ペースが継続しそうであることや、ユーザーから見れば新日鉄の持つ製品技術の代替が難しいことから、「いくら値上げを認めさせるか」次第で、上記の業績予想は下限であろうというのが市場の見方らしいです。

 

アルセロールミタルとの比較

一方のアルセロールミタル(以下、AM)の業績も厳しいのかな、と思い、同社のHPをのぞいたが、いやあ、すごい会社ですね。

日本ではミタルCEOのワンマン会社のように言われているが、そんなことはないグローバル企業で一度彼らのプレゼン資料を参考にしたほうがいいでしょう(非常によく出来ている)。

まずは、新日鉄とAMの株価の推移を見てみよう。過去1年間の両社の株価の推移の指数化(週足ベース)したものです。

 

ミタル VS 新日鉄.gif

 

アルセロールミタルは30%以上も上昇しているのですが、新日鉄は30%近くダウンしています。したがって株価(時価総額)に格差がついてしまいました。

AMのヤフーファイナンスによるアナリストの予想では、

 

ミタル業績予想.gif

 

08、09高原状態を現時点では予測しています。

経営計画の対比

新日鉄は今期が中計の最終年度となっています。売上高はすでに達成済みですが、利益計画は原材料の高騰を受け、達成が厳しい状況です。

 

新日鉄計画.gif

 

粗鋼生産量の推移

新日鉄粗鋼推移生産量.gif

4年で約2.8万トンの増加ですが、高炉新設なしですから、技術力とはすごい

一方のAMですが、Growth Plan 2012 という5カ年計画を発表しています。ただし、出荷量の目標値にとどまり、財務目標には触れていません。

2007年度の実績110百万トン(新日鉄の3倍以上)の「出荷量」(Shipment) を2012年までに153百万トンにするといっています(年率約6.5%の成長)。彼らの長期予測では、今後の鉄鋼需要の伸びは年率3-5%の安定成長に切り替わる(中国の爆発的な伸び率が沈静化する)と予測し、既存部分で20万トン(Brown Field)、残り約23百万トンをM&A他(Green Field)で達成するという目標を立てています。

 

世界の粗鋼生産量の推移と予測.jpg

 

Brown Fieldの増産を地理的に分解すると以下のようにほとんど先進国以外で達成する見通しを立てています。

 

ミタルの国別生産量.gif

 

こらは、Brown Field20万トン増産のうち、90%は欧米以外での増産計画となっています。

Green Fieldの23百万トンの目玉企画は母国インドへの凱旋生産を掲げています。これはインドの英雄でありながら、賛否両論(インドで稼いでいないという批判)があるミタル一族の渇望するところでしょうが、データ的にも中国での生産伸び率の頭打ち(環境対策等)、BHPやRioといった鉱山会社もインドを第二の中国のような爆発的な勢いを感じるといっていることや、世界の自動車メーカーが相次いでインドで増産表明するなど現実味のある話です。

 

対自動車業界

自動車業界に対する高炉メーカーのポジションはこんな感じです。これもAMの資料です。

 

自動車用鋼鈑のシェア.gif

 

自動車業界は上位5社が世界シェア58%を握っており、高炉業界も同様に上位5社が54%のシェアを握っています。AMは中でも26%を握りダントツです。新日鉄は9%で2位につけています。両社の生産量が3倍強違い、自動車向けも3倍程度違うので、単純に考えると両社とも自動車向けの生産の全生産における比率が同じ程度ではないかという気がします。

 

新日鉄需要家別出荷状況2007.gif

 

こんどは新日鉄の資料ですが(AMには需要家別資料はない)、上の表から見ると自動車向けは全生産量の3割程度でしょうかね(36×75%×40%=約11百万トン?)。AMも30%ぐらいだと推測する。

これがなぜ新日鉄の利益の増減に大きく影響を及ぼし、アルセロールミタルにはそれほど影響を及ぼさないか、が論点となりましょう。

これはやはり、AMの資料で、赤線がホットコイルのスポット価格(相場商品となる)の値動きと、自動車メーカーとの交渉価格の推移で2002年を100とした指数の動きです。

 

ホットコイルの相場と自動車用鋼鈑の相場US.gif

ホットコイルの推移は相場そのものです。一方、自動車側はそろりといった感がぬぐえません(といいつつ1.5倍程度になっている)。かつ、上記表は米国中心の推移でしょうから、日本だともっとシビアかもしれません。

AMには、旧カナダのドファスコという自動車鋼鈑では有名だった高炉メーカーがあります。またウィルバーロスから買収した多くの米国高炉メーカーも自動車向けが多いため、北米自動車メーカーへの納入シェアは高いはずです。

旧アルセロール陣営にも欧州メーカーへの納品実績が大きいはずです。したがって、自動車用鋼鈑のボリュームゾーンは新日鉄より押さえているのではないでしょうか(安全性に大きくかかわる付加価値の高そうなところは新日鉄有利だと思いますが)?

では、なぜ業績がぶれないのか?

 

鉄鉱石の自給率.gif

 

私は鉄鋼業者のコンサルはやったことがあるのですが、鉄鉱石を自給自足する高炉メーカーという存在を狭い日本では想像できませんでした。鉄鉱石で約半分の自給自足が出来、コークスは80%以上の自給率だそうです(新日鉄も鉱山の権益を幾分か持っていたり、提携・長期契約を結んでいますが、こういったデータが見当たらなかった)。

なぜこんなことが出来たかというと、それはミタル氏の第三世界の高炉メーカーの買収戦略が当たったとしか言いようがない。

 

鉄鉱石.gif

 

こんな感じで世界各地に鉱山を所有しているそうで、川上垂直統合が当たった好例といえそうです。

しかも、鉱山の近くに高炉を構えることによって、輸送コストを極小化できます(増産計画の大半がこういった地域でしたよね)。また、鉱山会社の 「ぼったくり」 のようなマージンもほとんどなく鉄鉱石が手に入りそうです。

 

鉱山会社の利益率.gif

 

パソコンOSにおいてほぼ世界市場をほぼ独占しているマイクロソフトでさえ40%程度の利益率なのに、鉄鉱石主要3社がそれ以上の利益率を稼ぐのはけしからん、と言いたげですね。

が、世界20ヶ国で従業員が31万人もいる会社なので、展開のグローバルさは尋常ではありませんね。これを10ヶ国以上の国籍をもつディレクターが牽引してく組織となっています。その中心人物にミタル親子がいるとはいえ、2007年度も立派な業績を達成しているので、色々あるものの統合作業は順調に滑り出したと見ていいのではないでしょうか?

 

シナジー.gif

 

EBITDAは統合後増加していることをアピールしています。

この企業が成功すると、本当の意味でのグローバル企業になりそうな予感がします。IBM、GE、コカコーラ、ネスレ等多国籍企業よりも、北米の顧客網、欧州での伝統的強さ、第三世界での低コスト生産などを考えると、極東地域を除けばグローバルな展開力は一枚上手ではないでしょうか?

もっともすべてがうまくいくとは限らず、ひずみがあることも事実です(ルーマニアの労働者ストやカザフスタン政府からの環境規制強化の指導など)。これだけ多様化した組織を束ねるのは大変ですが、これをこなすとさらにすごい会社になりそうな気がします。

 







Last updated  2008/05/07 02:10:49 AM
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2008/04/21

問題です

世の中には次の2つの企業しかないとします。

問題1 あなたはどちらの企業に投資しますか?

問題2 あなたはどちらの企業に勤務したいと思いますか?

企業1 ゼネラル・エレクトリック(以下、GE)

企業2 日立製作所(以下、日立)

GEは4月11日の第一四半期の決算発表で前年同期比から約6%の減益となったと発表。これは、GEのCEOであるジェフリー・イメルト氏が3月中旬に、10%程度の純利益の成長が達成できる、と言っていたことに反したため、市場は大きく落胆し、GEの株価は13%も下落してしまった。GEの株が短期間にこんなに下落するのは実に過去20年で初のことだという。

 

GE株価3ヶ月.png

 

米国のアナリストの多くが「実体経済がリセッションに入った証拠だ」と落胆し、イメルト氏にGEの抜本的戦略の見直しが必要ではないか、とのプレッシャーを強くした。

イメルト氏は「GEの戦略は間違っていない。ベアー・スターンズの破綻等3月後半の市場環境の悪化により、債権評価額の下落等の影響が大きかっただけだ、GEの事業ポートフォリオの見直しはまったく必要がない。信用の収縮が問題だったのだ。」とコメントした。

一方、4月16日に、イメルト氏を後継者に指名したGEの前CEOで「名経営者」の誉れが高い、ジャック・ウェルチ氏はイメルト氏を非難した。

だましたな。大失態だ(Screw-upとされている)、イメルトには信頼性の問題があるcredibility issue. 一部マスコミには credibility crisis と紹介されていたものもある)。3週間前に市場や投資家とした約束を破ったんだぞ」。さらに「イメルトは、今約束したことを守らない場合は、私は信じがたいほどのショックを受けるだろう。拳銃を出して彼を狙撃しなければならない」(一部「Hell of a CEO」という和訳困難な言葉が出ていました。大激怒ですね)

 

TS380118.JPG

 

こんなものすごい形相です。(rebuke:非難する)

欧米のマスコミはこの記事に飛びつきました。

この記事がエスカレートしたことに危機感を感じたウェルチ氏は数日後「GEを分割するという話はばかげているし、彼はよくやっている。苦境に陥ったというのはおかしい。私は今のGEを100%支持している。自分が再登板するなんてありえない」と一転擁護した。

しかし、偉大な前任者の後を受けたイメルト氏はインパクトが小さいため、一旦業績が行き詰ると非難も大きくなってしまい、損な役回りとなってしまっている。こんな皮肉もある。

ウェルチ氏の役員報酬総額は退任前年の99年は75百万ドル(80億円!!)、00年は136百万ドル(ひょえー)であったが、イメルト氏は06年18百万ドル(それでも約20億円!)、07年の総会提案では20百万ドル(21億円程度か)である。これに対し、「安かろう悪かろう」だという声も挙がっている。それだけウェルチ氏の達成した業績が輝かしいものだということか?

NO イメルト氏はOrganic Growthをメインとし、継続的な選択と集中を実施し、GEを「長期安定的に成長」させている立派な経営者だ。

 

イメルト.jpg

 

これはGEの07年のアニュアルレポートから抜粋した既存事業の利益の推移で、過去5年間で年率14%の成長を達成している。

 

GEの利益成長.gif

 

しかし、株価はS&P500指数をアンダーパフォームしてしまった(DJAはダウジョーンズの業種平均株価指数)。これも同社のアニュアルレポートより。

 

GE株価推移指数.gif

 

ご存知、GEは金融から航空機エンジン・原子力、TV局といった多角化事業の経営体で、コングロマリットとして成功した企業と評価されているが、一旦業績がこうなってしまう(日本企業レベルではまったく問題ない収益力)と、集中砲火を浴びてしまう。これはひとえにその多角化ゆえ、米国経済の縮図としてGEを見る人が多いからだといわれている。

一方、ウェルチ時代から「世界で1位又は2位を取れる事業以外は手がけない」という強い信念と強烈な目標への執着心は企業のDNAとして流れているといわれている。この前もGEマネーが本部をコネティカットからロンドンへ移動させたことが、「GEが世界の金融センターとしてロンドンを認めた」といってFT紙では話題になっていた(危機意識があればすぐ行動に移す)。

この強烈な市場への期待感を満たすために、イメルト氏は(恐らく自分も含めて)「成果を上げていない幹部は現在の地位にとどまることは出来ない。GEは常に成果を重視する」とコメントし、幹部の更迭やリストラの可能性を示唆した(GEでは毎年パフォーマンス下位10%は肩たたきにあうといわれている。「向いていない職場では労使ともに不幸になる」(趣旨)と)。

市場ではウェルチ氏の非難は「次はない」という風に解釈されている。GEにとっても最強の「物言う株主」だろう。しかし、ウェルチ氏が非難するのと、市場からの非難では、似たような意味合いのことであるがGEの受け止め方はまったく違うだろう。ウェルチ氏のそれは「GE愛」が感じられる。

ただし、GEの株価の足取りが重いのは、その多角化ゆえんのことで、そのような多角化を作ったのはウェルチ氏自身であり、彼は「ポートフォリオに問題はない」といっている以上、矛盾した状況の中での舵取りをまかされるイメルト氏は試練に立っていることに違いない(それでもイメルト氏はウェルチ氏も統括したことのあるプラスチック事業を売却するなど選択と集中を徹底している)。

ウェルチ氏はCEO在任の前半の80年代、米国経済が病んでいたとき、徹底した低収益性事業や低シェア事業を売却したり、リストラしたりして、「ニュートロン・ジャック」と非難された。中性子爆弾のように資産はそのままとして、労働者だけが首になるからである。

あの偉大なピーター・ドラッカーは「成果を挙げるためには、まず、なされるべきことをする」と言っている「自分がやりたいことではない。会社にとって、やらなければならないことをする」(経営者の条件)。

 

 

さて、日立。といってもその子会社日立グローバル・ストレージ・テクノロジーズ社(以下、HGST)は4月17日、売却をあきらめ自主再建すると発表した。正確には「様々な可能性を検討しているが売却を決定した事実はない。業績改善を図るべく、あらゆる方策を検討し、実行している」というコメント。

HGSTを売りに出している、という話は半ば公然の秘密と考えられており、米国でも同業の事業会社が買収するのではとの観測が流れていた。その記事には、ハードディスクドライブ(HDD)を製造する方法が違うので、たとえ買収してもシナジーが見込めない、赤字額が大きすぎて重いといった内容が記載されていた。

結局、シルバーレイクというバイアウトファンドがうわさとなったものの、ファンドがこのサブプライム環境下、資金調達が出来なかったことが大きく影響したといわれている。

しかしながら日立側の発表では、HGSTの第4四半期が黒字に転じたたこと、HDDの市場拡大が予想されることなどから自主再建にメドが着いたとコメントし、身売り騒動で動揺する社内の火消しに躍起となっている印象がある。

 

HGST.jpg

 

HGSTの前期の営業利益の推移。通期でも200億円以上の赤字といわれている。なお、9月ごろの日経新聞には、元々赤字事業だったIBMのHDD事業を2002年に買収し、一度も(通期で)黒字転換したことがない事業で日立のお荷物事業の一つ、と言われていた(記憶ベースすみません)。

日立の製品の評価が高いということは百も承知です。しかし、良い製品を作ることが目的なのか、「適正な利潤を得る」ことが目的なのか? と日立を見るといつも思ってしまいます。

 

日立業績推移2.gif

 

日立の過去10年間の業績推移ですが、「長期安定的」な推移をしているといえるでしょうか?ちなみに10年間の当期利益の累計は△58億円でした。

今の日本では長期安定成長、長期安定経営という言葉はかなり表面的に使われていると思いますGEも通常の日本企業も長期安定成長という目的は同じだと思いますが、その達成手段というものをきちっと理解したうえで、こういった言葉を使用しているでしょうか?(もちろん日立だからこんなグラフとなるのであって花王やキヤノンだと安定成長しているはずですが)

 

まったくの私論だが、日立にはジャック・ウェルチ氏のように「拳銃を出して彼を狙撃しなければならない」といってもらえるような、指導者、愛ある「物言う株主」、先輩が必要だと思う。HGSTの自主再建はファンドの資金調達難という「信用の収縮の問題」などではなく、それこそ日立自身の「信頼性の問題」がかかっている。

 

究極の株式会社であるGEと究極の日本的経営の日立、冒頭の質問は「究極の選択」かもしれませんね。

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Last updated  2008/04/21 12:21:50 AM
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2008/04/14
問題です。

あなたは、国の年金が頼りなく、「自分年金基金」の設立を決意しました。本などでは株式投資が良いという結論に至りました。ただし、過去の投資リターンはよさそうなデータが並んでいますが、「ジャパンパッシング」や「ジャパンナッシング」など日本の相対的地位の低下は必然で、どうやって少ない資産を効果的に運用するか悩んでいます。

将来妻と老後を考えざるを得ない年齢になりました。幸い住宅ローン金利は低そうで、繰上げ返済のための資金の一部をやりくりできそうです。

そこであなたは、つれづれ投信の3人のファンドマネージャー、A君、B君、C君を紹介されました。あなたならどのファンドマネージャーと取引をしますか? 複数名のファンドマネージャーと取引する場合、誰をメインにすえますか?

サブプライム問題は、あまり根拠がないものの、大半の評論家が言うように今年中に底を打つものとします。

 

 

つれづれ投信ではA君、B君、C君を以下のように見ているようです。

A君は、運用成績ナンバーワンで、つれづれ投信のエースです。ダイナミックに銘柄を入れ替え、自分に厳しく議決権行使も厳しく、をモットーとしています。しかし、やや傲慢なところがあり、自分の考え方を押し付けるところが玉にキズ。A君をひいきに言うと、かえって嫌われる風習が世界では根強く残っているようです。かつて、強すぎた読売ジャイアンツが嫌われたようなものでしょう。

ただし、最近はアラブと聞くと、テロといい、共産主義と聞くと人権無視といい、こういった国の銘柄投資には消極的で、しばしトラブルを起こしています。政治・イデオロギーにうるさいようです。

しかし、経済面ではアクティビストや非友好的M&Aであろうとも原則自由に取引をしており彼に預けると非常にエキサイティングかつダイナミックな経験が出来ることも事実です。特にピンチのときほど頼もしい活躍をしてくれます。

したがって、上司・顧客からの信頼はまだまだ厚く、「多少のトラブルも仕方ないな」と大目にみてもらえます。

米国.gif

B君は運用資産額こそA君に及ばないものの、最近はぐいぐい成績を伸ばしています。彼の運用スタイルは紳士的で、誰とでも平等に接することと、お客さんとの約束事をシンプルにしているため大きなトラブルもなく、順調に運用資産や投資銘柄を増やしています。

特に、ロシアやインドまたはドバイをはじめとしたアラブの投資家や銘柄またはイスラム金融や排出権取引などにも積極的に取り込んでいて、政治と経済をうまく分離した結果、運用資産に厚みが出てきてA君との差別化を図っています。

また、中国においても、B君はかつて香港で生活していたこともあり、太いパイプを持っているようで、抜かりはありません

さらに、カナダやオーストラリア・南アフリカ等には兄弟親戚がいて、B君に貴重な資産や情報を提供してくれます。こういった国々は資源バブルで絶好調です。

おまけにB君のおじいさんは7つの海を自由に駆け巡った外交官だったらしく、世界中の国々とうまく付き合っていくノウハウを持っているようで、今でもマレーシアやタイ・エジプトなどとも親しくしているようです。

国際派のB君は友人・顧客に運用以外の情報提供もしており、彼のアドバイスで、B君の友達のベッカム君はドバイに別荘を買い、チェルシーさんはロシアの「金満」、アブラモビッチ氏の会社で働いて年収が3倍になったようです。最近ではあのジャガー君もインドのタタさんに転職し、B君の隣にはあの有名なインド人のミタルさんが大豪邸を建設されるなど新興国の外国人をうまく活用しています

投資家はこのオープンで説明責任もきわめて高く、真面目でスマートな国際派のB君を全面的に信頼しています。

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C君は運用成績がぜんぜんだめですが、「おれはAには及ばないが、世界ナンバー2の実力の持ち主だそれにふさわしい扱いをして欲しいな」と自慢するのが口癖です。

そのくせ、外国人顧客としょっちゅうトラブルを起こします。上司(大阪弁)が「もうちょっと外国人にも愛想よくせいや」と注意すると、「違います。外国人が私のことを理解しないのが悪いのです」という有様です。

彼と話をするととにかく理屈っぽく、お客さんからは「わかりにくい」とか、「ルールをやさしくして欲しい」と注文を受けますが、「俺に資産を預けるのなら、俺のルールに従え」と取り付く島がありません。どうも悪代官が裏で糸を引いているかのようです。

最近彼はA君の「ポイズン・ピル」を参考に、独自に編み出した商品「ライツプラン」を積極的に販売していますが、商品がわかりにくいのと、運用成績が上りそうにない商品内容のようです。

また、外国人顧客や一部既存顧客も、時には経済合理性のない議決権行使をするC君に愛想をつかしつつあります。

この前、A君がC君のお客さんを強引に勧誘したところ、興奮剤を飲んだ犬に噛まれたといって文句を言っていました。犬の名前は何でもブルドッ「ク」というようです。

ブル.gif

しかし、そんなC君ではありますが、彼の投資先には大変良い銘柄が多いのも事実で、トヨタ・キヤノンをはじめコマツや任天堂など投資先の内容はB君を十分しのぐものを持っています。それがC君の最大の強みです。精密機器や環境にやさしい技術などを保有する企業群も多く、ひそかにヘッドハントされそうな気配もあります。

しかし、A君やB君からは「宝の持ち腐れ」と陰口を叩かれているようです。そして強引に勧誘したくとも、狂犬の悪夢があり、今は我慢しているようです。

日本.gif

 

ある日、C君はまた顧客とトラブルを起こした模様です。何でももっとたくさん取引したいと、何とかチルドレンさんという青い目の顧客から申し出があったにもかかわらず、「俺のポリシーにあわない」とか言って、売らなかったようです。

このサブプライムで全体的な成績がぱっとしないのに、こういう事態を招き、上司はついにC君に激怒してしまいました。

 

上司:「ワレ、アホか。買いたい言うてる奴になんで売らへんねん? 成績ぜんぜんあがってないやんけ?」(注:河内弁では「あなた」のことを「ワレ」という。)

C:「私のポリシーにあわない奴との取引なんて出来ません。私には世界第二位の実力があるのです。ご安心を」

上司:「ポリシーって何や?」

C:「単に数字だけで判断するような奴はダメ。会社の従業員や取引先とかそういった一体感で判断するんです。そうです、企業価値なんです

A君・B君:「それも含めて株価に反映されるのだろ。ブランド力とかそういうやつだGE、IBM、ネスレ、デュポンだったか、そういった大企業の株価には彼らが培った企業の人材のあり方や取引の方針など投資家が評価したものがすべて入っているんだ。

君んちのトヨタとリコールを隠した会社を比較すればその企業価値とやらの差は株価にも入っているはずだ。リコールを隠した会社の何とかの一体感とトヨタのそれの差は歴然としているじゃないか。大体お前は理屈っぽいぞ。外国人はもっと単純なんだ。シンプルに「改革やるぞー」といえば買ってくれるんだ昔は仲良かったお友達のコイズミさんコイケさん(女性)はどうしたんだい? 

C君:「A君だって、この前中国人とドバイ人を断ったじゃないか。テロとか共産主義とか言って。しかも「ポイズン・ピル」とかいう厄介な商品も売っている。A君に言われたくないね。僕はA君を見習っているんだよ

上司:「ええ加減にせい! Aは普段から成績がいいから多少トラぶってもみんな目を瞑ってるんや。ワレは成績が悪いくせに普段から屁理屈ばっかり言うてからにナンバー2って、裸の王様やで。目を覚まさんかい。今はEUの時代やで。1位・2位に10ゲームぐらいはなされた3位チームぐらいの危機感なかったらあかん。そのうちBクラスいりもあるぞ。今ならプレーオフで逆転の可能性ものこっとる

 

あなたはつれづれ投信の会議室から会議の様子を盗み聞きしてしまいました。C君にしようと考えていたのですが、家に帰って考え直すことにしました・・・。

「公的年金もダメ、自分年金も・・・。うーんどうしよう?」 え?投信会社を変更するって? それだけはご勘弁を・・・。

 

ニューヨーク、ロンドン、東京で遊んでみました。楽しんでいただけたらぽちっとよろしく。

 


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Last updated  2008/04/14 12:23:14 AM
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