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元・経営コンサルタントの投資日記

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2008/01/30
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エーザイ.jpg

 

  

1/23日エーザイが米ナスダック上場のMGIファーマのTOBに成功した。1株41ドル、総額約4300億円相当。

(誤解なきよう、友好的M&Aだそうです)

MGIの06年度の業績は売上高が約380億円で、最終利益が43億円程度の赤字。

業務内容はバイオ製薬会社で、がん・救急治療分野に強みがあり、主要製剤に「Aloxi」(がん化学治療時に吐き気などを抑える)、「Dacogen」(骨髄異型成症候群治療薬)がある。こういった鎮静剤のほか、既存製薬剤の新効能や新規剤形も進めるらしい。

(Fujisankei Business I 07/12/11から記載していますが、要するに鎮静剤が得意なんですね)

ちなみに同社のAnnual Reportを見て、業績はこんな感じです。

 

単位:百万ドル

2002

2003

2004

2005

2006

売上高(A)

25

40

192

274

337

R&D(B)

32

50

63

71

100

当期純利益

-36

-62

-86

-132

-40

(B)/(A) %

128

122

33

26

30

 

うーん、コメントの仕様がない。文科系出身の私としては、こういった売上高より研究開発費のほうが多いという企業は初めてだ。03年に発売した新薬がヒットして売上は何とか軌道に乗っています。

 

研究開発比率が30%といえばものすごく聞こえがよい?が、確か協和発酵やキリンファーマでも10%程度でしたね。

キリンホールディングス、協和発酵のM&Aについて個人的感想 10/24 (これ出張中に成立したそうですね。協和発酵の株価はTOBの直前直後だけ1500円で推移していて、あれ?って思いますが・・・)

 

ちなみに「親」会社のエーザイの基礎情報です。

07/3期概算

売上高 6700億円

当期純利益 700億円

総資産 7900億

純資産 5600億円 自己資本比率69%

うち利益剰余金 4700億円

配当性向 48% 配当金額÷純利益 (日本企業の平均値は27%程度、米国企業でも30%台)

時価総額 約1兆2800億円 (1/30現在)

売上高研究開発比率 16% (同業他社はもっと少ないと思う)

のれん代推定 4000億円(日経金融新聞)

 

薬事ニュース12/21によると、

以下抜粋

エーザイ内藤社長は「MGIファーマの買収によって(中期計画で掲げている)11年度に米国で4400億円、全体で1兆円の売上高達成に強い自信を持っている」と述べた。

MGIファーマは、今後5年間に平均35%以上の成長を見込んでいるという。エーザイの主力、アルツハイマー型認知症治療薬「アリセプト」は、10年に米国で特許満了を迎える。同社にとって、ポストアリセプトは大きな課題だったが、内藤社長は今回の買収でアリセプトの特許切れによる売上高の落ち込みは、「ほぼ穴埋めできる」との認識を示した。

このほか、今回の買収では、MGIのMRを活用することでエーザイが米国で新たにMRを雇用する必要がなくなるなど、08年度に5000万ドル以上、10年度では1億ドル以上のシナジーが見込めるという。

以上抜粋終わり

エーザイの07/3期売上は6,741億円となっている。あと4年で3000億円以上の売上成長ですか。年平均9%の売上高成長が必要です。

エーザイは現在世界21位、国内8位の医薬企業。10年の特許切れにより、成長エンジンが現状不透明なこと、業界再編では買収される側の対象にもなりかねないことなど、当社の努力はすさまじいものを感じます。

エーザイIR資料

エーザイMGIファーマ買収資料

DOE8%を中長期的に明確に目標指標とする企業はそう多くありません。業界内では従来より小野薬品工業がブランデスから増配要求を受けたこと、武田等トップ企業も配当に注力している(確かフリーキャッシュフローはすべて自社株買いと配当に充当するとか言っていました)ことより、かなりのがんばりようです。

DOEとは、ざっくり言えば、配当金額/自己資本(帳簿価格ベース)の比率です。本気業の平均値は2.2%で米国企業は5%ですからその数字は突出している。

株式価値向上に向けた取り組みについて (生命保険協会)

 

以下は12/18日経金融新聞の記事出から抜粋です。

以下抜粋

「エーザイのMGI買収 大勝負、期待より不安先行」

「まるで米大リーグのようだな」。ライバルのアステラス製薬首脳は、日本企業による海外企業の買収額として今年最大となった今回の案件をこう評する。期待の新薬候補を抱えるとはいえ、〇六年度の売上高が三百八十億円超で最終赤字の企業に大枚をはたくのは、高額年俸が飛び交う大リーグさながらというわけだ。


 さしずめ「高卒ルーキーに四千三百億円超の契約金を払ったうえ、今後二十年間は二百億円近い年俸(のれん償却費用=日経推定)が発生する」とでも言えよう。しかもMGIが報酬通り活躍するかどうかはこれからの新薬開発次第であり未知数だ。

抜粋終了

同紙によるとのれん代が20年償却でも年200億円近く計上が必要とのことで(会計基準が変わるとのれん代は不要となるが、その後もこれまでどおり赤字続きだと一括減損の不安がよぎる)、現状の収益力では吸収可能であるが、新薬が期待通りに活躍しても数年先で、目先は金利負担、のれん償却、借入金返済の目先の財務事情が頭をよぎる、といった主旨が書かれている。

一応、会社側の説明どおり、3年後のコストシナジー100百万ドルが達成できれば、たぶんMGIは黒字化するのでしょう。しかし、研究開発費も連結ベース売上高比20%を標榜している(金額ベースだと現在のエーザイとMGIの合計額の倍ぐらいになる)ので、新薬が期待通りに活躍するかが大きな課題となっています。

 

japan.jpg

 

08年上半期にも抗がん剤が2つほど申請される見通しで、もう少し様子を見ないといけない。アナリストによれば、エーザイの従来の事業戦略には沿っているため、理にはかなっていると一定の評価もある。

私見ではあるが、M&A経験が少ないのではないか?これは非常に気になる。M&Aも「習うより慣れろ」の要素が強い戦術なので。

英断と評価される日が来るか、バクチで片付けられる日が来るか、専門家が専門的な評価を下したということで数年後の業績に期待するしかない。

エーザイの投資判断については、これだけのリスクを犯しているわけですが、これに引き換えた経営陣の取り組みはアクティビストや敵対的買収におびえる 「だけ」 の日本企業は少し見習うべきであろう(個人的にはそのための施策としてM&Aだけが良いといいたいわけでもない。エーザイ経営陣の不退転の決意を評価したい)。

07年3月末の連結自己資本額が5600億円の企業が4000億円以上の投資というと、その決断振りは注目に値する。自己資本を溜め込んで、増配要求を受けた、あるいは受けそうな企業に少しは参考になるだろう。

かつ、今回の買収資金には多額の借入金が活用される見通しである。約36百万ドル($=107円だと3800億円)を借り入れ調達するなど、従来の日本人企業になかった発想である。つまり、資本コストを引き下げる効果があるのと同時に、これだけの借金をしても、配当はきちっとする(DOE 8%)、と社長自らコミットメントしているのも意気込みが伝わる。

いつも増配要求されて、設備投資がいるとか言っている企業には、「エーザイのように借入金で投資してもいいではないか」と株主が詰め寄ってくる可能性も出てきます。

もっとも配当原資は株主資本からで、借入金の返済はキャッシュフローからであり、そもそも配当を資金繰りのなかから支払うという発想が経理的で投資家発想とは違うという点を混同してはいけない。

意気込みはすごいものを感じる。ぜひ成功してほしい。

(注:筆者は医薬品についての評価はわかりませんのであしからず)

 

 

 

 

 






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Last updated  2008/01/31 01:55:11 AM
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