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袴田巖さんの再審を求める会のブログ

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2008/08/02
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(以下続き)

(2)上記認定の事実,すなわち,(1)本人の精神の障害は拘禁反応と呼ばれるもので,その病態は,大半の知的機能は障害されていないが,自分は「儀式」の中心におかれた「全知全能の神」であり,神として負わされた役割を全うしなければならない旨の妄想的思考があるというものであり(本人には上記妄想以外の症状は認められない。),現在の自己の同一性や自分が拘置所に置かれていることに関連する話題では妄想的思考の粉飾を受けやすいが(ただし,粉飾を受けやすい話題でも,中核にある現実的なものを失ってはいない。),一般的な話についてはごく正常な反応,回答をすることができること,(2)個別の精神的機能(意思疎通,記憶力,見当職,計算力,理解・判断力,知能検査・心理学的検査など)は,上記妄想によって粉飾され事理弁職能力を欠いていると考えられる部分があるが,それ以外の部分では上記精神的機能は保たれていること(なお,計算力,知能検査・心理学的検査には何ら問題がなく,理学的検査及び臨床検査でも異常所見は認められない。),(3)自己の財産の管理・処分ができるか否かについては,契約など重要な財産行為をすることはできないが,一方,日常生活に関する行為には全く問題がないこと,(4)現在,本人に認められる知的な機能の障害は固定したものではなく,回復し得ないものともいえないことなどにかんがみると,本人は,民法11条にいう精神上の障害により事理を弁職する能力が著しく不十分である者ということができたとしても,いまだ,民法7条にいう精神上の障害により事理を弁職する能力を欠く常況にある者ということまではできない。
 なお,本件鑑定書では,鑑定主文において,自己の財産を管理・処分する能力について,精神上の障害である拘禁反応のため,自己の財産を管理・処分することはできないとされ,その説明において,「現在実際に本人が発揮しうる財産管理の能力をさぐってみると,本人は,いずれも妄想的な思考に粉飾されて,所有する財産について現実的な会話をすることはできず,財産の管理の方法についで誰かに相談することや,具体的な財産の処分について話をすることはできず,何らかの契約書を作成しようとしても全能の神などと署名することが予想され,現実的に自己の財産を管理し,処分するだけの機能を発揮することはほとんど不可能である。すなわち,少なくとも現在は拘禁反応によって発言は妄想的な粉飾を受けてしまうため,現実問題として契約などの場面を想定すれば,本来もっている財産を管理し,処分する能力がまったく発揮されない状態,常況にあることは確かである」などと記載されていることが認められる。
しかし,後見の対象者は,一般的に,自己の財産を管理・処分できない程度に判断能力が欠けている者であって,日常的に必要な買い物も自分ではできず誰かに代わってやってもらう必要がある程度の者と解されているところ,本件鑑定補充書によれば,本人は,財産の管理・処分はできないものの,日常的に必要な買い物はできる状態であって,上記基準がうまくあてはまらないこと,そして,鑑定人は,本件鑑定書においては,自己の財産を管理・処分するという具体的行為を想定し,そういう具体的行為ができないという視点を重視して,「管理・処分ができない」と記載したものの,他方,日常的に必要な買い物程度は単独でできるか否かという視点を重視すれば,「管理・処分するには常に援助が必要な程度の者」に相当するといえるとも記載しており,結局,後見にあたるのか,保佐にあたるのかについては,最終的に法的になされるべきものとして裁判所に委ねたいと考えていることが認められる。したがって,本件鑑定書に上記記載があることをもって,本人は事理弁識能力を欠く常況にある者とはいえない旨の上記判断が左右されることはない。
(3)そして,上記のとおり,本人は精神上の障害により事理弁識能力が著しく不十分な者として保佐開始の状態にあるものと認められるが,後見開始の申立てにおいて,本人の精神上の障害の程度が後見開始の程度には至らないが保佐開始の程度であると認められる場合に保佐開始の審判をするかどうかは家庭裁判所の裁量に属するものと解されるが,本件において保佐開始の審判をなすことが相当であるとは認められない。

3 結論
 よって,本件申立てを却下することとし,主文のとおり審判する。

平成20年6月27日
東京家庭裁判所家事第1部
裁判長家事審判官 上原 裕之
家事審判官 草野 真人
家事審判官 佐藤 久文






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Last updated  2008/08/02 06:07:02 PM
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