「仕事の締切」を捨ててみた

2019年11月14日

カテゴリ：整える

先月を境に「仕事の締切」を捨てました。

フリーランスで生きる私にとって、これは事件と言ってもいいでしょう。

「仕事の締切を捨てる」ということは、
すなわち、「締切を伴う仕事を引き受けない」ということで、
つまり私の場合「製作物の依頼を受けない」ということです。

物作る人がそれ辞めちゃってどうするのか？
身内に話したらものすごく心配されそうですが、
この日のために少しずつ準備をしてきました。

私の本業の収入は大きく2つに分かれています。
デザイン製作が4割、
作り方を指導する講師業が6割くらいでした。

今回このデザイン製作を切り捨てたワケですが、
この割合が崩れ始めたことが、そもそものきっかけでした。

ハッキリ言って、私がいる業界は今後先細りです。
出版物も減少傾向となり、仕事量も緩やかに減っていきました。
幸い私は仕事が途切れることはなかったのですが、
元々安かったデザイン製作料がさらに安くなり始め、危機感がつのりました。

本当に大変になる前に、何か手を打たないと。

そこで考えたのが、デザイン製作の仕事を減らすこと。
時間や手間がかかる割に金額が頂けず、
割に合わない仕事だと感じていました。
それでも請け負っていたのは、
出版物に作品が掲載されることは、
講師業の広告宣伝にもなると考えていたからです。

ところが最近では、本を見て私を知る人よりも、
InstagramやブログなどのSNSで私を知り、レッスン後に来てくれる人が断然多くなりました。

だったら無理してデザイン製作の仕事を引き受ける必要があるのだろうか？
寝る間も惜しんで締切に追われて、薄給に耐えて何になるのか？

この考えは徐々に大きくなり、
デザイン製作の仕事に大きなストレスを感じるようになりました。

仕事が進まない、
やりたくない、
でもやらなくちゃ締切が…

焦りで眠れなくなり、
余計に仕事の手は進まない。
パニックになりかける自分を落ち着かせるために、
身の回りを片付けたりしながら何とか心のバランスを取り、
その時その時を切り抜けていました。

そんな生活を続けるのも限界だと感じ、
本気で行動に移し始めました。

まずは、もう１つの収入の柱である講師業に力を多く入れるようしました。
こちらを増大させることは短期間では容易では無かったため、
パートを始めて毎月安定した収入も確保しました。
その一方で少しずつ製作の依頼を断り、
全てのルートを絶つのに2年かかりました。

デザイン製作の仕事は、
一度その席を空け渡せば戻ることは難しいかもしれません。
タダでもやりたいという、これから世に出たい人は大勢いますからね。

もう戻れないかも。
そんな不安は決して小さなものでは無かったけれど、
その希少な席を捨てても良いと思える程、私の心は限界だったようです。

最後の仕事は先月終わりました。

時間をかけてここまで来たので、
寂しさや不安よりも、スッキリした気持ちです。

これからはSNSに力を入れます。
出版物やメディアが絡むと、新作発表もその公開までできませんが、
SNSならリアルタイムで公開できます。

こんなの作ってるよ♪
新作できたよ！

製作中の悩みやワクワク感、
出来上がった時の高揚感。
その時の熱量まで伝えられると思います。

締切から逃げた私は弱いのかもしれません。
でも20年頑張ってきたし、
一度自分を休ませてあげたい。
これでもう二度と日の目を見られないのなら、
私はそこまでのデザイナーだったのでしょう。
それもまた現実として受け止められるくらいの覚悟は、多分できています。

これからは自分で自分に締切を作ります。
自分がやりたいことにある締切なら、きっとクリアしていけると思います。
これすら出来なくなったら、人としてヤバイとも思うのでw

こちらのブログでは、
デザイナーの私ではなく、素の自分の暮らしを発信しています。
今はどちらの私も新しく歩き始めたばかりで不安定です。
何年かかるかわかりませんが、どちらの私も軌道にのることが出来て、
いつかその境界を無くしても大丈夫と思える日が来たら、
両側からカミングアウトするつもりです。

その日を目標にがんばります。
今回も最後までありがとうございました。