カテゴリ:北朝鮮
<北朝鮮>収穫期迎え軍隊の食事若干好転も、空腹で市場徘徊する兵士多数 国境警備隊に一食トウモロコシ150g 2015-11-16 アジアプレス・ネットワーク
北朝鮮の兵員数は推定100万超。人口の約5%に相当する膨大な数だ。 この兵士たちに北朝鮮政権が90年代以降十分な食糧を供給できず、軍内に栄養失調が蔓延していたことはよく知られている。 今年の北部地域の農業の作況は良好だと、北朝鮮内部の取材協力者たちは伝えてきているが、秋の収穫を終えた現在、一般兵士たちの食事の事情はどうなのだろうか? 11月初旬、中国に近い地域の国境警備隊の兵士たちの食事について調査してもらった。一地域に限られた調査であるため、人民軍全般に当てはめて解釈するのは無理があるが、現時点での傾向を知ることはできるだろう。 (カン・チウォン) 記者:9月のトウモロコシの収穫に続き、稲の収穫も終わったはずだが、軍人の食事事情はどうか? A:私の居住地は中国国境に近いので、国境警備隊と一般部隊の師団が駐屯している。国境警備隊はトウモロコシと塩漬け大根と菜っ葉汁だけの供給だそうだ。 記者:分量はどれぐらいか? A:国境警備隊にはトウモロコシ飯が、一食あたり150g出ているそうだ。 記者:予想よりも多く供給されているようだが。 A:これで十分とはとても言えない。食用油の供給がほとんどなく、兵士たちはしんどそうにしている。 記者:今も栄養失調になる軍人はいるか? A:もちろんいる。腹を空かせて、ふらふら出て来る。 記者:部隊を離れて? A:腹を空かせて市場をうろついている兵士がいる。 記者:国境警備隊がそのような有様では、他の地域、他の部隊はもっとひどいのではないか? A:それでも、今はトウモロコシが出ているからましだ。軍人たちは夏が一番つらい。米もトウモロコシもなくてジャガイモだけを与えるから。私が調査した部隊は、今年の夏も、毎食ジャガイモ数個しか出せなかったそうだ。 記者:農場には、軍糧米を取りに軍隊がやって来ているか? A:いや、米はまだ収穫が終わったばかりで脱穀が済んでいない。白菜と大根を取りに来ている。(キムチ用だと思われる) 記者:農場員たちにとって、無理な軍糧米の徴発は大変な負担なはずだ。 A:昨年、政府は農民に対し、国家に規定量を納めた残りの食糧は農民たちの取り分なので自由に処分してよいと通達したが、今年一月になって、やれ軍糧米を出せ、愛国米をだせと言って供出ノルマを例年のように押し付けた。それで、農民の中に不満が広がった。 集団的な抗議のようなことはなかったが、農場の幹部に不平をいう者もいた。私の住む地区の農場では、今年初め一人当たり30キロ出せて言われて不満が拡がり、会議までやって結局20キロになった。農民たちは、また軍糧米を徴発されるのではないかと恐怖を感じている。 ※ 国境警備隊は他の一般の部隊より食事事情はよい。任務が重要で供給の優先度が高く、また中国との密輸や越境を見逃す対価として賄賂を住民から得られる機会が多いからだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2015.12.16 13:22:00
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