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カテゴリ:ジャズ
presto musicのlatest newsに載っていたアルバム。 何の気なしにspotifyで聞いたら、何とストラヴィンスキーの「春の祭典」のメロディーが流れてくる。 すっかりいい気分になって即ダウンロード。 「Rituals」は2013年フランクフルトで行われたストラヴィンスキー・フェスティバルの委嘱作品。 「春の祭典」へのオマージュとしてアメリカの作編曲家のジム・マクニーリー(1949-)が新たに作曲したもの。 彼はフランクフルト・ラジオ・ビッグバンドと今まで4枚のアルバムをリリースしている。 「Rituals」は「春の祭典」の構成やモチーフが巧妙に使われ、ジャズのテイストも十分に出ていて、大変面白い聞き物になっている。 最後にマクニーリーのオリジナル「再生」が付け加えられていて、これも春の祭典に準じたテイストで楽しめる。 「春の祭典」も主題が生で出てくるのではなく、原初的な雰囲気を感じさせるもので、この曲を知っている聴き手にはとても興味深いアレンジだろう。 よくクラシックのアレンジもので聴かれる重量感のなさや、軽薄さはまるで感じられず、オリジナルとして立派に個性を主張している。 ポッターの圧倒的なパフォーマンスとそれを支えるFrankfurt Radio Bigband(hr-Bigband)の重厚で野蛮なサウンドが興奮を呼び起こす。 比較がいいかどうかわからないが、個人的にはマイルスの「スケッチ・オブ・スペイン」に匹敵する(それ以上?)大傑作と思う。 「Adoration III」は原曲の第一部のエンディングからのアレンジ。 ここでもホーンの咆哮が半端ないほど凄まじい。 「sacrifis I」は原曲の第2部のはじめを使っているが、ムードはだいぶ違っていて、トロンボーンのスラーがコミカルだ。 木管のアンサンブルもとぼけた味を出している。 後半は原曲の「選ばれし生贄への賛美」をもとにしているが、原曲以上に荒々しい。 「sacrifis II」のはじめではフランクザッパ風のサウンドが聴かれ、思わずにやりとする。 後半は原曲の終結部を元にしているが、凄まじいアチェレランドとポッターの激情的なソロで終わる。 切れ目なく「Rebirth」が演奏される。 この曲はタイトルのような希望に満ちた曲ではなく、鼓動を思わせるリズムで、陰鬱なメロディーが流れる。 最後にポッターが第一部冒頭のファゴットのメロディーを吹いて締めくくられる。 この演奏を聴いていると、我々のイメージする「春の祭典」はどうやら洗練され過ぎて、牙を抜かれた虎みたいな演奏に思えてくる。 この演奏のような破天荒な「春の祭典」を聞きたくなる。 「Rituals」以外の曲は、ポッターの既出アルバムのナンバーをマクニーリーがBingバンド用にアレンジした。 「Dawn」はバンドのサックスとの凄まじいバトルが聴き物だ。 最後の「This Will Be」からセレクトされた「Okinawa」は、沖縄情緒豊かで楽しめた。 ドラム・ソロでのエコーを効かせたバックの幻想的なサウンドがなかなかいい。 後半のポッターのソプラノ・ソロが実に素晴らしい。 「The Wheel」はお祭り騒ぎになっていて、アルバム全体のカラーには必ずしもマッチしていない気がする。 確かにお祭りつながりではあるが。。。 録音は力があり、これでこそ演奏が何倍にも生きる。 ということで、ジャズ・ファンだけでなくクラシック・ファンにも広く聞いて頂きたい傑作。 Jim McNeely,Frankfurt Radio Bigband:Rituals(Double Moon DMCHR71404)16bit 44.1kHz Flac 1.Rituals - Adoration I 2.Rituals - Adoration II 3.Rituals - Adoration III 4.Rituals - Sacrifice I 5.Rituals - Sacrifice II 6.Rituals - Rebirth 7.Dawn 8.The Wheel 9.Wine Dark Sea 10.Okinawa Jim McNeely Frankfurt Radio Bigband Chris Potter(ts) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2022年03月06日 18時23分16秒
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