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音楽雑記帳+ クラシック・ジャズ・吹奏楽

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bunakishike

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2022年03月06日
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カテゴリ:ジャズ

presto musicのlatest newsに載っていたアルバム。
何の気なしにspotifyで聞いたら、何とストラヴィンスキーの「春の祭典」のメロディーが流れてくる。
すっかりいい気分になって即ダウンロード。
「Rituals」は2013年フランクフルトで行われたストラヴィンスキー・フェスティバルの委嘱作品。
「春の祭典」へのオマージュとしてアメリカの作編曲家のジム・マクニーリー(1949-)が新たに作曲したもの。
彼はフランクフルト・ラジオ・ビッグバンドと今まで4枚のアルバムをリリースしている。
「Rituals」は「春の祭典」の構成やモチーフが巧妙に使われ、ジャズのテイストも十分に出ていて、大変面白い聞き物になっている。
最後にマクニーリーのオリジナル「再生」が付け加えられていて、これも春の祭典に準じたテイストで楽しめる。
「春の祭典」も主題が生で出てくるのではなく、原初的な雰囲気を感じさせるもので、この曲を知っている聴き手にはとても興味深いアレンジだろう。
よくクラシックのアレンジもので聴かれる重量感のなさや、軽薄さはまるで感じられず、オリジナルとして立派に個性を主張している。
ポッターの圧倒的なパフォーマンスとそれを支えるFrankfurt Radio Bigband(hr-Bigband)の重厚で野蛮なサウンドが興奮を呼び起こす。
比較がいいかどうかわからないが、個人的にはマイルスの「スケッチ・オブ・スペイン」に匹敵する(それ以上?)大傑作と思う。
「Adoration III」は原曲の第一部のエンディングからのアレンジ。
ここでもホーンの咆哮が半端ないほど凄まじい。
「sacrifis I」は原曲の第2部のはじめを使っているが、ムードはだいぶ違っていて、トロンボーンのスラーがコミカルだ。
木管のアンサンブルもとぼけた味を出している。
後半は原曲の「選ばれし生贄への賛美」をもとにしているが、原曲以上に荒々しい。
「sacrifis II」のはじめではフランクザッパ風のサウンドが聴かれ、思わずにやりとする。
後半は原曲の終結部を元にしているが、凄まじいアチェレランドとポッターの激情的なソロで終わる。
切れ目なく「Rebirth」が演奏される。
この曲はタイトルのような希望に満ちた曲ではなく、鼓動を思わせるリズムで、陰鬱なメロディーが流れる。
最後にポッターが第一部冒頭のファゴットのメロディーを吹いて締めくくられる。
この演奏を聴いていると、我々のイメージする「春の祭典」はどうやら洗練され過ぎて、牙を抜かれた虎みたいな演奏に思えてくる。
この演奏のような破天荒な「春の祭典」を聞きたくなる。
「Rituals」以外の曲は、ポッターの既出アルバムのナンバーをマクニーリーがBingバンド用にアレンジした。
「Dawn」はバンドのサックスとの凄まじいバトルが聴き物だ。
最後の「This Will Be」からセレクトされた「Okinawa」は、沖縄情緒豊かで楽しめた。
ドラム・ソロでのエコーを効かせたバックの幻想的なサウンドがなかなかいい。
後半のポッターのソプラノ・ソロが実に素晴らしい。
「The Wheel」はお祭り騒ぎになっていて、アルバム全体のカラーには必ずしもマッチしていない気がする。
確かにお祭りつながりではあるが。。。
録音は力があり、これでこそ演奏が何倍にも生きる。
ということで、ジャズ・ファンだけでなくクラシック・ファンにも広く聞いて頂きたい傑作。

Jim McNeely,Frankfurt Radio Bigband:Rituals(Double Moon DMCHR71404)16bit 44.1kHz Flac

1.Rituals - Adoration I
2.Rituals - Adoration II
3.Rituals - Adoration III
4.Rituals - Sacrifice I
5.Rituals - Sacrifice II
6.Rituals - Rebirth
7.Dawn
8.The Wheel
9.Wine Dark Sea
10.Okinawa


Jim McNeely
Frankfurt Radio Bigband
Chris Potter(ts)





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Last updated  2022年03月06日 18時23分16秒
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