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音楽雑記帳+ クラシック・ジャズ・吹奏楽

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bunakishike

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2023年02月10日
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昔のジャズ批評で知った本。
高いので県立図書館の横断検索で検索したら首尾よくヒットしたので、​同じ著者のマイルス・デイヴィス「カインド・オブ・ブルー」創作術​と共にレンタル。
そもそも管理人は「至上の愛」の良さがさっぱり分からない。
その他のアルバム(アセンションでさえ)なら理解できるのだが、このアルバムは苦手だ。
理由は分からないが、その宗教的なテイストに対する拒絶反応なのかもしれない。
本を読みながら、そこに出てくる音源を聴くのが何ともぜいたくな時間だ。
第1章のマイルスと決別する前のヨーロッパ・ツアーのことが書かれている部分で、マイルスはソロが終わると、早々と楽屋に引き上げて、あとは延々とコルトレーンがソロをとるというシーンが出てくる。
なるほど実際の音源「ザ・ファイナル・ツアー ブートレグ・シリーズVol.6」​)を聴くと、「All Of You」や「On Green Dolphin Street」などの15分以上の曲になるとそういう感じになっている。
その時の状況がヴィヴィッドに伝わってくる。
観衆の口笛はコルトレーンのソロが長いことに対するブーイングだったろうか。
マイルスのソロはおざなりで、あとはコルトレーンにお任せというか放任しているような感じがする。
「Round Midight」などの短い曲では、マイルスもまともに吹いている。
その当時から、マイルスは半ば呆れながらも、コルトレーンが退団するのは仕方がないと思っているように感じる。
コルトレーンは調子に乗って?「シーツ・オブ・サウンド」を炸裂させる。
このような演奏を聴けば、彼らの音楽的な隔たりがあまりにも大きく、分かれるのも時間の問題ということが分かる。
聴衆はおそらく「Kind Of Blue」の世界を期待してきたのだろうが、あの音楽とは全く違う音楽だったので、ブーイングしたのだろう。
まあ、自分もその立場になれば、彼らのブーイングも理解できる。
こうしてみるとこの時のグループは、メンバーの音楽がばらばらで、平常心を保っているのはリズム・セクションのみという特異なグループだったことが分かる。
この本では「至上の愛」のセッションに向かってじわじわと盛り上がるような構成になっている。
このセッションは非常に細かいところまで精緻に書かれていて、まるで映画を観ているような気分になる。
驚いたのはセッションは1964の12/9と12/10の二日間予約されていたことだ。
至上の愛のオリジナル版は12/9のカルテットの演奏のみが収められているが、12/10はアーチー・シェップのテナーとベースのアート・デイヴィスが参加していた。
全曲演奏されたようだが、残っているのは第1楽章のみで残りは紛失したようだ。
個人的にはアーチー・シェップの咆哮が場違いで、宗教的な雰囲気がぶち壊しだ。
現在はコンプリート盤として第1楽章の2つのテイクとアンチーブ・ジャズ祭りでのライブのすべてがまとめられている。
このセッションを頂点として、リリース以後のレコード会社の売り込みや、実際に聞いた人たちの感想などがきめ細かく拾われている。
この構成はマイルス・デイヴィス「カインド・オブ・ブルー」創作術と同じ構成だ。
アルバムの写真はこの時に取られたものではなく、その前にプロデューサーのボブ・シールがヴァン・ゲルダーのスタジオの外で撮影したポートレート。
この書籍にはこのボブ・シールが保存していた写真が使われている。
保存状態が悪かったのか、しわが幾つかある。
最後はコルトレーンの死で終わるが、そこの部分は本題ではないので軽く触れられている程度。
この本を読んでから、改めて「至上の愛」を聴いてみた。
管理人はハイレゾは持っていないのでCDをDSDに変換して聞いた。
「Pursuence」の凄まじいコルトレーンのソロに圧倒される。
どうやら、1楽章のおどろおどろしさの印象が強く、アルバム全体を正しく理解していなかったようだ。
最終楽章も宗教色が濃いが堂々たる曲で、1楽章のようなおどろおどろしさはなく、吹っ切れたような爽快感さえ感ずる。
やはり、このようなインサイド情報を知ることは、演奏を深く理解するには不可欠なことを痛感した。
その結果、このアルバムに対する管理人の認識も大分変わったような気がする。

アシュリー・カーン著 川嶋文丸/訳:至上の愛の真実





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Last updated  2023年02月15日 10時52分23秒
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