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カテゴリ:クラシック音楽
偶然見つけた牛田智大のピアノを聴きに行った。 見つけたのが遅かったが、何とか主催元からチケットをゲット。 手配が遅れたにしても、それほど悪い席ではなくラッキーだった。 牛田はだいぶ前に聞いたことがある。 音楽もさることながら、演奏を始める前の独特のステージ・マナーが印象に残っている。 この時のコンサートは2014年でまだ幼さの感じられる14歳の時の演奏だった。 昨年のショパンコンクールは確か二次予選止まりだった記憶がある。 本人のツイッターによると「ホールの音響を掴めなかった」とか。 密かに応援していたので、少しがっかりしてしまった。 入りはほぼ満員。 プログラムが地味なのだが、牛田人気だろうか。 8年ぶりとはいえ、すっかり大人になっていた。 ピアノを弾く前の儀式は簡素化されていたが、座ってすぐ弾くようなことはなかった。 基本的なところは前回とそれほど変わっておらず、音楽の成熟ぶりが目立つ。 重量感もほどほど。 テクニックは殆ど完璧で、ミスも聞かれなかった。 なによりも、潤いのある響きが大変魅力的だ。 堅牢な構成感はあまり感じられないが、音楽の流れは自然で、変わった表現も聞かれない。 シューベルトは自然な表現が心地よい。 ソナタの第2楽章アンダンテの後半で止まりそうになるところがあり、ハッとしたくらいだろうか。 シューマンは、規模が大きいが、それほど面白くない曲。 牛田の演奏は正統的なアプローチ。 積極的に面白さを強調する演奏ではないが、凡庸な演奏ではない。 曲がよく分かる演奏で、退屈することもなかった。 ブラームスの3番目のピアノ・ソナタは少し力感が不足している感じがするぐらいで、他には特に不満はなかった。 今回のプログラムは大変な体力が必要だと思うが、牛田はそれほど汗もかかないで弾ききった。 欲を言えばアピールしたい部分は、もう少し強調してもいいような気がした。 アンコールの前にお話しがあった。 曲の説明の後で震災の話とWBCの佐々木投手の話、それから今回調律をしてくださった佐々木さんの話などがあった。 調律の佐々木修嗣さんは岩手県出身で3/12が誕生日なので、それにちなんだ曲(曲名不詳)を演奏した。 アンコールの2曲目はシューマンの「トロイメライ」 遅めのテンポでしみじみとした情感の伝わってくる演奏。 後半はさらにテンポを遅くして、エンディングは、殆ど止まりそうになる。 これが実に味わい深く、何故かウルウルしてしまった。 ところで、この項を書いているときに、カントロフ(1997-)の演奏がNASに入っていることに気がつき、少し聴いてみたら、そのスケールの大きさに圧倒された。 牛田にも型に嵌らず、スケールの大きいピアニストを目指して欲しい。
ツイッターを見るとピアノの調律師はただ調律するだけでなくてメンテもやるとは思っていなかった。 よく考えれば、ピアノの調律がくるっていたら修理までしなくてはならないことは当たり前なのだが、それは分業しているのかと思っていた。 ピアノの調律師の仕事によれば、調律師の仕事は以下の3つに分類されるようだ。 基本的な音程を作る文字通りの「調律」 もっともよい状態で音を発生させるための整備をする「整調」 さらに演奏者のイメージ通りのデリケートな音色を作る「整音」 牛田智大ピアノ・リサイタル シューベルト:アレグレット ハ短調 D915 シューベルト:ピアノ・ソナタ第13番op.120 シューマン:ピアノ・ソナタ第1番op.11 ブラームス:ピアノ・ソナタ第3番op.5 アンコール 1.(曲名不詳) 2.トロイメライ 2023年3月12日 岩手県民会館中ホール10列28番で鑑賞 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2023年03月17日 20時56分35秒
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