カテゴリ:映画-邦画
今日の映画は、以前TEAM ON STAGEさんから掲示板に紹介して頂いた映画の中から「銀のエンゼル」。 あと、同じ鈴井貴之監督作品で、「man-hole」と「river」も紹介して頂いたのだけど、レンタルショップで見つけることができませんでした。スミマセン・・・。 ストーリー Cenema topics onlineより 北海道の田舎町。 国道沿いのコンビニエンスストア。オーナーの北島昇一(48歳)(小日向文世)は、妻で店長の佐和子(45歳)(浅田美代子)に店を任せて、気ままな毎日を送っていた。だがそんなある日のこと、佐和子が突然の交通事故で入院。妻の代わりに深夜の勤務に就く羽目になった昇一の毎日はガラリと変わり始める。おまけに会話が途絶えがちな娘の由希(18歳)(佐藤めぐみ)と向き合わなくてはならないのだ。 「銀のエンゼル」を5枚集めることで、「何かいいことあるかな」と今の自分からの脱却を願う明美をはじめ、東京の大学進学を目指す娘の由希、交通事故にあって今までの自分から変わろうとする妻・佐和子。自分なりに区切りをつけて消えていった謎のコンビニ店員・佐藤。そして何より変わることを選択せざるをえなかった、コンビニエンスストアオーナーの北島昇一。 それぞれが、それぞれの苦悩を抱えながらも、「変わること」を模索する。 だが、この映画のテーマは「変わること」ではない。そこからさらに一歩、「踏み出す」ことを問うている。 で、なぜ「踏み出す」ことをテーマにした作品の舞台が、北海道でなくてはいけなかったのか。それを考えてみた。 一つは広大な風景の中にある、みんなが交流する場所が必要であったこと。言い換えれば、砂漠の中のオアシスが必要だったこと。それには北海道の広大な土地が一番だ。 このためにコンビニエンスストアーという設定がなされ、さらにそれは主人公・北島昇一のこれまでの生き方(=農業からコンビニのオーナーになり、仕事は妻にまかせて気楽に生きてきた。が、農業への未練もたっぷりとある)から一歩を「踏み出す」ための重要なファクターになっている。 二つ目は「過疎の町」であること。過疎の町ゆえに、大学に行くにしても職を求めるにしても、町を出ないことにはどうしようもないと言う現実がある。 そう言った状況の下、これから出ていこうとする由希、Uターンしてきた明美、出ていかずこの町で暮らすことを選択した商校生・中川(=由希の幼なじみ)、どこからかやってきた佐藤と、4人の「踏み出す」ことの意味をそれぞれに問うているのである。 こう書くと重い映画のように思われるかも知れないが、そうではない。ちょっとしたところに、クスッと笑ってしまうエピソードがちりばめてあって、和む。 温バナナ男、タバコ換金女、携帯電話女、カップ酒男などなど、どこにでも居そうだけど居るわけないキャラクター満載だ。(バナナをレンジで温めて食べたら美味しいんだろうか・・・思わずやってしまいそうになった) で、一番「踏み出す」事を要求されたのは、先ほどあげた4人ではない。ずっとこの町に暮らしてきた北島昇一だ。稼業であるコンビニエンス業に取り組む姿勢。娘とのかかわり。どれをとっても今まで「あいまいに」してきた部分である。妻の交通事故での入院をきっかけに、それらと真っ正面から取り組むことを余儀なくされ、右往左往するのだ。(この部分の演技は小日向文世ならではで、さすがだなあってうなった) そして停電の一夜の出来事を境に、北島昇一は変わる。 あれほど大事にしていたポルシェのトラクターを売るのだ。 「売れば(農業への)未練もなくなるって」と話す友人に、昇一はこう答える。 「未練がなくなったから売るんだ」と。 一歩踏み出した昇一は、娘・由希との関係をも同時に再生させるのである。 ラストシーン。 エンドロールの後の数カット。中でも由希が東京で同じ系列のコンビニで働くシーンに、鈴井監督の暖かさを見た。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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