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2004年08月01日
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本来は、反戦デモのような世界の良識的行動が殺戮をただちにやめさせなければならないはずである。ところが、一向にその実効が得られないままだ。それは“良識派”という集団に、人間として致命的な、重大な欠陥があるからなのだ。彼らは、人生のなかで大きな金銭欲を否定するため、自分自身には大抵、ほぼ百パーセント、大金がなく、始末の悪いことにそれを誇りにさえ思っているのである。

そこで世界の民主主義制度なるものの状況に目をやると、それはただ数の多い方が勝ちという多数決主義に堕落している。至るところ、選挙制度は大きな資金にしばられた悪質な組織的活動と、利権と無知によって支配される仕組みができあがっており、良識派が獲得できる得票数は、可能性として最大三分の一がよいところである。現実には十分の一に満たない場合が多い。すなわち、「良識+大金」というメカニズムがなければ、多くの人のささやかな願望はいつまでも満たされないのである。

では、誰が金を持っているのか。その昔、十九世紀の人はこう言ったものである。

「ロスチャイルド家は、戦争を起こすこともできるし、戦争をやめさせることもできる」と。

まったく、これほど的確に歴史を言い当てた真理はない。世界金融の胴元は、いかようにも戦争を動かせる。彼らに戦争行為をやめさせる意志が微塵もなかったために、アフガン攻撃とイラク攻撃という、あってはならない悲劇が起こされたのだ。現在ソロスが、アメリカのネオコンを非難している言葉には、表を返せば裏があるだろう。しかし裏が嘘でも、彼に表の発言の実証を迫ることは、急いでしなければならない。彼が本心から変わったのなら、過去をとがめる必要はなく、大きな拍手を送ってもよい。何よりもアフガニスタン、パレスチナ、イラク、中東イスラム社会全域、アメリカ国内、キューバのグアンタナモ基地でおこなわれている米軍とイスラエル軍の行為を、一刻も早くやめさせなければならないからである。

地上に混乱をもたらしてきた人物を、魂を売ってまで率直に応援する気は毛頭ない。が、世界の財界人や政治家たちに「とりあえずソロスを応援して、戦争行為をやめさせろ」と言うことなら、神は許してくれるはずである。

世界では、至るところで反ブッシュ・反シャロンの三段ゲリラ攻撃が着実に進行し、成果を収めつつある。その第一に、ヨーロッパ・ロシア・サウジアラビア・中国を軸として、ソロス集団も巻き込んだ国際的な反ブッシュ包囲網が構築されつつある。第二は、世界市民による反戦行動である。第三は、イスラム大衆による反米・反イスラエル直接行動である。それぞれの考え方と手段はまったく異なるが、向かうところは一致している。それこそが、『一本の鎖』、地球の運命を握る者でなければならない。国際メディアが第四の力を発揮すれば、世界は一変する。


「一本の鎖」:地球の運命を握る者たち‥‥広瀬隆(著)あとがきより





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最終更新日  2004年08月17日 04時21分24秒
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