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ブックアドバイザー木村綾子の日々の徒然

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2024年05月15日
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奈良県に関する見識者が県内の各所をそれぞれの視点から紹介する『​奈良・大和路 まほろば巡礼​』。



このような本の場合私の好きな吉野あたりは取り上げられることが少ないのですが、本書はがっつりと。
峠を語る章でもそこに触れられていましたし、吉野、大峯、十津川村、そして吉野の国栖地域と私にとっては心躍るような1冊となっていました。

吉野に関しては修験道の話ではなく、「動乱の足跡を追う」ということで、壬申の乱から南北朝時代そして、鎌倉幕府での義経にとどまらず江戸時代の天誅組の事件のことまでかいつまんでということにはなってしまうのですが、そこだけをピックアップして時代の流れを感じるのもなかなか面白いものでした。

本書も少し触れていますが、別の本でも「敗者はなぜ吉野に行ってしまうのか」というような内容のものがあり、吉野って一目千本の桜を秀吉が花見の宴を開いた艶やかなイメージがありますが、歴史を振り返るとかなりダークな場所となっていることに気付かされます。
それを本書ではこのように記してありました。
それにしてもなぜ、いつも吉野なのか。吉野は修験・山岳信仰の聖地として、オモテ社会である平城京をはじめとする政治中枢とは異なる、ウラ社会の中心としてのネットワークを持っていた。ふだんは霧の向こうに隠れている険しく住みがたい辺境の地が、歴史の画期にちらりと姿を垣間見せるのであろう。大和盆地の南に屹立する吉野は、商社の雄たけびと敗者の涙を吞み込んできた、壮大な霊場なのである。(p97)
​ついに「ウラ社会」なんて言われてしまいました(笑)。
そこに惹かれる私は一体……。

そして、更に興味深く読んだのが小見出しとしては「国道168号に悲劇の皇子を偲ぶ」。
168号線って近鉄の生駒線が北側は走っている所でこれは生駒山にそって線路があります。
つまり、これまた役行者のお膝元。
更に南下すると葛城古道に沿っている訳で、もう私としてはこれまた高喜びするようなエッセイ。
もちろん役行者のことには触れられていないのですが、かつて役行者が修行をしていた二上山のことは記されています。
ここもまた「ウラ社会」だったのでしょうか。

本書は奈良県のまさに「表の顔」でないところを綴られた名著ではないかとこっそり思っています。


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最終更新日  2024年05月15日 06時33分13秒
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