氷室ック自身によるBOOWY作品の解説(Part10)…
おはよん!ございます。きょうで1月も終わりですね。まあ早いこと早いこと。2月は日数も少ないですからもっと早く感じるでしょうね。さて、きょうで氷室ックシリーズはひとまず終わります。「やっと終わるのかよ!!」というツッコミをいただきそうですが…今回は、氷室ック自身によるBOOWY作品の解説第10弾で、BOOWYとして1991年までにリリースしていた映像作品、「BOOWY VIDEO」と「“GIGS” CASE OF BOOWY」の2つについてです。BOOWY VIDEOは、1986年7月2日に東芝EMIからリリースされたBOOWY初のライブビデオです。これは、このビデオ撮影のために1986年5月1日に行われた、氷室ックや布袋サンたちの故郷である群馬県の高崎市文化会館でのライブを収録したものです。この時期には珍しく、氷室ックが髪を立てず、ストパーをかけて髪を下しているのが印象的です。私はこれをDVD版で持っています。そしてもう1つの“GIGS” CASE OF BOOWYは、1987年10月5日に東芝EMIから全4巻でリリースされたライブビデオです。これは、1987年7月31日の神戸ポートピア・ワールド記念ホールと、8月7日の横浜文化体育館で、「デビューからそれまでにリリースしていた曲のほとんどを演奏する」というコンセプトで行われた、4時間にも及ぶライブを収録したものです。 私はこれをDVD版("GIGS" BOXですが)でも持っています。VHS版はどっかにしまっちゃいました。4時間ライブのときの画像です。それでは、以下は月刊カドカワVOL.9 NO.4からの出典です。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――最初のヴィデオ録った時のツアーでやってたステージは、何か映画の「ブレード・ランナー」的なオブジェがあった。服装がみんなバラバラなのは、オレだけ違うスタイリストの衣装だったから。この前のスタイリストはけっこうロック系の人で凝ったものをゴテゴテやっていたんだけど、それが今一つ洗練された感じじゃなくて、試しに沢田(研二)さんをずっとやっていた人に頼んだの。そしたら時間的にメンバー全員分間に合わなくて、オレだけ新しく上がってきた衣装を着て、みんなはその前に使ったやつをそのまま、というさ(笑)。ライヴのヴィデオを見てステージングを自分で研究するようなことは、あんまりしないなぁ。客観的に見たらオレもかなり不自然な動き方をしているんだろうけどね。でも本人としては音とかなりシンクロした形で自然に出てくる動きを重要視してる。鏡の前でアクティングしてみたりってこともないし。リハーサルはほとんどみんな動かないで、どう音をまとめていくか? その部分に集中してる。だから客のエネルギーに呼応して自分の身体が自然に動けばそのままだしさ。もしも2回ヴィデオ回したら違う動きが出てくると思う。ほんとは立ち位置が決まっていてとかいろいろなものがあるわけですよ、エンターテインメントショーを見せるためには。BOOWYの時は一貫して決め事はなしだし、何が起ころうとそれはよしとするというのは暗黙の了解であったから。ずっとやってくれていた照明の人なんかは、”どう動くかわからない分、逆にやりがいがあるし、逆に自分もそのライヴに参加している意識が余計に高まる”って言ってたよね。照明の”組み”には設計図があるにあるにしても、そこでどう動きを拾うか、自分の仕事の範囲内で表現することがすごくスリリングだってね。MTV以降、ヴィデオ・クリップが音楽の重要なアイテムになったって言われるけど、日本でヴィデオ・クリップがすごく浸透したって意識は、オレ、あんまり持ってないな。日本はやっぱりそんなにMTVみたいなああいう確固としたメディアがないじゃない? 24時間ずとやってるようなさ。日本はヴィジュアルに関してはまだまだ意識が低いなって判断してる。面白いクリップなんて米米CLUBぐらいしかないしね。ほんとによくできてると思えるのは。ただ映像関係のスタッフとかで、この人けっこう才能あるなと思う人は何人かはいるんだけどね。ヴィデオってやっぱりコストがかかってるなって次元で納得させちゃう人たちってたくさんいるじゃない?そうじゃなくてほんとうに才能だけで勝負してる感じが欲しいよ。まだ、自分の中で、ヴィデオを氷室京介の音楽を伝えるためのすごく大きなメディアとしては、そんなに考えていない。『CASE OF BOOWY』はレーザー・ディスクで持ってます(笑)。これはもともと4時間のライヴをやろうといって始まった話なんだよね。ていうのも、ブルース・スプリングスティーンのライヴはすごい親切というか、自分のやりたいことを伝えるために必要最小限の曲を選んでも、きっとあの長さなんだろうなと思って。BOOWYってすごい変化してきたバンドだったから、その変貌の過程を見せて自分たちの実物を伝えるのがいちばんわかってもらえるかなってところで企画したんだよ。結果、4時間はやってないけどね。休み時間を入れて3時間半くらいかな。やり終わった後、充実感に満ちてさ、ビート系のバンドで3時間半といったらけっこう極限だからね。特に松井なんかは全部ダウン・ピッキングだから・・・体育会的な燃え尽き方でした。若くないとできない的な。自分の中で1つ確認したいこともあったよね。だから『MORAL』からも後半のアルバムからもたくさん選んでバンドの過程を確かめた。で、コアになってる自分の部分は全然変わってないことがやっぱりわかったな。