|
カテゴリ:カテゴリ未分類
お店をでたら、歩道の先は闇のなか。
ああしまった、つい、 商店街で、ここだけ夜遅くまで開いているから、と 残業帰りに寄って、雑貨屋は久しぶりだったから ずいぶんと長く、いろいろと物色してしまっていたんだな。 明るいお店をあとに、 歩道を歩く。ちゃんと、街灯もある、 洒落た家も立ち並ぶ、門燈もある、 さっきのお店が、明るすぎたんだよ、ね。 それでも道端の茂みに、 向こう側の街路樹に、 暗さと一緒に何か感じかけて、ふりはらう。 考えるな。 感じるな。 道の向こうは急な坂、そこをのぼれば、 立派なお寺があって、それは、 背中を向けた、あちら側のマンション、 このあたりにはありふれた高層の建物、そこは、 振り向くな。 この辺りはかつて、 処刑場があってその供養にと、それは 相場よりはるかにお安い家賃で 内装はどこよりも新しい、そこは 生ぬるい空気。 生臭い風。 街燈が少し、赤い。 歩道がちょっと、歪んでいる。 見るな。 聞くな。 夜空にそびえる建物から、 何か墜ちたような想像は、やめろ。 今に集中して、 昔の知りもしない場所を考えるな。 かつてのそれは、 みせものだったよう。 たくさんのひとのみるなか、 役人が後ろ手に縛られひざまづいた いきなり、光。 路地の門燈、近づくと勝手に点いて、 窓ガラスに、 にたにたとうれしそうな顔をうかびあがらせる、 わたしの、かお。 ヒトは寝静まり夜も更けて 眷属に惹きこまれゆく、 歩道の先は闇のなか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2017.08.24 00:15:54
|