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カテゴリ:時代小説
【猿のごとく読み、人のごとく考える・その125・118冊目】 ・紹介する本 ・サノーさん一言コメント 「世界大戦を戦い抜き、トルコを近代国家として生き残らせた革命家の道筋。明治維新との対比により、偉業の尺度を得る」 【サノーさんおすすめ度★★★★★】 ・ウノーさん一言コメント 「複雑なトルコという国の成り立ちと、その要因を、一人の革命家の生涯から学びます」 【ウノーさんおすすめ度★★★★☆】 ・サノーさん、ウノーさん読書会 サノーさん(以下サ):この本を読むまでトルコで大革命を起こした「ケマル・アタチュルク」なる人物を全く知らなかった。 ウノーさん(以下ウ):タイトルの『ケマル・バシャ』とは「ケマル将軍」という愛称なんですね。 サ:一人の「可愛げのない子供」が軍人になり、革命を起こし、独裁者となった物語だな。 ウ:絶対的なイスラム教の教えから脱却し、政教分離と近代化を一人で推し進め、実現しちゃった人なんですね。 サ:明治維新との対比は、わかりやすくもあり、わかりにくくもあり。 ウ:確かに脈々と歴史を重ねた宗教国家という背景と、天下布武により成立した徳川幕府との違いは大きいですが「重い」「軽い」で論じるのは、ちょっと残念な気もしました。 サ:まあ、日本人用に書かれた本で、ケマル将軍の生涯のみが書かれていても、よっぽどのマニアにしか読まれないだろうから、読み手へのサービス、対称性をもった論旨を加えたかったんだろうな。 ウ:全く知らない歴史だから、それだけでも面白かったですけどね。キリスト教圏の列強侵略とイスラム教圏にある「聖法違反」のジレンマは、考えたこともありませんでした。 また、トルコが「大酒飲み」の国だとも知りませんでした。ロシアとの双璧って、よっぽどですよね。 サ:この歴史を知ると、現在のトルコが置かれた複雑な現状がよくわかる。 ウ:そうなんですよ。トルコが、様々なイスラム教国家のなかで、なぜ異質なのか、女性が尊重されているのか、なぜ親日なのか、合点がいきます。 サ:そしてなぜ揉めるのか、なぜ安定しないのかも、よく分かった。 一人の革命家がもたらした法律、社会制度、政教分離が当時から抱えていた「問題」は、宗教と人、宗教と社会という概念において、いまだに回答を得られない「問い」を含んでいるからだ。 ウ:そういう背景、思想社会のなかで、これだけの特異な人物が生まれ、支持を得たのは「突然変異」だったんですかね。 サ:坂本龍馬との比較も書かれているが、やっぱり「大きく考える」ことが出来たからじゃないか?宗派や思想がどうであろうと、同じ場所、同じ国に生まれた仲間として尊重しあおうとする姿勢が、受け入れられたのだろう。 ウ:誰に受け入れられたのです?国民ですか? サ:いや、それを含めた集合意識にだろうな。でないと、こんな劇的な革命は起きない。 【了】 http://amzn.to/2s0JdjA
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最終更新日
2017年12月08日 09時44分27秒
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