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カテゴリ:ドキュメンタリー・ノンフィクション
【猿のごとく読み、人のごとく考える・その113・106冊目】 ・紹介する本 ・サノーさん一言コメント 「日本人の尺度から考える、ヨーロッパの社会と思想。根拠を「食」に求めることにより見えてくる、異文化の侵食」 【サノーさんおすすめ度★★★★★】 ・ウノーさん一言コメント 「50年前のヨーロッパ文化論ですが、ここに書かれている考察を辿ると、現在の日本を形成する要素が見えてきます」 【ウノーさんおすすめ度★★★★★】 ・サノーさん、ウノーさん読書会 サノーさん(以下ウ):面白い。「肉食」という角度から、ヨーロッパと文化の違いを社会、家族、結婚、宗教、身分制度、近代化のカテゴリーから整理して論じている。 ウノーさん(以下サ):ヨーロッパの人にとって、豚の丸焼きは残酷ではなくて、小鳥の丸かじりは残酷だという感覚は、いまでも健在です。 サ:旧約聖書に書いてあるからな。神に似せられた人間と、その食料たる家畜についての定義は、そこを根拠にしているんだな。 ウ:食事のときのお祈りも、決定的にそうですよね。今日の糧を与えてくれた神に対する祈りです。 サ:それに対して、日本は「命」をいただくことに対する祈りだ。「命」のやりとりとしての「食事」と「神への感謝」とのトレードである「食事」では、解釈が全く異なる。 その解釈の違いを前提にしながら、ヨーロッパを分析したのが、この本だ。 ウ:50年前に書かれていますので、当時の日本の食糧事情、肉食率が挙げられていますが、ここからの変化を考察することにより、色々と現代が見えてきますね。 サ:日本が「肉食」を全面的に受け入れたのは、明治以降、一般化したのは、昭和になったからだと思う。 ウ:そもそも、仏教においては肉食禁止の時期も長かったですものね。福沢諭吉が『肉食之説』というパンフレットを書いていますが、これは西洋列強との体力差、国力差を埋めることを「食事」に求めた政策ですね。 サ:その頃から現代にいたるまで「肉食」はそれ以外の「食」より、高級で高価で、ご馳走だという認識が育まれてきたわけだ。 ウ:ただ、この本にある「肉食における思想的、歴史的背景」や「風土、風習的背景」がない日本にとっては、歪みの原因となってしまったかもしれません。 サ:例えば「霜降り肉」崇拝とかだな。確かに脂身が差した霜降り肉は美味しいが、あれを連続して食べるなんて、いくら肉好きでもムリだろう。 ウ:そもそも、身体の負担も凄いです。肉を常習的に食べる民族ではなかったのだから、消化器系も含め、支障がでるのは明白です。 サ:でも「後付けの肉食賛歌」だから、程度がわからないんだよな。日本の畜産技術は凄いし、霜降り肉を生み出す先進国であることは間違いないけど、ヨーロッパから見れば、それは畜産ではないんだ。 ウ:「神から与えられしもの」を変化させる技術ですものね。ひとつ気づいたのは、この本が書かれた当時より、日本の「肉食化」は進んでいますよね。それと同調して、「エセ西洋化」も進んでいると思うんです。 サ:合理的なようでいて、全然合理的でなかったりとか、信心深いようでいて、根本的に信じてなかったりとか、だな。 ウ:ちょうど「肉食」のデメリットも言われ始めていますから、ウチも同調しましょうよ。 サ:意識しなくても大丈夫だよ。年取れば、自然と野菜のほうが美味しくなるから。 【了】 http://amzn.to/2qArYXE
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最終更新日
2017年12月09日 08時18分42秒
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