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カテゴリ:小説・フィクション
【猿のごとく読み、人のごとく考える・その385・378冊目】 ・紹介する本 ・サノーさん一言コメント 「繰り返される愛と憎しみの連鎖。それが原罪かと問いてくる著者の魂魄」 【サノーさんおすすめ度★★★★★】 ・ウノーさん一言コメント 「複雑な人間の感情を、数奇な運命をたどる少女と共に学びます」 【ウノーさんおすすめ度★★★★★】 ・サノーさん、ウノーさん読書会 サノーさん(以下サ):読んだ直後のコメントは「ここまでやるか!」というものだった。 ウノーさん(以下ウ):徹底的に、人間の「裏と表」「愛と憎しみ」「罪と罰」「絶望と希望」を描き切っています。 サ:出発点は辻口家に起こった「悲劇」からだ。 ウ:全ての「歪み」が、そこからスタートします。妻の夏江の不義の間に、次女・ユリ子が殺され、その犯人である「佐石」も、留置場で自殺、行き場がない父・啓造の怒りと憎しみは、妻に向かい「最初の復讐」が実行されます。 サ:そこに向かう葛藤、人としての罪の意識も、全ては「伏線」となる。 ウ:その「始まり」からは、「殺人犯の娘・陽子」が軸となり、「許し」を得られない登場人物たちの「愛憎劇」が繰り広げられます。 サ:凄いのは、全ての行動や事件が「単に愛情」「単に憎しみ」から起こるのではなく、その裏にある「人間の矛盾」が見事に描かれていることだ。 ウ:「人間は生まれながらにして罪びとなのか」という問いかけが、クリスチャンである著者から迸っています。 サ:陽子を巡る人間模様、それぞれの「事情」が複雑に絡みながら、「罪びとたちの行進」は続いていく。 ウ:啓造が「洞爺丸」で遭難したとき、物語は終焉に向かうのか、と思いきや、そこからまた、新たな展開が繰り広げられます。 サ:「許しを得ない」ということが、これほどの連鎖を生む。これは、けっして、フィクションのなかの話だけではない。 ウ:そして「高木の告白」に、全ての人が驚かされるわけです。 サ:この本は、愛憎劇のドラマとして読むこともできるが、複雑に絡み合った伏線が一点のフィナーレへと結びつく「ミステリー」としても読むことができる。 ウ:そして、「許し」へと昇華する「希望」を見出す物語でもあるわけです。この点が、傑作としての賛辞が集まる理由だと思います。 【了】 https://amzn.to/2pD9N20
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最終更新日
2018年03月25日 08時12分15秒
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