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【1日1冊!】猿のごとく読み、人のごとく考える

【1日1冊!】猿のごとく読み、人のごとく考える

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2018年06月07日
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カテゴリ:文学
【猿のごとく読み、人のごとく考える・その459・452冊目】
・紹介する本
・サノーさん一言コメント
「人間の矛盾と無常に迫る、漱石の筆。生きることの本質と恋愛の不可思議に迫る」
【サノーさんおすすめ度★★★★★】
・ウノーさん一言コメント
「人はなんのために働き、なんのために家族をつくるのでしょう。幸せとは与えられるものではないことを学びます」
【ウノーさんおすすめ度★★★★★】
・サノーさん、ウノーさん読書会
サノーさん(以下サ):名作揃いの漱石作品のなかでも、生々しい人生への警告と、男女の機微が描かれた傑作だ。
ウノーさん(以下ウ):主人公は、金持ちのボンボンで、仕事もせず、仕送りで優雅に暮らしていた30オトコです。
サ:最初は、ちょっと羨ましい感情が芽生える。
ウ:書生がいて、お手伝いさんがいて、好きな本を読み、自由気ままに芝居を観に行って「お金」という幻想から解放されている人のように思えます。
サ:だが、その生活は「生きている実感」を失わせていく。世の中からはみ出し、自己重要感を満たす機会を奪われた「憐れな存在」であることが、徐々に明かされていく。
ウ:自分が好きだった「三千代」さんを親友の平岡と結びつけ、矮小な自己満足を誤魔化します。
サ:その誤魔化しが、「生きる」実感を呼び覚ます伏線となる。友人の没落、三千代の助けを求める姿が、自己の重要感を呼び覚ましながら、未知の恋愛感情へと導いていく。
ウ:物語としては、とてもシンプルで「よくある」内容であるのに、そこで描かれる人間の内面、誰にでも共通している感覚を深く抉る読後感は、漱石先生だけの「超絶技巧」です。
サ:描写も素晴らしいが、行間と行間にある「見えないメッセージ」、それが、独特の「間」となって、読み手を引き込んでいく。
ウ:読んでいくうちに、自分の中の感情が、「正しいもの」ではないことに気づかされ、それぞれの「倫理」と「衝動」を考える機会を与えてくれます。
サ:一読すると、主人公の姿を通じて「人間の憐れ」を想う機会となってしまうが、実は、「生きる目的」「生きる実感」を、人はみな追い求めて生きているという「法則」を伝えようとしている。
ウ:苦労知らずのお金持ちのボンボンが、不倫の末、没落していった、だから、自分の選択には気をつけましょう、そんな表層の教訓ではなく、環境や生活、お金や仕事では抗えない「衝動」が、人間には生来宿っていて、それは、自己の重要感を見出した時、発露するという事例を教えてくれているのだと、理解しました。
サ:それにしても、漱石が描く「男女の繊細な心の動き」には、他にはない、美しさと気品が漂う。
ウ:やっぱり「徹底的に観察」してるからなんでしょうね。一緒に暮らしたネコも、呆れるくらいだったそうですから。
【了】





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最終更新日  2018年06月07日 08時45分23秒
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