はじめての道を走ると行かなくてもいい方に折れてしまうというのが私の常で、ずいぶん困ったこともあり、ずいぶん面白かったこともあるのだが、今日は冷や汗をかいた。
<この先 諸車乗入れ禁止>
ということで一旦はバックしたのだが、ふと振り返ると向こうに駐車場があるではないか。
ならば、そこいらあたりが千光寺なんだろうかと又バックしてみたら、これが私有地につき云々かんぬん。
しかし・・・ここまできたからには千光寺を見つけるまで行くぞ、と 車一台しか通れない細い道を行く。こんな山谷深い所で対向車が来たらどうするんだと思うけれども、行けば行くほど行くしかなくなってくる。細い脇道から荷車を押したおばあさん、南無さん、どうぞ動かないで下さいまし。と心で祈る。おばあさん、危険を察知してか、用心深そうに停まってくれた。有り難や~。
しかし・・・一体どこまで行けば千光寺?行くしかなかんべ~。と!うっそ!みたいな道。
車に乗ってる身には45度もあろうかというような急勾配の道がほぼ直角に曲がってる!しかし、崖側に柵がほとんどない!ああ、真冬でなくて良かった!と思いきや、そこから先少しでもう道がない!・・・ということはあれば千光寺の門なのかもしれないが・・・いかんせん、Uターンする所がない!もうもう仕方なく私有地だろうがなんだろうがお構いなくそこにあった他人様の庭先に車を突っ込んでバック。こんな崖の上でバックも怖いが致し方なし。
犬が吠えて家人が出て来た。ぺこりと頭を下げてさっさとUターン。
いや、あれが噂の千光寺だろうがなんだろうが、ここは鳴川峠だもの。。。かの有名な鳴川だもの、やっぱり歩いて来なくっちゃ!出直しだ、と言いつつ、そろりそろりと車を走らせる。45度に感じる急勾配のカーブ。
南無!観世音菩薩!!
なんて本当に思ってしまった!
大昔、役小角が修行した頃のこの谷沿いはどんなだったろう。
鳴川に沿うように村が出来たのはいつ頃のことか知らないが、ここは本当に大阪に近い奈良なのだろうか?などと思ってしまった。
南無千手観世音菩薩様~!どうか対向車など来ませんように!
はらはらしながら最初バックしようとした所まで出たが、ついつい堆肥を無料で好きなだけ、トラックいっぱいでももらえるという話を聞いて、違う道だとは知りつつも走ってみたのは失敗だった。鳴川峠にはもともと歩いて登るつもりだったのに。。。。。しかし、声をかけてくれたおじいさんがいて、堆肥だけはちゃっかり貰って帰った。
帰る道々、三輪のあのこはどうして正月は千光寺なんだろうとまた考えた。
考えるより聞いたほうが早いのだけど、ソクラテス君達との会が終わりになったあとで、彼はいよいよ決定的に失恋してしまったからそうもいかなくなった。Sは私と親交のある誰かと結婚するのではないかと思ってはいたが彼のことは眼中になかったし、私は私で誰と誰がくっつこうが離れようがそういう世話はやきたくなかったし、ともかく結構傷の深かった彼は私と会うことも避けたい気分だということがわかって・・・なんとなくそれっきりになってしまっているのだ。それに、そういうことは色々詮索してみても意味はないのだろう。おそらく彼は生まれた時から除夜の鐘はそこで聞いて、さしてそのことに疑問を持ったりもしなかったのだろう。
右に回ればいいものを、うっかり左に折れてしまった休日。
失恋の連想・・・南無大師遍照金剛!を唱えながら、四国八十八箇所をただただ歩き続けた青年がいたことを思い出した。
今夜は空楽さんを開いてみよう。
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最終更新日
2010.03.18 23:41:22